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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第三章 アニタのヒミツ
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第三十八話 『緑毛の怪物』

緑毛の怪物と遭遇したアニタとジャック、彼女たちの運命は?

 ここは?どっかの廊下?ある男女がひそひそと話し合っている。


 ケッホン


 咳をしているのは、もう一人の女性だ。二十代、褐色のボブヘア、整った顔にメガネ、前の男女と同じの白衣。


 いかにもインテリって雰囲気がする。しかしこの女、なぜか見覚えがある。


 ボブ女が来たら、男はちょっと緊張したかのように、


「ではシンディ、例の実験、任せたぞ」


「でも、パウルはまだ……」


「もう時間がない、先に始めてくれ。今回の実験はあなたがリードする」


「しかし……」


「大丈夫だ。自分の力を信じろ、君ならきっとできる。こちらの希望を託したぞ」


 どうやら拒絶は無理のようで、金髪女は頷く。ボブ女の視線から逃げるのように、すぐその場から離れた。


 しかし、私は見える。ボブ女は増悪な目つきで、金髪女を睨む。


「こんな大事な実験、新人一人任せるなんて、いい度胸じゃない?」


「シンディの腕はかなりいい」


「どんな腕?ベッドでの腕かしら?」


「チームメンバーの名誉に傷つくような発言は慎んでもらおう、我々はプロだ」


「科学者のプロ?それとも、女遊びのプロなのかしら?」


 これを聞いて、男はさらに慌てるようになって、一生懸命に自分の無精髭を撫でる。


「とにかくだ。あの実験はシンディにやらせても大丈夫だ」


「失敗してもいいから、か?」


「……」


「やっぱり、あなたはこのプロジェクトをあきらめる気ね。チームはこのプロジェクトのためにどれぐらい頑張ったのか。あなたは一番よく知っているはずよ」


「上層部はもう我々を放棄する気だ。資金も資源もどんどん減らされていく。だから戦略的な調整が必要だ」


「資源が足りないと知ったうえでまだあの小娘を手放すつもり?センはせっかく捕まってきたのに」


「あの小娘はダメだ。お前も知っているだろう?彼女はネオシャンハイ一大富豪司馬焱の孫娘だ。彼女の身に何かあったら、我々もただでは済ませない。最近警察はすでにここを疑ってるよ。」


「あなた本当に意気地ないのね。科学は犠牲がつきものよ。あんな小娘一人や二人、死んでも大したことないわ。この実験さえ成功できれば、人類は永遠の命が手に入れるのよ」


「この世に永遠なんて存在しない、エミリー」


 (エミリー?まさか?)


「だから今更課題を変わる気?あの時代遅れの古いプロジェクトを最初からやり直すつもり?」


「ペルセウスプロジェクトは時代遅れのプロジェクトなんかじゃない!このプロジェクトが成功させる秘密兵器を、僕は持っているんだ。もうちょっと時間があれば……」


 話している途中、廊下に何か黒い影か一瞬通りかかる。男はそれを気づき、


「誰だ!」


 しかし何の返事もない。そもそもこの廊下って、横を切ったり、身を隠せそうな場所はない。


「話をそらさないで!」


 ボブヘア女は頭を下げたままで、


「アンディ、あなたは変わったわ。私はまだあなたを愛してるのに、あなたは、あなたはあの金髪ビッチに気をとられ、成功や金銭だけを求めるようになった。でも、あなたは今までの研究をあきらめるのなら、こちらも手はあるわ」


「エミリー、最近研究所内の研究データがリークされた情報が入った。僕はパウルを疑っているが、まさかお前……」


 男の話は急に止まる。まるで目玉が飛び出せるように、目を大きくする。


 ぽたぽた


 血が、地面に零れ落ち、鋭いナイフが、男の腹に刺さった。


「エミリー」


「ひひひひひひひひひひひひ」


 私のよく知っている笑い声だ。いまだにぞっとする。


 ボブヘア女の頭が再度上げる。しかしあの綺麗な顔つきはもうどこかへ消え、代わりに、私が目撃した、最恐の顔に変わった!


