第六十八話 『消えたアンジェリナ』
四人は少年を救って、さらに一階に向かう
前回の続き、ドックビル三階、四人はもうすぐ一階に到着その時、狂人たちに襲われるひとりの生存者と遭遇し、救出した。
救ったのは、一糸まとわぬ男の子だ。ジェイとアイザックは適当に数人の狂人から服を脱ぎ、これで、一応体は遮れる。
服をちゃんと着たら、アンジェリナと竹内唯はやっと再び部屋に入る。金髪碧眼の美少年だ。名前はウタレフ、10歳、しかし先の襲撃でショックを受け、なぜここにいるのか、なぜ裸なのかは、覚えていない。
これ以上の詮索は意味がないと、ジェイはすぐ下に降りると提案する。先ショットガンに二発、いくら防音効果がよく、構造が複雑とはいえ、狂人たちはたぶん一行大体の位置を把握したはず。残りの数十人はすでに三階に向かっているかもしれない。
残りのメンバーも同意し、すぐ階段に向かって、さらに下に降りる。降りる時、上からたくさんの足音が聞こえ、ジェイの心配は正解のようだ。もっと女子たちにウタレフの顔を揉ませたら、すでに包囲されたかもしれない。
やっと、一階に辿り着いた。竹内唯の予測通り、数人の狂人がそれぞれの入り口で待機し、さらに雑物などでバリケードを作って、たとえまた囮作戦で一か所の狂人を撃退できたとしても、バリケードを解くとき、ほかのところの狂人はすぐ駆けつけるであろう。
地下ならまだ二個の出口がある。車の持ち主が直接駐車場に入るためのドアと、車の出入り口。あのドアならたぶん同じく待ち伏せの狂人がいるはず。では車の出入り口ならまだチャンス残っているかもしれない。
ちょっと相談したら、五人はB1は駐車場に行く。駐車場にいろんな車が止まっているが、ほとんどはすでに持ち主がいなくなって、上に分厚い埃が積もっている。
まだ数台綺麗な車があって、たぶん今日の観客の車だろう。中に、劉凡菲の車もあるかもしれないから、アンジェリナとアイザックはまた目がキラキラになって、アイドルの車を探したがる。
「いや、でも、本当はフェイが来てほしいくないですね。この状況で」
「だから確認するでしょう。もし凡菲姉の車発見したら、クンカクン……じゃなくて、すぐ凡菲姉を助けるのよ」
小さい声で相談しているが、やはり勝手な行動は許さないジェイ。アンジェリナはすぐジェイに、
「大丈夫、あたしたちはついで……ケッホン、ちょうど偵察してくる。後ろドアの状況も気になるでしょう?」
10分後、青いSUVの隣で集合すると約束し、アンジェリナはアイザックを連れて、偵察しに行った。
B1の狂人は少ない、しかもなぜか動きも鈍い。気を付けでしゃがんで移動すれば、一応安全だ。ジェイは竹内唯とウタレフを連れて、車の出入り口に向かう。幸い、数人の狂人はいるが、ほかのドアと比べると、大分手薄だ。しかし、問題はバリケードはやはり邪魔になる。
車で強行突破だ。ジェイと竹内唯が相談した結果、これは唯一の方法のようだ。しかし周りの車は、全部鍵がかれられていて、映画のように導線二本ピカピカ擦ったら発動どころか、入ることすらできない。
仕方なく、約束の青いSUVに戻る。すでにアイザックはあそこで待っていたが、アンジェリナはいない。
「アンジェリナは?」
「わからない!先俺たちは数台の車をこじあけたら……」
「なに?車をこじ開けた?どうやって?」
ジェイは急に口を挿む。
「いや俺じゃないよ。アンジェリナ先輩がこう適当に、こうかる~くやったら、ドアがパパっと開けたよ」
「まだ空いている車あるのか」
ジェイはすぐアイザックを捕まって聞く。
「た、たぶんまだ数台は閉じてない」
ジェイはすぐアイザックに案内させようとするが、
「俺の話はまだ終わってないよ」
「そうだ。アンジェリナはどこに行った?」
「先俺たち、いやアンジェリナ先輩が数台車をこじ開けたら、特に発見はなかった、これで、もう一個のドアのところに行ってみようと思ったら、人影がいて、そして先輩は急に人影を追いに行ったんだよ」
「「人影?」」
「うん、女、背が低くて、ちょっと太い、アジア系の人で、年齢は俺たちとあんまり変わらない、ような気がする。顔ははっきり見えなかったよ」
同年代の背の低い小太り女性、これらのキーワードから、竹内唯はある知り合いを思い出す。今夜劉凡菲が来るのを教えてくれた先輩、キムチェヨンだ。
