第四十二話 『超能力キッド』
エミリーの頭から出てきた怪物、あれはいったい?そして、アニタたちは怪物から逃れるのだろう
A&E研究所B3のさらに下、古い牢屋エリア、そう、私はまたここに戻ってきた。しかし、計画通りには行けずに。
結局、私たちは火炎放射器は手に入れなかった、なぜなら、イーサンは……
いまここにいるのは、私、気を失った玲ちゃん、ジャックとロイ、4人だ。
「あれは何だったんだ?」
ジャックの怒鳴りが、現場の沈黙を破る。
玲ちゃんの超能力で吹き飛ばされたエミリー、頭が膨らむ、そして中から異形の怪物だ出てきた。
この怪物に比べると、緑毛の怪物はまるで児童絵本に出ても平気ぐらいの可愛さだ。
4本人間の足が生えて、たくさんの目玉がついてる巨大な脳み。その上に細長い体らしい部分に、また無数の目玉と口、両側は鞭のような触手。
あの姿を思い出すだけで、気分が悪くなる。
私たちは驚愕のあまりで動いてないその時、脳みそ化け物は、イーサンを押し倒し、捕食し始める。イーサンの悲鳴でようやく我に返った私たちは、すぐ元の地下牢に逃げ込んだ。
どうやらイーサンの神様は彼を救えなかったようだ。
「これからどうする?あのドアを破らなけりゃ、俺たちは逃げ出せないぜ」
「この超能力のお嬢ちゃんは?もしかしてドアを破れるんじゃないのか?」
ジャックはまだ昏睡中の玲ちゃんを指す。
「わからないわ。いつ目が覚めるのかがわからないもの」
「まあ、とにかく、あの穴を塞ごう。あの怪物どもが見つかったら大変だ」
確かにロイの言ったとおりだ。玲ちゃんが目覚めるまで、まずはここを死守しなくちゃ。
では、ずっと牢屋に座っても意味がない、私たちはあちこちで、塞げるのに使えるものを探し始める。ロイは一旦玲ちゃんを控室に運ぶ、あちらの家具も使えるかも。ジャックは、石や土を集める。
ヴィン
異様感。ポケットの中に何か振動した。
手で確認したら、石だ。パウルの死体が握ってる石、あれは何かの意味があると思って、ついに持ってきちゃった。
「どうした?」
ジャックはぼーっとしている私を見て、こっちに来る。
「この石は、なんか振動した」
「これはどこの石だ?」
「焚焼室、パウルの死体が握ってたわ。あ、そうだ」
石といったら、廊下の彫刻を思い出す。私はすぐ牢屋を出て、彫刻のところに向かう。
「わお、大発見じゃないか?」
ジャックもついてきた。
「これ、知ってるの?」
「ああ、なんか古代の種族のシンボルだ。造物主を崇拝して、このシンボルで魔除けとしても使ってるらしいよ。
まあ、この種族は結構あちこち移住することが多いから、いろんな国で痕跡があったんだよ。まさか中国にもあるとはな」
ヴィン
手元の石は、またすこし振動した。
「歴史の授業をやってる場合じゃねえよ。早く働け、野郎ども」
ロイは控室から机を持ってきた。
後ろに椅子を持っている玲ちゃんがついてきた。
どうやらあの子は目が覚めたようだ。
言葉が通じなくても、ロイのやることは大体理解できたみたい。
「玲ちゃん、大丈夫?」
「うん」
かわいいな!今の状況じゃなきゃ、あのほっぺをぐにゅぐにゅしたい!あの子を養女として引き受けるのかしら、ちょうど子供が欲しいところだったわ。ここから脱出したら、あいつと相談しよう。
と考える途中、ジャックは私の腕を掴む。
「あのさ、アニタ、今は非常時期だとはわかってるが、この石を俺に譲ってくれないか?」
「この石はどうかしたの?」
「まあ、ちょっと好奇心があってね。あのシンボルで確認したいことがあるんだ」
極限の状況でも、好奇心がほかの感情を勝って不思議な行動をとることは、一応あり得る。しかしこの状況であのシンボルに気をとられるなんて、やっぱりおかしい。
鉄仮面越しに、ジャックは私の表情を読み取ったのように、
「あの古代の種族はいろんな特殊の力を持っているらしい。そして彼らのシンボルはかなり特殊な場所で使うんだよ。何かを守るために、たとえば……」
「財宝?」
「そう!」
ジャックは興奮して指パッチンする。
「私たちはここで死ぬかもしれないわよ。たとえ財宝があっても、意味がない」
と、断って、私は穴塞ぐ作業に戻る。ジャックも仕方なく、手伝いに来た。
「玲ちゃん、超能力持ってるの?」
「うん」
「なぜ超能力を持ってるの?」
玲ちゃんは答えない。確かにバカな質問ね。
「どんな能力を持ってるの?」
「遠隔操作」
「あっちのドアを破れるの?」
「無理、黒人のおじさんに試させた」
「じゃあ、火は?長く燃える大きな火」
「できる。でもどこまで燃えるのかは、わからない」
やった!
これで、光明が見えてきた。試してみる価値はある。ローソクの火よりマシであれば。
私のガッツポーズを見て、ロイとジャックも理解できたのようだ。
心に、若干の余裕ができた。
「じゃあ、玲ちゃん、ほかに何ができるの?」
玲ちゃんは作業を止め、また不思議そうな目で私を見て、
「あたしは夢を作る力があるの。これを使って、助けを呼ぶの。人を誘導して。」
少し、光明が見えてきた、北条玲の力を借りて、もしかしてあの分厚いドアを燃やせるかもしれない。しかし、ジャックは財宝のことを気になって、また何かトラブルが起こそうだ。
次回を待て!




