第四話 『電光魔獣』
「やめろ!」
と叫ぶ諸葛夢、だが時すでに遅し、カイの電光が纏う拳がすでに怪物に命中した。
強烈な一撃だ。大きな爆音とともに、やっと仮山から爪を抜いた怪物が避けることもできず、拳と電光の衝撃に直撃された。
次の瞬間、カイと怪物の真ん中から、波状の衝撃波が拡散し始め、まるで大きな石が湖に落ちたのように、諸葛夢もやむを得なく小手をかざす。
衝撃波はやっとおさめた。諸葛夢はすぐさま手を下ろし、状況を確認する。予想通り、怪物は倒されたところか、完全に無傷の上、先より一回り大きくなった。
本来灰色っぽく毛は緑色となって逆立ち、六つの目からまぶしい光が放つ。腕についてる爪も二十センチぐらい伸び、巨大化した。
「こいつ、やっぱり熊じゃないな!」
「人の話聞け」
「じゃこいつ何なんだ?」
「たぶん、魔獣だろう」
「まんじゅう?」
「魔獣だ。しかも雷系マナ吸収できるタイプだ。先お前の一撃を吸収して、パワーアップした」
「はよゆえ!」
「知るか!」
「じゃどうする?こいつ、めちゃくちゃごつくなったぞ」
これ以上の作戦会議を許すわけがなく、パワーアップ果たした魔獣はすぐ二人に襲い掛かった。諸葛夢は重心を下ろし、ダッシュして魔獣の背後に回り込み、先に攻撃し始める。カイもすぐその意図を理解し、魔獣に挟み撃ちを仕掛けた。
だが今の魔獣にとって、これはどうということはない。片手で諸葛夢、片手でカイ、何回も何回も二人の攻撃を捌き、そして段々と、防御から攻撃に切り替え、その勢いにのって、大回転攻撃を繰り出し、二人を吹き飛ばした。
再び距離を開けた二人と一匹。これで作戦会議できると諸葛夢は思う。
「死んだ?」
「死んでねえよ。っていうか、こいつどう倒す?」
「賭けてみるか?」
「どうやって?」
「攻撃し続ける」
「そう簡単に?」
「ああ、できるか?」
「できねえよ。」
こういうのは無理もない。先の一撃を防御するだけで、カイの腕は痛みで震えが止まらない。
「この魔獣を野放したら、ほかの人は危ないぞ。お前の言う‘嬢様’も含めてな」
「ぎっ!」
アンジェリナの話を出すと、さすがにカイも弱音を吐けなくなった。
「それに、先の技をもっと使え!」
「え?これ以上パワーアップさせたらどうすんだよ!」
「とにかくやれ!」
諸葛夢は先に飛び蹴りを繰り出す。
カイは仕方なく、髪の毛を整理し、バンダナの位置を直し、ちょっと力を貯めたら、一緒に攻撃仕掛けた。
戦術は極めて単純だ。同時攻撃を見せかけ、諸葛夢は攻撃専念し、なるべくチャンスを作ってカイに力溜めさせる。数回の攻防のあと、カイの準備はできた。
カイは諸葛夢に合図を送り出し、諸葛夢もすぐキャッチし、横に避けた。これを見て、カイは再び雷電拳を打ち出す。
また命中した。しかし、今回の魔獣は、パワーアップしなかった。逆に、苦痛のように痙攣し始めた。
「効いた? お、なるほど、これ以上吸収できないからか?」
「もう一発できるか?」
「ああ!」
光明が見えてきたからか、カイもやる気満々になって、二人は再度魔獣に仕掛ける。しかし、魔獣はそう愚かではない。ダメージ覚悟で諸葛夢の攻撃を無視し、全力カイに攻撃し、溜めるチャンスを全く与えない。
だが、これは逆に証明された。魔獣はこれ以上の雷電を恐れているってこと。
魔獣と戦って数分しかたってないが、二人はかなり疲労した。次の一撃で勝機が見えると判断し、諸葛夢は力を振り絞って、全力で魔獣に攻撃した。カイに専念している魔獣も、これでは諸葛夢を無視することができなくなり、やむを得なく諸葛夢と戦い始めた。
今はチャンスだ。カイはそれを悟り、すぐさま再度力を試し始めた。今の体力だと、これは最後かもしれない。後ろの危険を察知した魔獣は、諸葛夢を吹き飛ばし、再度カイに向かった。
「うて!」
と、諸葛夢は急に叫んだ。
魔獣とカイの間でまだ少し距離があるのにもかかわらず、諸葛夢の叫びで、カイも混乱しているのか、このままストレートパンチを繰り出した。カイの腕に纏う電弧が、矢のように魔獣に飛んでいく。魔獣もこの危険さを感じるように、巨大な爪を全力で一振り、電弧の矢を違う方向に打ち返した。
命中したのは、諸葛夢だった。