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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第四十九話 『再度の地下』

また誘拐された???

 新元4年9月17日、夕方、新元学園電脳実験室。


 カイは慌てて実験室に入り、ゲームをやっている諸葛夢に、


「むむむむ夢、やばいよやばいよ。じょ、嬢様、嬢様が、ま、また誘拐された!」


 諸葛夢は手で顔を覆い、


「あいつ、ピ〇チ姫か」


「え?」


「何でもない。今度はなんだ?異星人か?」


「え?いや、強盗……じゃなくて、寺リストだ!」


「寺巡回する気か?テロリストだ。」


「あ、そうそう。今日な、俺たち嬢様の友達のうちに行ってな。宝地図を発見したんだよ。でもすぐテロリストたちが入ってきて、嬢様と宝地図を奪ったんだ!」


「じゃあ、お前が助けてやれ」


「だめだよ。中に大男がいてな、俺だけじゃなかなか倒せなくてな。だから、手伝ってよ」


「テロリストなら、とっくに殺しただろう?」


「いや、なんか宝は結構複雑な迷宮の中にあって、宝地図も難解だから、嬢様は解読役みたいなもんで、しばらく命の保証はあるよ。」


「複雑な迷宮なら、俺たちはどうやって追撃する?」


「大丈夫だ。嬢様が地図を暗記して、もう一枚画いたよ」


 カイは一枚の紙を取り出し、上には宝の地図を描いた。


「テロリストに拉致されたじゃない?なんで描けるんだ?」


「え?えええ、いや、発見した時点で、万が一のため描いた」


「じゃあ、なんで暗記して描く?そのまま写せばいいだろう?」


「ぎ!え、えっと……」


「小娘は単純に俺を引き入れるために嘘をついただろう。拉致やらテロリストやら」


「いや、確かに拉致されてないんだ。でも、テロリストは本当にいるんだよ。しかも、なんか覚醒者みたい」


「な?」


 確かに、もし本当にテロリストが存在するなら、カイが苦戦するほどの人間、間違いなく覚醒者だ。覚醒者の集まりがテロの集団と化して、何かをやるのなら、ただ事ではない。


 カイの話では、アンジェリナは先にテロリストを尾行して、カイは諸葛夢と一緒に増援、という作戦だそうだ。元々直接奪う気はないので、勝手な動きはしないとカイに約束した。


 しかし、本当にテロリストが先に宝を手に入れたら、あの小娘は無茶なことをやりかねない。結局危険な身だ。それに、どうせやることないし、と思って、諸葛夢は参入承諾した。


 懐中電灯や水など用意して、簡単な仕度をしたら、二人はアンジェリナが示した近道に行く。最初の目的地は、A&E研究所だ。


 あの夜、アニタとして、アンジェリナは研究所から脱出した。しかし、黄金の髑髏以外、警察はアンジェリナが言ってた緑毛の怪物や脳みそ化け物を発見できなかった。


 現場で六体の死体が発見され。副所長のエミリー・ブライアン、研究員のパウル・リプトン、シンディ・フェーン、セン トウブン、イーサン・カイン、そして身分確認不可の男性一人。


 その中に、エミリー、セン、イーサン、謎の男性は、頭部が破壊され、脳みそが確認できない。パウルは後頭部の直撃によって死亡、凶器の棍棒はB1ロッカールームで発見された。


 そしてB3の下に、さらに構造が完全に違う古い建物があり、古代衙府(がふ)の牢屋のようだが、中の死体は十年前、つまり戦争時のものだ。


 さらに、牢屋の突き当りに、下に向かう階段があり、階段の向こうは棺桶を配置した部屋がある。地面に黒焦げた人のあざはあるが、それ以外は特に異常はない。


 あの部屋、あの棺桶こそ、今回のお宝につなぐ、近道の入り口だ。棺桶の上に、穴があって、愚者の炎(イグニス ファトゥス)と金塊は、この穴から外に出て、カイたちと戦ったのだ。


 アンジェリナの地図では、この棺桶底は蓋となって、特殊の方法であけられる。その下にさらなる迷宮があると記載した。しかし、諸葛夢はあの蓋に抉られた痕跡を発見し、カイの雷光剣で簡単に開けた。


 まさか、テロリストたちも先にここから入ったのか。いや、テロリストなら見張りも用意せずに、蓋を閉じって侵入するとは考えにくい。それに、もしアンジェリナが尾行しているのなら、あの石の蓋は、彼女が動かせないはず。


 蓋を開け、二人は下に行く。最深部に到着して、懐中電灯で地面を確認したら、他のところに埃は多いが、一部だけ、比較的にきれいな四角い部分はある。


「ここは黄金髑髏の金塊置いてあったはず」


「ええ?じゃあ、もう財宝がないの?」


「いや、地図のもう一か所に王冠の記号があるだろう。あっちは目的地だ」


 二人は、アンジェリナの地図通りに、王冠に向かって進む。途中で、吹矢、巨石、落とし穴などの罠がいっぱいあったが、諸葛夢とカイの前では、子供のおもちゃと同然、全く意味がない。


「そういえば夢、覚醒者って、何?」


「急にマナを使える人間だ」


「なんで?」


「知るか」


「じゃあ、お前も覚醒者だろう。何で覚醒した?」


「し!」


 話している途中、諸葛夢はカイに声を出さないと合図を送る。通路のある部屋から、声が聞こえてくる。その声は、二人ともよく知っている。


 ゴブリンだ。


 二人がこっそり部屋を覗いたら、いろんな違うサイズのゴブリン十数匹、洞窟の中にあちこち物を探している。数匹は傷が受けている。途中の罠に嵌められただろう。どうやら、先客はゴブリンだ。


「なんでゴブリンがいるのか?」


 カイは小さい声で諸葛夢に聞く。


「ゴブリンは金目のものに敏感だ。この辺りに宝があるだろう」


「じゃあ、どうする?倒しに行く?でかいやつもいるぞ」


「融合したんだ」


「融合?」


「ゴブリンは融合して強くなる能力を持っている」


「だから古さんはゴブリン弱いって言ったのに俺は結構苦戦したのか」


「でかいやつとの闘いは避けるべきだ。あとはまだテロリストがいる。挟み撃ちを受けたら一巻の終わりだ。」


 諸葛夢はアンジェリナの地図を取り出して再度確認する。どうやらほかの道がある。二人はこっそりと別ルートをとる。


 しかし、ちょっと歩いたら、ゴブリンの部屋から、悲鳴が聞こえる。ゴブリンたちは何かと交戦しているのようだ。


 今のうちに終点疾走か?いや、悲鳴から判断すると、交戦というより、ゴブリンたちは一方的に叩きのめされている。漁夫の利(ぎょふのり)を狙えなくても、あの合体ゴブリンをそう簡単に倒せる相手がいたら、まず相手を確認しといたほうがいいだろう。


 と、諸葛夢を思って、カイを連れて元の場所に戻る。再度なかをこっそり覗くと、大きな黒い影が一瞬消え、残ったのは、ゴブリンたちの死体だけだ。


「あれはお前の言う大男?」


「いや、よく見えてないが、あれほど巨大じゃないな」


 ヴィンヴィン


 諸葛夢のポケットは振動した。


「気を付けろ。かなり強い魔族が来る」


 二人は、警戒し始める。そして二人が来る方向から、高く細い、低く太い、二つの影がやってきた。二つの影が部屋中を確認して、二人を睨む。


「われわれの同胞たちを殺したのは、あんたたちかい?」


二つの黒い影は一体?諸葛夢とカイは太刀打ちできるのか?

次回を待て!

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