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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第四十話 『秘密兵器』

話はまたA&E研究所に戻る。アニタは、地下から脱出方法を探る。

 ちょっと今までの情報を整理するわ。


 ここはネオシャンハイ南部、A&E研究所地下のさらに地下、スタッフも知らない地域、ある牢屋。


 私、ロイ、そして行方不明のジャックは、セン トウブンという男に誘拐されてきた。ある頭脳関連の人体実験の被験体として。


 そしてイーサンはここのスタッフだが、雑務係で、詳しい情報は知らないし、私のマスクを開ける方法も、B1ドアのパスワードも知らない。


 彼はキーカードを所有したが、たぶん逃げる時どっかに落ちてしまった。


 あの恐ろしい狂った女は、ここの副所長、そして所長の元カノのエミリー。発狂の原因はまだわからない。


 そして私が目撃した殺人現場で殺されたのは、セン トウブンらしい。これも因果応報(いんがおうほう)、ざまあみろってこと。


 B2電力管理室の緑毛の怪物について、まだ謎。イーサンも分からない。


 そして今、私たちの目の前に立ちふさがるのは、分厚い木造の扉だ。ロイは何回も体当たりしてみたが、びくともしない。


 しかし、この部屋は番人の控室なら、この扉の向こうに出口はあるはず。


「このドアは頑丈すぎる。何か大工の道具があれば、開けれるかもよ。」


 ロイは部屋中を見まわって、机の上のロウソクを気づく。


「火で燃やそうか?」


「たぶん無理だわ。こういった加工した扉は、木造とはいえ、ろうそくの火力じゃ到底無理。それに、ここ空気も足りない。」


「もし、火炎放射器を使ったら?」


「こんなもの、この研究所のあるのか?」


「あ、ダメです。あれはB2の焚焼室(ふんしょうしつ)にあります」


「焚焼室?何を燃やすの?」


「死体ですよ。実験失敗で死んだ被験体はあちらで燃やして、証拠隠滅するんです。」


 この話を聞いて、怒ったロイはまたイーサンを乗って殴った。


 私だってムカッと来るわ。でも痩せこけてるイーサンと比べ、ロイはかなり大柄に見える。これ以上殴ったら、本当に死ぬ。


 ロイを止め、


「この焚焼室って、どこにあるの?先私もB2に行ったが、電力室以外何もないわ」


「で、電力管理室の向こうにあります。か、隠しドアみたいな作りで、雑具なども積んで、普通は見つからないです。」


 イーサンは泣きづらでこたえる。ロイも拳を下ろし、


「でも、上にはあのクレイジービッチと怪物がいるだろう?本当に戻る気?」


「選択余地ないわ。一生ここにいるつもり?」


「何か武器があれば……」


「武器?」


 急に脳内何かひらめく。


「ここの所長から、何か秘密兵器の話を聞いた?」


「ひ、秘密兵器?な、ないと思いますよ」


「じゃあ、B3の突き当りのドアは、どこにつながるの?」


「B3廊下の突き当り?ああ、あそこに確か特殊の研究室があって、僕もあんまり入ったことないですよ」


「あんまり?じゃあ、入ったことはあったわね。中の様子は?」


「様子といわれても、結構実験室らしくて、長~い、真っ白の廊下で、さらに突き当りに大きな白いドア……」


「大きな白いドアは一個だけ?」


「ええ」


 夢の中に見た景色と全く一緒だ。


「間違いないわ。あの白いドアの中に、すごい兵器が隠されているわ。きっと」


「なんで知ってんのか?」


「先夢で見た」


「は?」


 ロイは目を丸くして、


「夢を根拠して、俺たちが危険を冒して武器を探せってのか?」


「たちじゃなくて、あなた一人だけよ」


「生涯一緒って誓ったんじゃん?」


「いつ誓った?」


「ここで警察が来るまで待てばいいじゃない?」


「た、たぶん、警察は来ないと思いますよ。この研究所は結構前から疑われたが、何度調査してもこの地下室がばれたことないです。だから……」


 ロイはまた殴ろうとするが、私は彼を止め、


「いい?ロイ。私だって夢の話は信じたくないもの。でも、アンディとエミリーの名前はちゃんとあってる。こんな偶然ある?」


 ロイは、無言で自分のスキンヘッドを撫でる。


「私ももちろん上に行くわ。私はB2の火炎放射器をとりに、あなたは秘密兵器を探しに、これで生存率がぐっと上がる」


「一緒に行けばよくね?」


