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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第四十六話 『トレジャー ガーディアン』

助かれたアンジェリナ。しかし、危機はまだ去っていない

 新元学園遠くない北田中路(ほくたちゅうろ)88号、ある古い建物。戦争時それなりのダメージを受け、災後は適当に修復し、ある記憶力関連の研究所に使われている。


 飛田俊の話によると、アンジェリナはある凶悪の人物によってここまで誘拐されたことを目撃し、すぐ学校に戻って救援を呼ぶことにした。


 諸葛夢、カイ、飛田俊三人はすぐ研究所に駆けつけて、古天仁は局に戻って増援を呼ぶことにした。なぜなら、結構前からこの研究所に目を付けたが、二回の捜査も結局何も見つからなかった。今度こそってことだ。


 研究所の辺りに到着して、三人はしばらく捜査したが、突然、大きな爆発音とともに、巨大なビームらしきものが地下から発射され、大きな穴をあけた。


 そして下を覗いてみると、暗い地下室に、女の子が倒れている。


「あ!リンゴちゃんだ!」


 確かに、服装や体形から見るとアンジェリナに間違いはない。ただ、頭に変な鉄仮面を被っている。ハロウィンか何かと思えば、すぐ近くに、緑色と紫色の物の怪がアンジェリナに迫っている。


 カイはすぐ地下に飛び降り、回転跳び蹴りで二匹を蹴り飛ばした。


 緑のやつは見覚えがある。この前諸葛夢と一緒に倒したやつと結構似てるが、体格が小さくて、爪も短めの一本しかない。しかも体はもう半分ぐらいしか残ってない。


「おお、お前、痩せたな」


 この前の戦えでわかったのは、この化け物はカイの電力を吸収してパワーアップができる。


 カイは雷光剣をおさめ、数発のパンチで怪物を怯み、さらにフランケンシュタイナーでとどめを刺した。


 紫炎の化け物はカイに不意打ち掛けるが、カイはすぐ雷光剣を作り出し、この雷光剣は吸引力があるのように、炎を正月餅のように細長く引っ張って、集まって、そして塊となった炎を地面に叩きつける。


