表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
60/137

第五十八話 『B.E.A.S.T』

一巻の終わりか?

 新元4年9月17日、A&E研究所の地下深く、大空洞。


 鉱石から幽暗な青い光が、多色な鍾乳石を照らし、いかにも神秘的な雰囲気を醸し出している。ただ、石壁の奥深く、違和感のある灰色が、そこに留まる。


 無名の千年樹妖、最後の生気を失い、元々ほんの少ししか残ってない枝もすべて枯れて落ちる。褐色の樹幹は灰色になって、アンディがこじ開けた二つの穴の上に、驚愕な表情の老けた顔、かつて目と呼ばれた場所も、今は深くて黒い穴しか残ってない。それでも、大きく開け、まるで前の戦場を睥睨(へいげい)しているのようだ。


 大空洞の真ん中、魔界の穴の下、そこに戦場はある。否、一方的にたたかれ、骨が拳に粉砕され、肉が爪で切り刻まれ、もてあそばれた残忍極まりないの遊び場、という表現が正しいかもしれない。


 けもの。


 獲物を遊んでいる猛獣がいる。アンジェリナは、目の前の光景を、こう連想している。


 話は遡り、アメシストの強化魔法によって、アンジェリナはやっと怪物アンディと互角の身体能力を手に入れ、諸葛夢の指示で、圧倒的に優勢に立つ。しかし、それでもパンチ力が足りずに、決定的な一撃がない。


 そこで、アメシストは自分を犠牲にし、自らの体で怪物アンディのバリアを破り、アンジェリナの魔法攻撃で怪物を仕留めると決意した。


 しかし、アンジェリナの躊躇いで、怪物アンディは、少しの隙で、再度大樹のところに逃げ、最後のマナを吸収し尽くした。


 三分の時間制限が過ぎた。アンジェリナの体にこれ以上の負担掛けたら廃人になりかねないから、アメシストは強化魔法を解除した。しかし、これに気付かずに、アンジェリナはうかつに前に出てしまった。


 強化魔法なしじゃ、前のアンディにも太刀打ちできないのに、ましてや今は再度マナを吸収し、さらにごつくなったアンディ。目の前のアンディ、体型はさらに大きくなって、一部、人間には絶対持ってない骨が生えたのように、体のところどころに不自然な突起が増え、まさしく異形なボディだ。


 アンジェリナの攻撃は全く聞かない。逆に、怪物アンディ振り返りのワンパンが、アンジェリナを遠く吹き飛ぶ。幸い前の戦闘で怪物アンディの攻撃パターンを大体把握したため、アンジェリナはすぐ防御に徹して、一応致命傷は免れた。


 吹き飛ばされたアンジェリナは、諸葛夢は受け止めた。しかし、アンジェリナの両手はあの一撃ですごく震えて、これ以上の戦闘は無理だ。


「危ない!!」


 カイは突然叫ぶ。しかし、時すでに遅し、怪物は口を大きく開け、巨大なエネルギー波が、諸葛夢とアンジェリナに飛ぶ。カイは全力で駆けつけろうとするが、遠すぎて間に合えるはずがない。


 あともう少して当たるその時、諸葛夢は急にアンジェリナを抱き、自らの背中でこの一撃を受け止め、アンジェリナを庇った。


 巨大な爆発音が、大空洞を揺らす。舞い上がる埃と落ちて砕く鍾乳石。すべてがおさまって、そこの残ったのは、まだアンジェリナを抱えている血まみれの諸葛夢だ。


「ム、ムウ!」


 アンジェリナにはわかる。無気力で自分の肩に傾いている諸葛夢の頭から、もう呼吸が感じない。


「嬢様、大丈夫か?」


 カイはすぐ駆けつけ、アンジェリナを諸葛夢をから離し、再度彼の様子を確認する。ひどい傷だ。背後の骨まで見れる。そして間違いなく、もう息がない。


「アメシスト、アンジェリナに再度強化魔法を、前より強いやつ!」


 怒りと自責が、アンジェリナの脳内を駆ける。震えている両手は、もはや痛いからでなく、怒りや悲しみによってのものだ。


「しかし、これ以上強化したら、本当に廃人になるぞ」


 地面に置いたままのアメシストが、無気力状態でアンジェリナに警告する。


「廃人になってもいい!体がバラバラになってもいい!あいつはムウを殺した!だから、だからあいつに一矢報いをしたい、ムウと仇をとりたい!アンジェリナの体はどうなっていいのよ!」


 ヒステリーになったアンジェリナは、発狂のように叫ぶ。


「嬢様、ここは俺がやるよ。ボディガード失格になりたくないんでね。それに、俺も夢を殺したあいつを許すつもりはねえよ」


 カイはアンジェリナの肩を掴み、彼女を落ち着かせそうとする。だが、悠長な会話は許されるはずもなく、怪物アンディの第二は攻撃はすぐ来る。諸葛夢を殺したごついビームではないが、手を振るだけで、衝撃波が発生して、その場の三人と一本を吹き飛ばす。


 すべてが終わった。立ち上がる気力もないし、立ち上がったところで、アメシストももう強化魔法が使えない。怪物がここから出たらさらに被害が広げるのだろう。最初からムウとカイやんを地下に行かせるべきではない。もうちょっと早く、ワープストーンヘンジのことを研究員の仲間たちに伝えるべきだった。


 いろいろと後悔しているが、もうすべてが終わったみたいだ。怪物アンディは、骨をボキボキながら、三人の方向に向かっている。


 その時


「フフフフフフフフフ」


 笑い声が、大空洞に響き渡る。


 よく知っている声だ。しかし、だから怖くなる。アニタとして。A&E研究所で冒険の記憶がよみがえる。確かに、エミリーに殺された人間は、まるでゾンビ映画のように、うつされ、同じく狂暴化する。


 まさか?