「いいえ、時間がないわ。うろついた化け物どもがいずれここ発見するから、早めにやったほうがいい」


 ロイは、また黙り込んで、自分のスキンヘッドを撫でる。というより、めちゃ擦ってる。


 しばらくして、ロイはちょっと笑った。


「まいったな。ホラー映画では、黒人はいつも真っ先に死ぬんだよな。」


「大丈夫。化け物どもの音をちゃんと注意すれば、きっとうまくやれる」


「餓死より、化け物どもに食い千切られるほうが格好いいもんな。わかったよ。行けばいいんだろう」


 ロイはイーサンを見て、


「じゃあ、こいつはどうする?」


 私が話す前に、イーサンは立ち上がり、


「ぼ、ぼくも一緒に行きます。焚焼室の案内はできます」


 そりゃそうだろうね。女一人はやはり心細いし、いかんせんこの焚焼室の場所はわからないもの。


 ロイはB3の秘密兵器、私とイーサンはB2の火炎放射器、役割分担を決めたら、私たちは牢屋のところに戻る。


 戻るとき、牢屋突き当り壁の彫刻は、私の注意を惹く。無数の曲線が、火と氷の形になる。真ん中の線は文字か、人の顔に見える。


 何かのものを語っているシンボルに見えるが、なぜか邪悪な雰囲気もする。


「アニタ?」


 なぜ牢屋にあんな彫刻があるのか、疑問を思いながら、私はロイとイーサンのあとで、上に登る。


 ミニスカだもの。


 B3に戻って、すぐ隣に死体がある。


 危うく下にもう一度落ちるところだったが、ロイは私を引っ張る。


「こ、これは誰?」


 声を小さくし、私は問う。


「俺が入った時、すでに死体がある。知らないよ」


「ああ、ボッブ、かわいそうに。来世は長く生きよう、真神はあなたにご加護を」


 といいながら、胸に大きなZ字を描く。これはイオガンルブン教のハンドサインだ。


「この人も、ここのスタッフか?」


「いいえ、あなたと同じここに監禁されてたんです。食事を配るときちょっと会話したので、名前だけは知ってます。」


 先慌ててこの部屋に逃げ込んで、死体があることは全然気づかなかったわ。


 とりあえず。三人を息を殺し、外の音を聞く。


 クレイジービッチの笑い声もなければ、緑毛の怪物の足音もない。


 ドアは開ける。少しずつ、そして隙間から、私たちの頭がこっそり出て、周りの環境を再度確認する。


 ロイは廊下を見て、


「アニタ、本当に交代しない?」


 私だってB2に戻りたくない。でも、ジャックのことは心配だ。B2で、一度ジャックの安否を確認したい。


「女を一人行動させる気?」


「そっか」


 ロイは納得したのように、B3廊下の奥に向かって、私とイーサンは階段のところに向かう。


 階段辺りも静かだ。私が逃げたとき、ジャックと怪物と戦う音がもうない。幸い、彼の死体もない。


 B2に戻って、血痕はやはりたくさんある。イーサンは壁を押して、ある扉が開けた。扉の輪郭はレンガの隙間と一緒だから、確かに一見わからない。


 ここが焚焼室か。


 扉を閉じ、イーサンは電気をつけた。部屋の中に、人がいる!


 悲鳴を上げようとするとき、よく見たら、ジャックだ。


 ちょっとハグしたいが、傷だらけの彼を見て、やはりやめた。


「ジャック、無事だったのね!」


「アニタ!お前も無事か!」


 ジャックは隣のイーサンを見て、


「こいつ、誰だ?」


「あ、イーサンっていう、ここのスタッフよ。それにしても、あなたすごいわね、あの怪物から生き延びれるなんて」


「ああ、このことなんだが……」


 ジャックは、袖て顔を振って、何か言いづらそうな表情をする。


「な、なによ、まさかもう死んだ、今は幽霊とても言いたいわけ?」


「いやいや、ちゃんと足あるだろう」


「じゃあ、何よ」


 ジャックは眉を顰め、


「ここから話すことなんだが、俺自身も信じたくないよ。アニタ、あのクレイジービッチに殺された研究員は、まだ覚えてるかい?」


「ああ、当然。あいつが私たちをここに誘拐してきたもの」


「え、そうなの?」


 ジャックは一瞬びっくりして、


「俺があの怪物と戦っている真っ最中、あいつは笑いながら立ち上げ、怪物に襲い掛かったんだよ。」



死んだセン トウブンが復活?にわかに信じがたいことだが、この研究所は一体何が起こったのか。果たして、秘密兵器と火炎放射器は手に入れるのか。

次回を待て!

次回更新は日曜日になります。

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