 大きな紫色の炎の塊が、無数の小さい火の玉になって、四散して逃げた。


 怪物を方付けたら、カイはすぐアンジェリナの元に行く。鉄仮面は固定されていたが、これぐらいの金具なら大したことじゃない。片手で握ったら、すぐ変形して外された。


 鉄仮面をゆっくりと外すが、下の部分にまた何かの針がアンジェリナの後頭部に刺さっている。


「じょ、嬢様!大丈夫?」


「嬢様?そっか。私はアニタではない。あたしはアンジェリナだ」


 と小さい声でつぶやいたら、アンジェリナは気を失った。カイはすぐアンジェリナを抱き上げ、一跳びで地面に戻った。


 これはまずい、アンジェリナの肌に血色がない。唇も真っ白だ。さらに、呼吸も非常に弱い。


「なるほど」


 急に後ろから諸葛夢の声を聞こえてびっくりするカイ。


「夢、嬢様はめちゃくちゃ神経衰弱している!」


「神経は余計だ。たぶんこの鈴のせいだろう」


「これ?嬢様がいつも付けてる鈴がどうした?」


「伝説の紫金鈴(しきんれい)だろう」


「資金零?これは大変だ」


「紫金鈴だ。先の一撃はこれを使っただろう。マナを消耗しすぎた」


「でも、嬢様は覚醒者じゃないよ?マナあるのか?」


「ふつうの人でも微量ながらマナを持ってるんだ」


「じゃあ、マナを補充すればいいのか。どうやって?」


「マウス ツー マウスでやればいい」


「え?」


 カイは諸葛夢を見て、さらにアンジェリナを見る。唇を突き出して、


「じょ、じょしゃま、ほれも、ああたをしゅふうはめれしゅ」


「信じるなバカ」


 諸葛夢はカイの頭を叩いて、


「人の話を最後まで聞く。普通の人体内のマナは少ないから、先の一撃はマナの代わりに、小娘の血を大量吸っただろう。今必要なのは輸血だ」


 といってるときに、古天仁は警官たちを連れてきた。救急車もちょうど一台ある。緊急輸血ためのB型血液が足りないから、同じ型の諸葛夢が血液提供することになった。


 すべてが終わったと思ったその時、急に地震が起こる。紫金鈴が開けた穴の隣に、さらに一個の穴があけた。


 警官たちは駆けつけて確認するが、すぐ地下から紫色の炎が飛び出し、そしてレンガのようなものもついてきた。暗い街灯から、微か金ぴかが確認できる。


 金塊だ!


