第四十七話 『ちょっとしたデート』
アニタが消える前に、アンジェリナに何かを頼んだ。一体何でしょうか。とりあえず、飛田俊との約束、デートしよう。
「ありがとう、お父さん、お母さん」
軽く紫金鈴をキスして、アンジェリナはいつも通りに首輪をつけ、カイを連れて出かけた。
新元4年9月17日、土曜日。
今日はデートの日だ。約束もあるし、A&E研究所の件で、アンジェリナが助けられたのは、飛田俊のおかげもあった。
踏ん張って、いつもと違う、かわいいワンピースを着るアンジェリナ。
諸葛夢は結局来ない。子供のデートに付き合う気はないらしい。しかし、夕方に学校で待ち合わせる。
バックアップディスクが壊れた以上、アンジェリナの記憶頼りで大学部学生のデータを一応入力して、それらしき人物がいるかどうかを確認するしかない。災後名前変更した可能性はまだ残っているから。
それまでは、どっかにうろついて、魔界の穴でも探すつもりだ。
デートの場所は三字バザールという、いろんな露店や飲食店が集まっている三つの街道エリアだ。
ここはアンジェリナ一番好きな場所といわれても過言ではない。いろんな肌色の人々が集まって、それぞれの言葉を通訳機を介して交流し、中古品や珍しいものが流通される。
普段は本を探したり、実験用の電子部品を購入したりする。まるで秋葉原だ。これからの予定がなければ、今日もたぶんいっぱい買っただろう。
予想通り、飛田俊がついたのは、すでに昼の時間だ。三人はすぐファストフード店に入る。
そこで、本題になる。
「で?」
「え?でって……」
「あ?」
「あ、ああ、ハナちゃんのことだね。ええっと……」
目をそらしている飛田俊を見て、アンジェリナは彼の頬っぺたを引っ張って、
「まさか、本当は知らないって言わないよね」
「いやいや、確かに、ハナちゃんを盗んだ人を目撃したよ。ただ、具体的に誰なのかはわからない」
これを聞いて、カイも一緒に引っ張る。
「おい、嬢様をだます気か?」
「違う違う、防衛部の人間じゃないのことは確かだよ」
アンジェリナは手を放して、
「本当?」
「ええ、そうだよ。防衛部がやるんだったら、軍人がやるだろう。あんなびくびくのろのろな動きはしないはずだよな。おまけに、逃げる時は自転車」
「はあ、結局警察に通報したほうがよさそうね」
「でも、なんでハナちゃんを盗むのか?盗んで、自分の車に入れるのか?」
「バーカ、リンゴちゃんの作ったハナちゃんは、めちゃくちゃすごい完成度の人工知能だよ。
ま、基盤に書き込んだものだから、学習機能は制限されたが、学習ロジックなら最高な出来だ。新メディアが完成した今なら、どんどんデータを入力できて、どんどん賢くなれるはずだ。
さらに、ネットが回復したら、クラウディングサーバーにアクセスできれば、とんでもない化け物になるぜ。すぐあんたを超えるかも」
「へえ、いっぱいしゃべったが何を言ったのかはわからない」
「だからあんたはブアーカだ」
「なんだと!」
カイは飛田俊の顔を引っ張りながら、
「でも、結局盗んで何に使うだろう?」
アンジェリナは頭を振って、
「防衛部の人たちなら、兵器開発に使うつもりだよ。自律戦闘マシンでも開発する気なの。でも、防衛部じゃないなら……」
「もうほっときゃいいんだろう。リンゴちゃんなら、すぐもっといいもの作れるんじゃない?」
「いいえ、ハナちゃんはアンジェリナの子、悪いことをさせたらたまらないよ」
「じゃあ、やっぱり警察ね。僕は犯人の似顔絵提供できるから、すぐ見つかるはずだ。これ以上悩んでも仕方ない。午後またどっか遊びに行こうよ」
アンジェリナはちょっと考えて、頷く。
「うん、でも、午後ならアンジェリナはちょっと特別なところに行きたい」
特別なところというのは、三字バザールの近くの住宅地だ。とある古い家の前に、アンジェリナはチャイムを鳴らす。
しばらくしたら、ドアが開けた。中から二十歳の女性が見える。坊主頭で、あちこちにピアスや入れ墨、タンクトップやダメージジンズ。
「だれ?」
ドクン!
