第六十二話 『リニアレールガン』
脳みその化け物再び
新元4年9月18日朝、A&E研究所付近、百メートル以下の地下、残ったのは、ボロボロのアンジェリナ、気を失った諸葛夢とカイ、そして、巨大な脳みそ化け物。
間違いなく、これは数日前、研究所で、エミリーたちの頭から出てきた化け物だ。四本の人間足、体に無数の目玉と口、そして二本鞭のような触手。エミリー及び彼女に殺された人々は、死んだらこの化け物は頭から出てくる。だから、怪物アンディがやられて、ずっと違和感を感じた。
サイズ的に、研究所で出会ったやつらより数倍も大きいが、形はほぼ一緒だ。
今の状況はまずい、諸葛夢とカイはもちろん、傷は大体治ったとはいえ、アンジェリナも戦うのも逃げるのもほぼ無理の状態だった。
間違った選択肢して強制ガメオベラルート突入かと思ったら、急に上から人の声が聞こえてくる。
「退け!お嬢ちゃんよ!」
ちょっと後退したら、次の瞬間、ドカンという音のあと、目の前の脳みそ化け物が、一瞬して消えて、残ったのは地面にある大きな穴だけ。これから、微かにシュッとしたの音が聞こえる。
頭を上げると、鎧姿の男は、上から降りてくる。そして、兵士姿の数人も、縄を使って、壁を沿って降下する。男は知らない人だが、持っている武器なら見覚えがある。
「こ、これは?」
「お嬢ちゃんよ。助けてやったんだ。まずは感謝するべきだろう?」
「あ、ご、ごめん。ありがとうございます!ところで、これは、リニアレールガン?」
男の右腕に、巨大な銃がついている。サイズから見ると、銃というより、キャノン砲のほうが正しい。砲身の前に、二枚の金属板があり、後ろから数本のケーブルが伸び、男が背負った大きなランドセルにつながっている。あのランドセルは、電池か何かと、アンジェリナは踏んだ。そして、形は若干変化したが、間違いなく、リニアレールガンだ。
「へえ、普通のお嬢ちゃんと思えば、よく知ってるな」
男は、じろじろと、アンジェリナを見始める。
「あったりまえだ。こいつも製作者の一人だからな」
もう一人の男がやってくる。林宇だ。
「久しぶりだな。司馬のお嬢様よ」
「あ、林宇、久しぶり、そろそろ同窓になるのね。あれ?」
アンジェリナは頭を傾く
「久しぶりって、数日しかたってないじゃん?」
「数日?そうか、俺は長い時間が経ってしまった気がする」
よく確認したら、同業中学であったときと同じ、白衣を着ている林宇だが、非常に疲れている顔で、目にクマができてしまう。元々のリーゼントはあんまりて入れてないからか、緑の色と合わせて、雑草にも見える。
「このリニアレールガンって、もしかして?」
「ああ、あの時俺たちが作ったやつだ。ちょっと改良した。あんまり時間がないから、ちょっとだけだけど。本来は戦車に付けようと思ったが、李迫水の紹介で、あのランケンってやつに使わせたんだ」
「おい、口の利き方を気を付けろ、林とやら。それとも、裏切者の息子と呼んだほうがいいのかな?」
これを聞いて、林宇は怒り出し、喧嘩でもしようとしたら、アンジェリナは無理やり彼を止めた。
「俺はソニアチームの主力だ。あの九流猟魔人のように扱ってもらっては困る」
ランケンは、倒れている諸葛夢を見て、
「まあ、こんな怪物、九流猟魔人には確かに荷が重すぎるかもしれんな。だが、この新兵器の威力は悪くない。テスト成功ってことかな?次は小型化して、俺の鎧強化プランの一環として使わせてもらう。ちゃんとがんばれよ、わかったか?」
と言って、ランケンはその場から去った。
「くそ、親父の大剣がやつらの手に落ちらなければ、とっくにぶちぎれるぜ」
「いやいや、すでに切れてるよ。アンジェリナの留めがなきゃ」
暴れが収まったところ、アンジェリナは林宇を離し、
「でも、林宇はなぜ来るの?それに、あのレールガン……」
「ああ、あのなんかSDが、なんかのデーモンサーチャーの人が、妖狐かなんかがテロリストに混ぜて何やってる。まあ、詳しいことは俺にもよくわからねえよ。とにかく、李迫水がやつらを呼んで、あいつらは怪物退治、俺たち軍の人はテロリスト相手」
「俺たち?」
「ああ、俺は今防衛部で働いてる。防衛部は今ちょうど研究人材が必要だ。俺の鉄甲人やこのリニアレールガンは彼らが欲しがっているものだ。俺はさ、ずっと林娜の生活環境などを改善しようと思ってたんだ。それに、軍の力を借りて、親父が遺した大剣も取り戻したいしな。このリニアレールガン、確かにあんたが一緒に作った……」
振り返ると、アンジェリナはすでに倒れて、グーグーと眠った。
「なんでいっつも寝てんのよ、司馬のお嬢様……」
