第七十四話 『発見されたターゲット』
竹内唯は、ジェイたちに従い、アンジェリナを探しに、またビルを登る。
新元4年9月22日、ドックビル、参加人数200、逃走と殺戮を繰り返すのライブ。ウィルスで人を狂人に変わり、狂人が死んだらゾンビと化す。
建物の中に、走る足音はもうほとんどない。今聞こえるのは、ゾンビの低い呻き声だけ。どうやら、狂人はほぼ全部ゾンビにやられたのようだ。やられた狂人は、ゾンビの軍団に参入する。
そしてとうとう、人間のターンに回る。一所懸命逃亡する若者たちは、パクヒュンキュンのリードで、再び舞台に戻る。火炎放射器でゾンビを焼き払いながら、アンジェリナ、および彼女が奪ったワクチンを求めてビルを登る。
いまだにすべての元凶はアンジェリナだと受け入れなかった竹内唯、しかし、ウイルスに感染されたことはたぶん間違いない。救出といい、奪還といい、今は男三人と一緒に行動するしかない。向こうにはゾンビ退治できる武器を持っているので、大分安全になる。人を殺せないショットガンを持ち、ウタレフを連れ、竹内唯は、もくもくと男三人の後ろで歩く。
ジェイはゾンビを見つかったら、囮になって、ゾンビの注意を引きつけて、パクヒュンキュンが火炎放射器で仕留める。あの男と武器をかなり信頼しているのか、ジェイはハンマーでたたくという、かなり派手な囮をやる。たまに、そのまま撲殺されたゾンビもいる。
二人は、結構楽しそうに見える。歓声上がったり、ハイタッチしたり、たまに、パクヒュンキュンは火炎放射器をジェイに貸し、倒れたゾンビに追い打ちする。二時間ぐらい前に、これらのゾンビはまだ一緒にライブを見ている同好者であるのにもかかわらず。
しかし、一番気になるのは、パクヒュンキュンはなぜか見覚えがある。竹内唯は、彼の後ろ姿を見ると、頭が痛くなる。でも、どうしても思い出せない。
ジェイとパクヒュンキュンの後ろに歩いているのは、アイザックだ。この前結構おしゃべりの彼は、なぜかずっと黙っている。
どうせ二人はゾンビ殺しに夢中しているので、竹内唯はこっそりアイザックの袖を引っ張って、歩くスピードを遅らせ、小さい声で話す。
まず竹内唯がおかしいと思ったのは、彼女がゾンビを目撃してウタレフと合流したら、しばらくの間はまだロビーの辺りにいる。もしジェイの言った通り、すぐウタレフを追いかけてロビーに駆けつけたら、時間的につじつまが合わない。
「あれはね。ジェイのやつ、ちょっと嘘ついた。おれたちは車で逃げたんだよ。しかし、出入り口辺りに走ったら、急に車が壊れて、しかも燃えたんだよ。幸い爆発はしなかった。」
「燃えた?」
竹内唯はちょっと考えて、
「あのパクヒュンキュンがやったじゃない?」
「いやいやいや」
アイザックはすぐ頭を振り、
「おれたちは結構周りの環境を注意しながら運転してたんだよ。狂人が来たら対応する必要があるからね。だから、あの時彼はいなかったよ」
「でも、地下駐車場は結構暗かったよ。どっかで隠れて……」
「まっさか。あんなでかい火炎放射器だぞ。人が見れたくても、火の柱ぐらいは見えるだろう」
確かにそうか。
「じゃあ、もう逃げようとしたでしょう?なぜまた戻る?」
「結構燃えたからね。あの状況じゃ外に出られないから、ほかの出口を探すしかないから、君たちと合流でもしようかと思ったんだよ。戻ったら、ロビーであの白衣の傷者と会ったんだよ」
確かに、記憶では、あの負傷者は結構曖昧で、聞き取りにくい単語を放った。ウィルスとか、女とか、しかし、竹内唯の時、あの人はすでに命ガラガラでそしてすぐまた気を失った。何でアイザックたちにまたあんなにたくさんのことをしゃべったのか。
アイザックも、結構微妙な表情で、ちょっと考えたら、また頭を振り、
「ほんとは、ほっんとは、おれもよくわからないんだよ。確かにあの白衣の傷者はちょっとしゃべったが、俺たちが駆けつけたとき、最後の一部しか聞けなかったんだよ。なんか上に逃げたとか、金髪女のことか。他のほとんどが、あのパクヒュンキュンが教えてくれたんだよ」
竹内唯は目の前でゾンビを楽しそうに殺しているパクヒュンキュンをみて、また眩暈がする。
「まさか?あのパクを疑っているのか?」
女の勘か?しかし、これは説得力がない。竹内唯は頭を振る。
「でもな。彼は俺たちをだます理由はないと思うけどな。みんな感染されてるし、ワクチン必要だし」
竹内唯の困った顔を見て、アイザックは語る。その時、ウタレフは彼女の手を引っ張って、
「おねえちゃん、あの噴火のおじさん、指はなにをやっているの?」
竹内唯とアイザックは、同時に前を見る。パクヒュンキュンの指は、爪で火炎放射器の上に刻んでいる。
「何やってるんですか?これ」
アイザックは、そのまま単刀直入に聞く。パクヒュンキュンは自分の手を見て、ちょっと笑って、
「あ、どれぐらいのゾンビを殺したのか。ちょっとメモする。昔からの習慣みたいなやつだよ」
「おお、これはまさしく昔の戦士、グラディエーターや軍人みたいに、自分の盾やタンクの装甲に、どれぐらいの敵を殺したのかを記録するんだよな。かっこいいな」
アイザックは、興奮しながら、竹内唯に説明する。どうやら、これも一理ある。パクヒュンキュンの年齢なら、第三次世界大戦に参戦したかもしれない。仕方なく、竹内唯はウタレフを連れ、続けて三人の後で歩く。
15階に到着したとき、パクヒュンキュンの火炎放射器は、すでに爪の跡がいっぱいになった。ちょっと歩きまわったら、かなり静かで、何の異変もなかった。
そして、とある大きな休憩室の近くに、パクヒュンキュンは急に、音を出すなっていう合図を出す。こっそりとドアを開けると、中にいるのは、一行が探しているターゲット、アンジェリナだ。
とうとうアンジェリナが発見?では彼女は事件の黒幕か?すべての真相は?
次回を待て!