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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第五十二話 『魔法少女』

魔法少女?結構ふざけた一話ですが

 また前回の続き、大男は諸葛夢とカイを掴み上げ、二人を絞め殺そうとするその時、石造の部屋が大きな穴があけ、中からまぶしい光と人影が現る。


「待ていっ!」

「な、何者です?」

「他人が学生の時期に書いたちょっぴり恥ずかしい中二っぽい小説や漫画のキャラ設定、もはや黒歴史的な存在。


 それを知っていても、いたずら感覚で、全校生徒の前に大声で朗読する。


 人はそれを、やめろ、という」

「な、なに言ってるんだこいつ。名乗りなさい!」

「お前たちに名乗る名前などない!先手必勝だ。エンジェルロケットパーンチ!!」


 二発、光のパンチが飛ぶ。一瞬でクロスボウ使いの五人と金髪男を殴り倒し、女だけは尻餅を食らってギリギリ避けた。そして大男は、命中されたのように見えるが、諸葛夢とカイはすでに放され、大男の姿もやがて透明になって、歪んで、そして消える。


「なに?質量をもつ残像か?」

「おい」


 諸葛夢のツッコミ対象は、アンジェリナだった。眩しい光が消え、中から鎧を付けた魔法少女姿のアンジェリナが見えてくる。


「ある時は看護婦、ある時はスチュワーデス、またある時はアイドル歌手、しかしその実体は、世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため、愛と真実の悪を貫く、ラブリーチャーミーな魔法少女、ええええっと、超天才魔法少女、レインボーエンジェルだ!」

「ごちゃまぜるな……」

「ヴァレリー、やつを殺せ!」

「午後のあの金髪小娘か」

「いえいえいえいえいえ、アンジ、ケッホン、あたしは午後の金髪少女じゃないよ。あたしは、スーパー天才メタル美少女、ヴァイスエンゲル」

「名前変わった……」

「何か天使か魔法少女かは知りませんが、低劣なコスプレは家でやりなさい」

「低劣なコスプレ?失礼じゃ!」


 アンジェリナのポケットから、魔法のステッキが飛び出し、


「わしは二千年前に前たち人間を守るためにはるばる参れた由緒正しい神器じゃ。地位的に、かの聖剣エクスカリバーや定海神針(ていかいしんしん)如意金箍棒(にょいきんこぼう)と同格、いや、それ以上じゃ」

「聞いたこともない……」

「だまれ、そこの銀髪野郎、先からなんじゃ、黙って聞いてりゃツッコミばっかりしやがって、人気か、人気狙いか。わしの名、アメシスト、聞いたことはあるじゃろう?」

「……」

「ふぉふぉ、驚いて話もだせんかのう。今日、わしはこの少女を選び、わしの力を使って、えっと」

「超級ハイパー天才メタル魔法美少女、ラブリヴァイスエンゲル」

「また長くなってる」

「そうじゃ、本当に長すぎてわしも覚えられんじゃ。とにかく、略してヴァゲル、只今悪を滅ぼすため参上じゃ」

「ヴァゲル?略しすぎ」

「文句言うな。本来なら名前もコスチュームもわしが決めるはずじゃがのう」

「何言ってんのよ。あのコスチューム着れるはずがないじゃん。この、変態スケベステッキ!」

「あれはサービスじゃよ、サービス。特別な力を手に入れたのじゃ、みんなにサービスすべきじゃろう。わしはまたあんさんのまな板がわしのディザインしたコスチュームの魅力を引き出せんとの文句は言っておらんぞ」

「ぐぬぬ、アンジ、あたしはまだ成長中なの」

「さあのう、人によっては一緒このガキ体型のままかもしれんわい。大人になっても、合法ロリってことじゃ」

「合法ロリでも、あなたみたいな二千年以上生きてたのにアニメに出てきそうな魔法ステッキの形をしている妖怪よりマシよ」

「仕方ないわい、元の姿じゃ、かわいい女子がわしと契約せんわい」

「そもそも、何か魔法少女よ、あやしい、だれがあんたなんかと契約するもんか」

「あんさんはけいやくしたじゃろうが」

「一日だけだけどね」

「本当に長期契約も考えておかんか、特殊な力で世界の平和を守る。美しいことじゃろう。あんさんものぞんだじゃろうよ」

「世界の平和はあたしの力でまもるわ。万年変態スケベぼろ魔法ステッキの力を借りなくても」

「なんじゃと、この万年ぺったんこロリ!」

「この万年変態スケベぼろステッキ!」


 その場の全員が、ポカーンと二人の口喧嘩を見ている。真っ先に我に返ったのは、ヴァレリーだ。


「デザートイーグル、この茶番をこれ以上付き合うのか。先に進まない?」

「いや、あの魔法のステッキが本当に小娘に特別の力を与えるのなら、殺すべきです」


 金髪男のこと、デザートイーグルは立ち上げ、


「劣等の一般人が我々と同等な力を持つことなど許しませんよ」

「確かに、これは許せん。では今度こそ全力で殺す」


 ヴァレリーは力を入れ、体の周りに凍気が現れ、凍気が氷の結晶と化し、彼の体に付着して鎧になった。


「かわいそうだが、ここで死んでもらおう」


 一瞬でアンジェリナの前に現れ、砲弾のように、パンチが彼女に襲う。しかし、アンジェリナは見事な回転動作でパンチを躱し、逆に後ろからキックがヴァレリーに命中する。氷の鎧が微かな亀裂が入るが、すぐ凍気で補われる。