 頑張って目を開け、一番見たくない光景が目に入ってくる。息が止まったはずの諸葛夢は、あってから一度も聞いたことのない笑い声を放ちながら、立ち上がる。


 まさか、ムウも狂暴化した?怖い推測が、アンジェリナの脳内に駆ける。


「いってえな」


 諸葛夢背後の傷口が、すごいスピードで治る。


「やったのはてめえか?」


 怪物アンディは、さき自分が殺した相手が急に復活に一瞬驚いたが、すぐダッシュして、諸葛夢に強力なパンチ一発を見舞いする。



 しかし、諸葛夢は片手で軽くパンチを止め、片手でパンチを繰り出す。パンチはまだ怪物アンディに届いてないが、拳気はすでにアンディを吹き飛ばす。


 威力はでかくないからか、怪物アンディはすぐ空中で体勢を整え、石壁で三角飛びして、無数のパンチを繰り出す。


 パンチの力で、地面はいっぱいの穴ができてしまいうが、諸葛夢は全く避ける気はなく、いっぱい当てられたが、全くの無傷だ。諸葛夢は服についた埃を叩いて、口元の血痕を拭きとって、笑い始める。


「一発で殺すのがつまらねえから、今日はいっぱい楽しませてくれよ。まずはてめえからだ!」


 手のひらで一押し、ある気圧が怪物アンディを空高く吹き飛ぶ。諸葛夢は軽く数回拳を振って、拳気は矢のように発射され、怪物アンディを天上まで打ち上げ、鍾乳石にぶつかる。


 諸葛夢は高く跳んで、天井にくっ付いた怪物アンディを引っ張って、再び地面に蹴り落とす。追撃で、膝で背後に一撃。怪物アンディは悲鳴のあとで、たくさんの血を吐いて、その場で痙攣し始める。


「リザレクション」


 諸葛夢の手から、眩しい光るが放ち、重傷の怪物アンディは、すぐ回復して再度立ち上がる。だが、立ち上がった途端、また首が捕まれ、殴られる。


「俺様は回復魔法が苦手なんだ。だから感謝しろよ!聞いたかボケ!」


 軽く一蹴りで、怪物アンディを石壁に蹴り飛ばし、奥深く壁の中に挟まれる。諸葛夢は遊園地の射的ゲーム感覚で、拳気で怪物に打つ。拳気だが、一発一発の威力が高く、命中した部分は、鋼鉄のように頑丈な体が、変形するぐらいだ。


 諸葛夢の攻撃がやめたとき、怪物アンディはすでに原形に留まらない姿になったが、どうやらまだ満足してないのようで、再度アンディを大空洞の真ん中に蹴り飛ばし、回復魔法をかけた。


「よしよし、前の黒い野獣どもより面白い、だから今回の回復魔法はおまけだ。うれしいか?」


 また復元された怪物だが、また経ってないうちに、腕が紙のように、諸葛夢にぶち破られる。


「しっかし、やっぱりよええな。ちょっとあきた。てめえをやってから、まだ獲物二匹が待ってるぜ」


 笑いながら、諸葛夢は怪物アンディを破り始める。しばらくすると、元々でカイ怪物が、頭以外は一部の骨しか残ってない。


 隣で、アンジェリナとカイはずっとこの光景を見ている。怖すぎたせいか、こんなグロい場面なのに、なぜか吐く気はない。


 今度こそ、回復魔法でも効かないぐらいに、怪物アンディはバラバラになってしまった。諸葛夢は両手の血を振って、アンジェリナを見る。蛇に睨まれた蛙のように、アンジェリナは震えながら、びくとも動けない。


 絶望だ。もうすぐ死が自分に訪れ、どうあがいても、目の前の諸葛夢に抵抗したりはできないという絶望感だ。やってくるのは、もはや諸葛夢ではなく、死神そのものだ。


 諸葛夢はアンジェリナに向かおうとするとき、怪物アンディは再度行動し始める。あばら骨が、蟲の足のように、素早く這い、大樹の口に入り込む。


「へえ、まだ足掻くのか、おもしれえ」


 諸葛夢は笑いながら、怪物アンディの抵抗を観賞する。大きな振動、大樹の口は大きく開け、巨大なエネルギーの玉が収束し始め、しかも玉のサイズがどんどんでかくなっていく。次の瞬間、大きな轟音とともに、砲弾のように、この前諸葛夢を“殺し”たビームより何倍も強いエネルギー弾は諸葛夢に飛ぶ。


「ドアホめ、何か面白いものかと思ったのによ」


 諸葛夢は手で軽く一振り、エネルギー弾の方向を真上に変更し、大空洞も、墓も、A&E研究所も、すべてを吹き飛ばして、夜空に飛んでいく。


「あ~あ、俺様はさ、図体のデカイやつは大っ嫌いなんだよ。」


 ちょっと目を閉じ眉を顰める諸葛夢だが、すぐ目を開け、獰猛な顔で、


「てめえはもう生きる価値ねえんだ。死にな」


 話が終わった時、諸葛夢はすでに大樹の前に立っていて、手を上げ、拳で大樹に打つ。


「やめろ!!諸葛元!!」


 また拳が大樹に届いてないその時、入り口から人の声が聞こえてくる。アンジェリナとカイは入り口を望むと、やってきたのは、古天仁だ。




諸葛元とは?古天仁現れる理由は?そして物語の行方は?

次回を待て!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