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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第三十九話 『轟天雷鳴剣』

A&E研究所は新元学園の遠くないところにある。では新元学園で一対何が起こったのか?

 夜、新元学園、大学部電脳実験室につながっている通路に、三人がいる。


「拙者は、司馬殿に用がある」


 しゃべっているのは、剣魔百吼だ。アンジェリナが答えようとするが、カイは先に話し出す。


「お前か、嬢様を誘拐した変態!まだ嬢様を狙う気か。今度はこの俺が相手だ。」


 すぐカイはアンジェリナに向き、


「嬢様、俺はあいつとタイマン勝負する。とりあえず安全な場所へ、ついでに夢のやつを呼んでくれ」


「タイマンとは一体何なんだろう」


 でも、百吼の実力はアンジェリナも一応知っている。とにかく実験室に行って、もしかして諸葛夢を見つかるかもしれない。


「わかったわ。カイやんも気を付けて!」


 百吼はやはりアンジェリナを捕まりたいが、カイはすぐ光剣を出してそれを阻止する。


「ほう、闇雷剣か?」


「は?これは雷光剣っていうだ。たぶん」


 カイはすぐ百吼に切りかかる。百吼も武器を取り出し、この一撃を防御した。


「残念だが、拙者は今ちゃんとした刀を持っておらん。このなまくらでご勘弁を」


 百吼は、鞘から、ごく普通、というより、映画撮影ための道具みたいな刀を抜いた。


「な、なぬい?なめやがって!」


 カイは雷光剣を操り、百吼に猛攻する。何十回も剣を交わり、カイの息は段々苦しくなってくる。


 いくらスビートを上がっても、いくら力を入れても、すべての攻撃は百吼の模造刀に捌かれ弾かれる。そのためか、普段よりも、体力の消耗が遥かに激しい。


 武器は悪いのか、カイをもてあそんでいるのか、百吼はあんまり反撃しない。


 こういった状況でも、このままでは、相手より、自分が先につかれて倒れる。ではイチかバチか、カイはわざと、百吼に下段攻撃を繰り出す。


 急に下段が攻撃されまくって、百吼はちょっと不愉快だ。数回カイの攻撃を弾いたら、思い切って跳ぶ。


 これは狙いだ!


 カイの光剣は眩しく光る。空中の百吼に再度数回突き攻撃。剣からの電弧が飛び道具として、空中にいる百吼に飛ぶ。


 百吼はもちろんすべての電弧を弾けたが、着地した瞬間、すでに後ろが取られた。カイは弓歩して、縦横、十字斬りで切り刻む。


 やった。この必殺技は巨大ロボットでも一撃必殺だ。魔族でもただでは済ませまい。


 しかし、舞い上がった埃が静まる。ここから見える百吼は、無傷だ。ただ、おさめた刀を逆持ちして、鞘にバツの傷跡は残る。


「な、なに?」


「下段だけ攻撃しているとき、まさかと思ったが、本当に轟天雷鳴剣(ごうてんらいめいけん)を繰り出したとはな」


「轟天雷鳴剣?」


(なんだ。この技名、聞いたことがある。しかも、なんか懐かしい)


「残念ながら攻撃の意図が読まれやすいうえ、技自体の完成度も低い」


「う、うるせえ」


「拙者は闇雷属性の攻撃はできぬが、轟天雷鳴剣のやり方は知っている。では教えてやろう。本物の轟天雷鳴剣。授業料は、おぬしの命だ」


 言ってからすぐ、百吼の刀から、ものすごいの刀気が発生する。しかしこの刀気は、斬撃というより、気圧みたいなものだ。


 カイはこの刀圧に押され、地面に叩かれた。そしてどういうわけか、地面はトランポリンのように、カイを高く跳ねる。


 空中で体勢を制御できないカイに、数発の刀気が命中。


 再び地面に落ちた瞬間、猛ダッシュの百吼が、縦横、十字斬りがカイの体に切り刻む。


「いい人材だがな。残念だ」


「何が残念だ?授業料がもらえなくなったからか?」


 カイの声を聞いて、百吼はちょっとびっくりする。いつからか、カイは二本目の光剣をもって、この光剣からビリビリの音が聞こえる。


「もしこれが実態の剣だったら、上にもバツの跡が残るだろうな」


「なるほど、先ほど拙者の対処方法を学んだのか」


「ああ、完成度が高いとはいえ、同じ轟天雷鳴剣だ。それに、二本の雷光剣を使って、両方向の防御に賭けたのだ。そして、俺は防御だけではないぜ」


 カランカランカラン


 百吼の持っている模造刀は数段に切断された。


「やはりいい人材だ。」


 模造刀とはいえ、自分の繰り出す轟天雷鳴剣を破り、さらに気づかないうちに反撃できるとは、百吼は嬉しそうに、


「拙者は百吼だ。名を聞こう」


「カイだ。」


「フン。今日は拙者の負けだ。武器なしじゃ、これ以上の戦はできぬ。司馬殿との話は日を改めて、また会おう」


 といったら、百吼は高く跳んで、消えた。


「いや、もうくんなって」


 カイは座り込み、休憩し始める。


 かなりのダメージを負ったうえで、疲労困憊だ。もし百吼がもっといい武器を持っていれば、絶対負けるだろう。いや、轟天雷鳴剣を食らった時点で死ぬ。


 カイが休憩しているとき、古天仁と諸葛夢が来た。


「お、カイ君、ここで何やってるんだい?」


「先はめちゃくちゃ強い魔族を退治したぜ。あれ、ところで、夢、お前はなぜここに?」


「?」


「嬢様は一緒じゃないの?」


「いや、俺たちも先強い魔族を追い払ったよ。司馬の嬢ちゃんは知らないぜ」


「じゃあ、電脳実験室でパソコンをいじってるのかな」


「せやな」


 古天仁は、重傷の二人を担いで、三人で大学部に向かう。


 実験室の窓はまだ開けっぱなしだ。電気もまだついている。しかしアンジェリナはいない。


「嬢様?嬢様?」


 カイは何回も呼んだが、返事はない。


「これは?」


 諸葛夢は、地面に落ちている一枚のディスクを拾う。ディスクから、微かの焦げた匂いがする。


「ああ、これは先嬢様が持てた」


 カイはディスクを奪い取って、


「あれ?なんだが、このディスクに電気が走ったのような気がする」


「わかるのか」


「まあ、カイ君は雷属性だからね。間違いはないだろう」


「なるほど、地雷か」


「どういう意味だ?」


「いやいやいや、今はそういう場合じゃないだろう」


「あ、そうだ。嬢様がいない。大事なディスクが落ちてる。しかも高圧の電流で焦げた……これ、どういう意味なん?」


「「……」」


「?」


「嬢ちゃんは誰かに襲撃された可能性が高いな」


「え?なんで?」


「「……」」


「こいつと同じ雷属性の覚醒者か、スタンガンを使ったのか」


「スタンガンって、なに?え?ん?」


「つまり小娘はまた誰かに誘拐された可能性が」


「ええええええ?マジで?どどどどどどうする?今パウズを連れてくるのか?」


「パウズは訓練された警察犬じゃないんだ。この前はたまたまあの洞窟に入って、嬢ちゃんを見つけたがな。」


 三人は途方に暮れる時、ある少年が走ってくる。


 飛田俊だ。


「た、た、大変だ!リンゴちゃんは誘拐された!」


アンジェリナは誘拐されたのは間違いはないようだ。では彼女の安否は?

次回を待て!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「嬢様」って呼び方、いいなぁ…… 真似したいw
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