「人はまだ話しているときに、勝手に口を挟まないでくれる。親の顔見てみたいわ」

「親なら、第三次世界大戦で死んだ」


 つぎの瞬間、ヴァレリーは五体の分身を作り出し、アンジェリナに一斉攻撃を仕掛ける。今度は見事に全部命中し、アンジェリナは大きくノックバックされた。


「口ほどもないな」

「先、不謹慎なこと言ってしまって、すみません。これは罰だよ」

「な?減らず口を!!」


 今度、ヴァレリーは10個の分身を作り出し、雨のようなパンチがアンジェリナに降り注ぐ。しかし、当たる瞬間、手ごたえがなぜか違う、空振りのようだ。


 気づけば、アンジェリナがすでにヴァレリーの後ろを取り、


「エンジェルトンフ、ソードキッッッッック!」


 光を纏った跳び蹴りで、ヴァレリーを蹴り飛ばし、氷の鎧も、一瞬で粉々になった。


「先トンファーって言いかけたね」

「う、うっさいわね。ツッコミ銀髪!」


 この一撃は重い、ヴァレリーはかろうじて立ち上がるが、しかしもうこれ以上の戦闘は不可能だ。


「ま、まさか、俺の分身攻撃を見破るとは」

「えっへん、分身攻撃なんて、アニメや漫画にたくさん見てきたの。こういった残像タイプなら、若干先に動いたやつが本体のに決まってるよ。それに、氷の結晶でできた残像なら、本体との温度差もある」

「なるほど、完敗だ」


 ヴァレリーは残った鎧も解除し、地面に座り込む。


「残念ですね。わが友よ。グレー・スネイクの掟では、失敗は許しませんぞ」


 デザートイーグルの合図で、四本の矢がヴァレリーの体に貫く、電撃、炎、いろんなエフェクトが混ぜて、ヴァレリーの悲鳴とともに、部屋を充填する。


「な、なにやってのよ、この人、あなたたちの仲間じゃない?」


 アンジェリナは怒鳴る。


「我々グレー・スネイクは、能無しの一般人を排除するだけではなく、たとえ覚醒者であっても、失敗者なら掃除します。長い間、この世に偽善があふれている。無能な人々に甘すぎです。だから社会の進歩は遅くなったのですよ。我々グレー・スネイクは、人類を正しい道に導かる使命を持っているのです。適者生存こそ、この世の真理ですよ」


「何が真理ですよ。そんな中二病な理由で人を殺すなんて、アンジェリナは許さない!」


 といって、アンジェリナの両手の中、光っているエネルギーの塊が現れる。


「えええええ、この人は嬢様だったの?」

「……」


「これなら及びませんよ。小娘、我々の計画は、必ず成就できます!」


 デザートイーグルは、スーツからナイフを取り出し、腹きりで自殺した。後ろのクロスボウ使いの四人も、新しく矢を装填し、自らの脳天を打ち抜く。


「な、なんで自殺するの……」

「わあ、本当に嬢様だったのか。びっくりしたよ」

「いや、髪型変えただけだろう」

(しかもほんの少しだけ)


 諸葛夢とカイは無事のようで、アンジェリナはほっとして、暗い表情も幾分晴れた。三人は無事合流する。


「わあ、この鎧、格好いいな、どんな材質なんだろう」


 カイはアンジェリナの鎧を触ろうとすると、アメシストに叩かれ、


「気安く触るな!これはわしが作ったんじゃ!」

「デザインしたのはアンジェリナだけどね」

「わしがいなきゃあんさん変身できるのか」

「ええ、嬢様変身できるのか、見てみたいな」

「こ、これはダメだよ」


 アンジェリナは顔が真っ赤。


「なんで?」

「だ、だって、変身するとき、一瞬裸になるもん」

「なんで裸なん?」

「わしは娘さんの服を分解し再構成するからだ。全く、無理やりワンピースから鎧を生成するのは骨折ったわい。普通はフリフリきらきらじゃろう」

「どうでもいいでしょ」

「え、じゃあ、あんた、嬢様の裸を見たの?」

「まあ、洗濯板のガキ小娘じゃ、大した見どころはないわい」

「言わせておけば!」


 顔真っ赤なアンジェリナは、アメシストを折る


「や、やめい、本当におられる!」

「大丈夫だよ。折られたらあとで接着剤でくっつけてあげるから!」

「おられたらもう二度と使えん!」

「別に、一日だけの契約だから、あとはどうでもいいのよ」

「悪魔か?あんさんは万年悪魔ロリか?誰か、この小悪魔を止めてくれい!」


 そちらで茶番をやっているとき、諸葛夢はテロリストの死体を確認する。


「あの女は?それにクロスボウ使いも一人足りない」



テロリストの二人が失踪?いったいどこへ消えたのか

次回を待て!

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