なぜか、心臓が激しく鼓動し、顔も熱い。
「え、あ、あたしはアンジェリナ。え、えっと、アニタの、友達です。あ、彼たちは、アンジェリナのクラスメイトです。」
「で?何の用?」
「ちょっと、慰問が……」
「そんなもんいらん」
バタン
女性は重くドアを閉じた。
ピンポンピンポン
アンジェリナは再度チャイムを鳴らす。
「だから何だ?ぶん殴るぞ」
「アニタのこと、お悔やみ申し上げます。でも、アニタにアンジェリナの非常な大事なものを預かっていますので、どうしても今日中欲しいです!」
アンジェリナを見て、女性は溜息をし、三人を入らせた。
部屋中はめちゃくちゃだ。アニタがいないとき、全然片付けられなかったのようだ。アンジェリナは初めてここに来たが、デジャヴじゃないレベルに、何もかも見覚えがある。
そして、女性の名前はケイト・アベルだと、知っている。アニタの恋人だ。
「探し物があれば適当に探せばいい。物を盗んだら手を切るぞ」
といって、ケイトは自室に戻った。
「嬢様。どういうことなの?」
アンジェリナはとりあえず二人を倉庫に連れて、これで説明し始める。
「あの日、A&E研究所で、アンジェリナは実験体されたでしょ。あの実験は、人の記憶や人格を他人の脳内に植え付ける実験だったの」
といいながら、アンジェリナは何かを探し始める。
「アニタの人格はすでにアンジェリナの頭から消えたが、真相に気付き、消える前に、アニタの人格が、アンジェリナにあることを頼んだんだ」
カイは頼み事を聞きたいが、飛田俊は先に別のことを聞く。
「あのアニタって、なぜ真相を気づくのか?」
「いや、それは、本当は最初からばればれなんだけど。アニタは身長175センチのナイスバディだったの。でもアンジェリナの制服をちゃんと着れる時点で、おかしいなと思ったよ」
「なるほど。リンゴちゃんはぺったんこだもんな」
「シュンちゃん、あそこの黒い本渡してくれる?」
飛田俊はアンジェリナの指示通り、一冊の黒い本を抜く。しかしすぐ、本の山が倒れて、下に埋もれた。
ゲス笑いをして、アンジェリナは続きを、
「玲ちゃんが、記憶移植の実験や、最近焚焼されたのは人の頭などといったら、これで、大体なに起こったのか、気づいたよ。そこで、脳内に数字が表れた。20190824」
「201908……何だこりゃ?」
「日付かな?」
「うん、この数字自体はケイトの誕生日だよ。しかし、また特別の意味があるの」
アンジェリナは雑具をどかして、大きな本棚が見える。その上に、本がいっぱい飾っている。
「20190824っていうのは、これらの本の番号だと思う。」
アンジェリナは本を確認しながら、
「しかし、ここで24巻まで出た本はないので、最後は2巻、4巻だね。じゃあ、最初は20巻。探そう」
カイと飛田俊もすぐ手伝いに来て、20巻以上出版した本を一緒に探す。
「でも、1908はどうする?19巻、8巻、それとも、1巻、9巻、8巻?」
「ヒントは0だよ」
アンジェリナは、『ヌスム』という本を取り出し、
「この本はね、今夕っていう小説家が書いた長編小説『愛の嘘と死亡』のプロローグ的なものだよ。だから0巻と考えていいわ」
「なるほど」
飛田俊はすぐ『愛の嘘と死亡』の20、19巻、『ヌスム』、8、2、4巻を集める。
「ちょっと待って、1、9巻を探して」
「なんで?」
アンジェリナは19巻の発行年月ページを開き、
「この19巻って、重版だよ。他のは全部初版」
「でも、これらの本を集まったところで、何が役立つの?」
全然手伝えないカイは疑問だと思う。
「こうなるんだよ」
アンジェリナはこれらの本を本棚の一角に収めると、
ガラガラガラガラ
本棚の真ん中に、隠しのスペースが現れ、中にも本がいっぱいだ。
「うわ、すげえ、ほとんどは絶版の本だ。災前でもこれらの本は結構の値打ちするんだよ。今となったら……」
「ど、どれぐらい値打ちするの?」
お金を話を聞いて、急に興奮するカイである。
「いやいや、カイやん、これらは全部アニタのものだよ。今はケイトのものになる」
「でも、アニタにあずかったものがあるって」
「あれは僕たちを入らせるための嘘だよ。バーカ」
カイと飛田俊がまた喧嘩しているところ、アンジェリナはダンテの『神曲』から、一枚の羊皮紙を見つかった。
「あれ、これは?」
二人もすぐ一緒に紙を確認する。上には地図らしきものが描いてある。
「これって、もしかして宝地図?」
飛田俊は興奮しそうに叫ぶ。三人は一緒に宝地図を見ているその時、客室から物騒な音が聞こえてくる。
そして次の聞こえるのは、ケイトの悲鳴だ。
宝地図を見つけた三人、しかし、外からケイトの悲鳴が聞こえてくる。ケイトの身に何か、また何か起こるのか?
次回を待て!