竹内唯は元々新元学園でロボット関連の研究を希望したので、キムチェヨンは優等生の先輩として、新学期始めてから、いろいろと彼女に教えた。
キムチェヨンなのか?しかし、確かにキムチェヨンは劉凡菲に興味ないから来ないって言ってた。ただの考えすぎかもしれない。小太りのアジア系女性ならほかにいるはず。しかし、同じ学校のアンジェリナも知り合いなら……
そう考えているとき、ジェイは興奮そうに戻った。開いた車からスペアのキーが発見した。いつでも脱出できる。
「でも、アンジェリナはどうするの?」
竹内唯はまず反対する。
「今は己の命は先だ。あんな小娘はどうでもいい。第一、勝手に去ったのはあいつ自身だろう?」
バーの件で、ジェイはまだアンジェリナに根を持つ。それに、本当に車で強行突破なら、途中で狂人を轢く可能性が高い。もしその時アンジェリナが車内で暴れ出したら、大変なことになる。全員あの世行きの可能性もゼロではない。
ウタレフも、ジェイと同意見で、竹内唯を引っ張って、怖いから早く外に出たいって言う。
ちょっと考えをしたら、竹内唯は、ウタレフを解く。彼をジェイの前に連れ、
「この子を連れて先に脱出して、あたしはアンジェリナを探すわ」
と言ったら、男子三人を後にした。竹内唯はショットガンをもってしゃがみながら、B1から裏門につなぐ階段に向かう。
ここの階段にライトがない。夜だから、真っ暗だ。竹内唯は手すりを掴んで、ゆっくりと上に登る。非常に狭い階段を登り切ったら、一階の裏門に着く。しかし、ロックされ、開けない。
しかし、部屋の向こうに、もう一個のドアが開けっぱなしだ。このドアは廊下に繋がって、向こうはロビーのはずだ。竹内唯はドアの向こうをちょっと覗いたら、血だらけの、中年男性が倒れている。
この人は狂人かどうかはわからないから、竹内唯はショットガンで警戒しながら、男に近づく。ロビーから入ってきた微かの光で、男の腹部に包帯が巻いていることは確認できる。この包帯なら見覚えがある。アンジェリナがバーで作ったやつだ。巻いたのもアンジェリナかもしれないから、この男はたぶん大丈夫。
男をちょっと揺らしたら、咳をして、男はやっと目覚める。
「大丈夫ですか?金髪の女の子、見ませんでしたか?」
男はつらそうに、頭を振る。
「彼女があなたに包帯巻いたのよ。どこに向いたのかは知りません?」
結局頭を振る。まだ意識がはっきりしていないようで、とりあえずロビーの辺りに行って、手がかりを探すしかない。去ろうと思ったその時、男は急に竹内唯の足を掴み、何かしゃべり始める。しかし、声が小さいうえ、断片的な単語しか聞き取れなかったから、結局何言っているのかはわからなく、男は再び気を失う。
次の瞬間、ロビーから、騒音が聞こえてくる。また狂人が誰かを襲っているのか。被害者はアンジェリナじゃないと祈りずつ、竹内唯はショットガンの装填を再度確認して、こっそりとロビーに向かう。
しかし、ロビーの状況を見て、竹内唯は驚く。狂人は加害者ではなく、被害者になってしまった。先ほど入り口のドアを見張っている数人の狂人は、地面に倒れて、上に誰かが乗っかっている。
上に乗っている人は、また狂ったのように、狂人を喰う。
赤い口を大きく開け、遠慮なく齧る。まるでB級映画のゾンビのようだ。狂人たちは、動脈や気管はすでにくいちぎれて、たくさんの血が流れながら、目が大きくして、痙攣しているだけ。
この状況を見て、竹内唯は急にバランスを失い、尻餅を食らう。そしてショットガンも、地面に落ちる。
ガタン!
この音は、狂人を喰っているゾンビたちの注意を惹く。晩御飯をいったん止まって、音の方向を見る。
ロビー後ろのドアのところ、落ちっている一本のショットガン以外、何もない。
新しい獲物がないなら、ゾンビたちは、引き続き、自分の晩餐を楽しむ。
危うく叫ぶ竹内唯だが、口は小さい手に塞がれ、力いっぱいでドアの後ろに引っ張って、身が隠された。振り返ると、ウタレフだ。
「お姉ちゃん、早く逃げようよ。この辺りゾンビがいっぱいだ!」
小さい声で、ウタレフはまた竹内唯を説得しようとする。しかし、竹内唯は、目の前の男の子を見ずに、後ろに何かあることに気付く。
薄暗い廊下で、人の顔が、二人を見ている。
アンジェリナは消えた?いったい誰を追いかけたのか。そしてなぜゾンビが現れたのか。竹内唯を睨んでいる人顔は?
次回を待て!