林宇はしゃがんで、アンジェリナの頬っぺたを摘んで、
「一緒に作った、か……」
新元9月11日、泰山某所の洞窟、カイは轟天雷鳴剣で見えない化け物を一刀両断して、アンジェリナ、古天仁、林宇、林娜、そして犬のパウズ、5人一匹は洞窟から出て、諸葛夢と百吼の決闘を阻止しようとするその時、急にパウズは警戒し始めた。
機械の足音、角から歩いてきたのは、林宇の鉄甲人二号だった。
「ええええええええええ?俺の鉄甲人二号がなぜ勝手に動き出すの?」
林宇絶叫した。すぐ、鉄甲人は爪で、一行に攻撃し始めた。幸い、同業中学の時よりスムーズに動けるとはいえ、まだまだ速度が鈍く、攻撃を避ける自体は難しくないことだった。
カイはすぐ雷光剣を繰り出して、反撃しようとしたら、すぐ林宇に止められ、自分がせっかく作ったものだ、壊されたくないだろう。しかし、これで避ける一方になって、戦闘は泥沼化した。
数分暴れたら、鉄甲人二号はやっと動きが止まった。ガス切れかと思ったら、別にそうでもない。そして、鉄甲人二号の上に、アンジェリナが現れた。
「嬢様気を付けて!」
「アンジェ気を付けて!」
「俺の鉄甲人を壊すんじゃねえぞいてて」
林娜に踏まれた林宇であった。
「大丈夫大丈夫、林宇のロボットは、操られたみたいよ」
アンジェリナは鉄甲人から、何か基盤のようなものを引っ張り出し、その基盤の上にいっぱいケーブルがついていて、数本の上にまだ新しい鎔断された痕跡があった。これはたぶんカイの雷光剣の痕跡、だから、この基盤は見えない化け物の一部可能性が極めて高い。
「ああ、わかったわかった。もういいから、俺の鉄甲人から降りろよ」
アンジェリナはちょっと沈黙して、ずっと林宇のことを見てる。そしてしばらくしたら、
「林宇、リニアレールガンって知ってる?」
「は?バカにしてるのか?電磁加速の物質投擲武器だろう?スペックはすごいが、電力の消耗がでかすぎて、大した実用性がないよな。第三次世界大戦の時も、一部の軍艦しか採用されてないらしい。」
「林宇は全然ロマンじゃないだから」
「ロマンに関係ねえよ」
「ところで、夢の救援はしなくていいのか?」
古天仁は急に口を挿む。
「でも、手ぶらで行っても、何もできないじゃん?あの殺し屋、百吼、結構強いよ。だから……」
「まさか、司馬のお嬢様。あんたはここのガラク……もとい、俺のロボットでリニアレールガンを作る気?」
「なんでダメなのよ。電磁の関節もあるし、熔接担当もいるし、」
アンジェリナはカイを見て、さらに基板から緑色の電池らしきものを取り出し、
「エネルギー源も、材料も全部揃ったよ。今アンペア法則も変わったから、これだけの材料で、かなりいいもの作れるよ」
これを聞いて、林宇は考えた。言われてみれば確かに、昔自分の簡易なレールガンを作ったことはあった。だが、あれはせいぜいアルミ缶に小さい穴をあけるぐらいの代物だったが、今なら確か違うものが作れる。
「ねえねえ。どう?心の中のロマンチックは、刺激された?」
「いや、確かに、面白い発想だが、でもあれを作るのに結構時間かかるぞ」
「それなら、まっかせなさい!」
アンジェリナの言葉、林宇はすぐ理解できた。信じられないぐらいの短時間で設計図を完成し、パーツの分割もまさに神技。カイの剣捌きもあり、最後の組み立てはかつてのガンプラみたいに、小学生でも簡単に組めるぐらいだった。
結局、完成したレールガンは恫喝だけで終わったが、物自体の出来は上々だった。
「しかし、俺は一体何なんだ?」
ここ数日、林宇の頭の中に、この言葉は、やまびこのように、ずっと繰り返された。目の前の小娘は、ずっと自分のライバルだと信じ、林家復興の邪魔者だと思い込んで来たが、あの夜の出来事で、やっと理解できた。凡人である自分は、どうあがいても、この天才少女を超えることはできない。
自ら最後のプライドを捨て、妹をネオシャンハイ最高級の学校に入学させるためにも、超能力者共から親父の遺産を取り戻すためにも、リニアレールガン自分の設計だと嘘をつき、そして新武器の開発は協力すると、李迫水に承諾した。
「あ~あ、今は急に大きい岩が落ちてきて、この子娘をぺっしゃんこにしてくれないかな。」
頭を上げると、そこのあるのは夜空、周りの丸い残骸から、鉱石や、軍用の照明ライトが見える。さらに、建造物の断層がある。新しいものもあれば、相当古い建物もある。
しかし、落ちそうなものがない。苦笑いしながら、林宇は自分の頭を叩く。その時、林宇は見た。断層の一角、マスクをつけている人が、下を見ている。
断層から見える、マスクの人は、一体誰なんだろう。
次回を待て!