 若い警官は思わず叫ぶ。


 しかし空中の金塊は、砲弾のように、警察たちに襲い掛かる。盾などを持っていても、数キロもある金塊の前では、大した役に立たない。


 数秒の間で、半数以上の警官は金塊をぶつけられて倒れた。


 地面に落ちってた金塊は、また浮かんで、炎のところに集まる。炎によって、金塊は熔かされ、そして再度融合する。


 あっという間に、三メートルぐらいの高さで、角の生えた黄金の髑髏になって、残りの警察を攻撃し始める。


 ふつうの人間は到底黄金髑髏に歯が立たない。カイはこの状況を見て、雷光剣を繰り出し、応戦しに行った。


 カイが行ったばかりで、古天仁は来た。


「あれ、なんでカイ君が支援するの。夢、ここお前の出番だろう?」


 諸葛夢は無言で輸血のチューブを古天仁に見せる。


「へえ、おまえ、嬢ちゃんにやさしいな。もし俺が重傷になったら、お前輸血してくれるの?」


 諸葛夢は地面のレンガを拾って古天仁に渡す。


「試してみるか?」


「ふざけるな!」


 といってるとき、アンジェリナの顔色は大分回復して、目も覚めた。


 諸葛夢はチューブを抜き、


「そろそろ行くか。青いのは長く持たん」


 確かに、諸葛夢の言ったとおりだ。結局、カイも黄金髑髏の前では、手も足も出ない。黄金のせいか、防御力が高く、雷光剣の攻撃がほぼ効果なし。


 髑髏の火炎攻撃もエグイ。紫色の火玉、一発でパトカー一台熔けるほどの火力を持ち、おまけに弾速が早く、避けるのが精いっぱいだ。


 救急車の隣で、古天仁、アンジェリナ、あとに来た飛田俊、三人は戦況を見てるその時、人の声が聞こえてくる。


「ああ、司馬さんがわが防衛部に協力していただければ、こんな損傷はないはずなのに」


 メガネの30代の男が、たくさんの人を連れてきた。李迫水(りはくすい)だ。


「古さん、ご無沙汰しております。」


「おお、李ちゃんか。助太刀に来てくれたのか」


「いやいや。古さんには優秀な人材を持ってますので、対処できると思いますよ。ただ、爆発の情報が入ってきて、掃除ぐらいなら手伝い出来ます。


 もちろん、古さんがどうしてもっておっしゃるなら、こちらも、微力ながら、お化け退治の助力させていただきますよ。」


 李迫水がしゃべってるとき、青い髪の青年が、だらだらして人の群れから出てくる。救急車を凭れ、あくびしながら、


「おっさんよ。俺は出るのか出ないのか、はっきりしろよ。眠いよふわあああああ」


 晨曦(しんぎ)病院で一緒の男だ。李迫水の表情は一瞬固まったが、すぐいつもの微笑んだ顔で、


「まあまあ、キリク。古さんの部下は今ちゃんと対応してるのではないか。もうちょっと待ちなさい」


「チッ」


「キリク?」


 古天仁はこの名前に聞き覚えがある。ちょっと考えたら、李迫水に、


「いや、李ちゃん、たぶんキリク君の力を借りる必要がないと思うよ」


 遠くないところの戦場、カイはそろそろ負けるところだった。百吼の戦いですでにかなりの傷を受けたうえで、黄金髑髏との闘いも意外と体力が消耗する。


 髑髏もこれを悟ったのように、目の前の敵にとどめを刺そうと思ったその時、遠いところの殺気を感じた。


 頭を上げると、木の上に、一人の人間がいる。先手必勝と思ったのか。髑髏は口を開け、今まで一番大きいな火の玉を、諸葛夢に発射する。


「闇の炎か。バカめ」


 呟いた諸葛夢は、軽く手で一振り、紫炎の玉は打ち返され、さらに猛スピードで、髑髏に命中する。髑髏半分の体が蒸発された。


 まだ状況は把握してない髑髏、気づけば諸葛夢はすでに自分の頂上にいる。岩石割れのストレート一撃が、髑髏の頭蓋骨に直撃。


 頭蓋骨が粉々になって、髑髏は倒れた。


 すぐ立ち上がって、髑髏は口を開け、再度火の玉で諸葛夢に攻撃しようとする。が、諸葛夢はすでに懐に入り、フックのアッパーで顎に当たって、髑髏を吹き飛ばした。


 かろうじて、髑髏は再度立ち上がる。


「もういい。お前の使命、いや、契約を完遂しろ。愚者の炎(イグニス ファトゥス)としては、もうよく頑張った」


 諸葛夢の話を聞いて、髑髏は絶叫して燃え盛る。紫色の炎が体中に纏い、金塊は水と化し、そして炎とともに、消えてなくなる。


「夢、お、おまえつええ。でもなんでこいつが自滅したんだ?」


「愚者の炎、低位魔族。人間界で財宝などを守るため召喚されたことが多い。だから最後の力で金塊を蒸発した。これ以上戦ったら、金塊奪われる危険性があるからな」


「くそ、残念だったな。あともう少しでウハウハじゃないか」


「いや、俺にはあいつを仕留める手段がない。だから自滅させようと誘導したんだ。手札がばれる前にな」


 といったら、諸葛夢は救急車のところに戻る。カイも慌ててあとにつく。


 この状況、救急車辺りの人々もちゃんと見た。李迫水はちょっと気まずそうに、


「さすが古さんの部下ですね。でも今日この辺りはもうめちゃくちゃです。後片付けはぜひ手伝わせてください」


 振り返ると、キリクはもういない。李迫水は仕方なく、頭を振る。


 現場ではしばらく忙しくなる。片付け、捜査、負傷者の救助、死体の回収、新しい救急車の調達。


 ほぼ回復したアンジェリナは、今夜の出来事を諸葛夢達に語る。語っている途中、ストレッチャーでほかの救急車に運んでいる人を見た。


 ロイだ。アンジェリナすぐロイのそばに行く。


「今回のホラー映画、黒人は最後まで生き延びれたね」


「アニタ?マスク外したらこんなに美人だなんて、でも……」


 雰囲気ががらりと変わったアンジェリナを見て、困惑するロイ。


「えっと、あたしの名前はアニタじゃないよ。本当はアンジェリナっていうんだ」


「え?じゃあ、なぜ偽名を使ったの?」


「う~ん、あれは偽名というのかな?アニタは確かにアンジェリナの頭に存在したよ」


 アンジェリナは自分の頭を指す。


「えええ、よくわからない。でも今夜はいっぱい遭ったな。今何言われてもびっくりはしない。いま俺の頭の中にうんこしか存在しないけどな」


「じゃあ、ネオシャンハイへようこそ。早く元気になって、ロイの報道を待ってるよ」


 ちょっとハグして、ロイは救急車に運ばれた。アンジェリナは一人のスタッフを捕まって、


「すみません。もう一人の女の子がいたはずですが、あの子は今どこですか?」


「女の子?下の死体や負傷者は全員大人ですよ。女の子はいません」



北条玲は消えた?彼女はどこへ消えたのだろう?

次回を待て!

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