「え、エミリー、目を覚ませ!」


 男は、命乞いのように、懸命に叫ぶ。


「覚ませ」


「目を覚ませ!」


 再び目を開けると、白い眼玉が浮いている。


「きゃあああ」


 と悲鳴しながら、私は目の前にいる、得体の知れないものを振りほどく。


「落ち着け落ち着け、俺は化け物じゃない!」


 すぐ懐中電灯を点け、前を照らすと、声と目玉の持ち主は、ある黒人だ。


「大丈夫か?ええ、マスクガール?」


「私は大丈夫。アニタよ、ところで」


「俺はロイ。あなたは上の空洞から落ちてきたんだよ。」


 ロイは、上にある、大きな穴を指す。


 そうだ。思い出した。


 電力管理室で、緑毛の怪物と出くわした私とジャック。あの化け物はまだ生きていて、どうやら飯を食って寝てたのようだ。


 だから、一刻も早くジャックと一緒に逃げたいと思って、二人は素早く管理室から出る。


 しかし、いざというときに、あいつはツール箱を蹴った。確かにヒューズを交換して、片付けてない私も悪かったが。


 あの音で、緑毛の怪物は目が覚め、ゆっくりとこっちに来る。仕方がなく、私たちはこっそりと逃げる。


 しかし、B1に戻った時、私たちは大きな過ちをやってしまったことを、やっと気づく。


 電力が回復したら、電磁ドアもすべてロックされ、パスワードやキーカードがなければ、L字回廊には戻れない。


 もう一度電力を切るか、ドアをあける方法を探すしかない。しかしその時、緑毛の怪物は私たちを発見し、上に登ってきた。


 ジャックは金属の棒で怪物を足止め、その隙でわたしを逃れた。死体のあるB2に戻りたくない。さらに下のB3に向かった。


 だが、すぐ私はこの行動に後悔する。B3に辿り着いた途端、あの笑い声が聞こえてくる!


 身を隠す場所を探し、探しながら声がどんどん近づいてくる。


 がしゃ


 やっと、閉じってないドアを見つけ、私は素早く部屋に入った。


 しかし、あの部屋はどういうわけか、下に大きな穴がある。入ったすぐ、私は穴から落ち、気を失った。そして何か変な夢も見た。


 ロイは、フリーのレポーターで、ある報道を完成させるため、ネオシャンハイにやってきた。そして隔離観察機関で、昏睡され、そしてここに誘拐された。


 これはジャックと一緒だ。私も似たようなものね。


 ジャックを思い出すと、ちょっと心配だ、あの鉄の棒でどこまで怪物とやりあえるのか。


 懐中電灯で周りを照らすと、ここは研究室よりさらに古くて、ボロボロ。そして、研究室というより、牢屋みたいだ。


「どうやら、ここから脱出方法探すほうがよさそうだね。上にはあのクレイジービッチがいるし、そして緑毛の怪物も」


 ロイは緑毛の怪物を言ってるとき、両手の人差し指と中指がクイクイする。どうやら化け物の話は信じてないようだね。


 私だって信じたくないよ。


 二メートルぐらいの高さ、六つの光っている目玉、片手に大きな一本爪を持っていて、どう見てもこの世の生き物じゃないわ。


 考えている途中、ロイはすでに私たちがいる牢屋のドアを開けた。どうやらキーピックもレーポーターの必須スキルらしい。


 私を引っ張って立たせ、二人は牢屋から出る。懐中電灯で周りを照らすと、再度後悔する。


 ほかにも牢屋がいっぱいあって、ほぼすべての牢屋に、髑髏化の死骸がある。


 牢屋の廊下を沿ってしばらく歩くと、突き当りに別の部屋がある。微かの人声が聞こえる。


 懐中電灯を閉じ、私たちはこっそりと、ドアの隙間から中を覗く。


 この部屋は番人の控室みたいだ。ちょっとした家具は置いてある。そして机の上に、ろうそくが点けられ、一人の男がひざまずいて、何かの祈りでもやってるのか。


 ロイは私に合図を送って、すぐ部屋に突入する。男の腕を捕まって、柔道の技を使ったのように、ロイは彼を押し倒し、そして体の上に座った。


 柔道って、相手の上に座っちゃダメじゃない?


「お前は誰だ?ここで何やっている?ここはどこだ?この研究所と牢屋は何なんだ?全部答えろ!答えないなら、腕を揉めるぞ」


「もめてどうする?もげるでしょ?」


「そうそう、もげるぞ」


「いててて、やめろ、僕はいま祈祷してるんだ。途中で止めたら、真神は怒る、天罰が食らうよ」


「真神?じゃ、あなた、イオガンルブン教の教徒ね」


「え?ネオシャンハイにもイオガンルブン教があるのか?俺んち辺りしかないと思ったがな」


 ロイは不思議そうに私を見て、そして男に向け、


「残念ながら俺は無神論者だ。天罰なんて信じてない。早く答えないか?」


 男の腕は変な方向に曲げている。このままじゃ、本当に折れそうだ。


「やや、やめろ、ぼ、僕の名前はイーサンだ。ここで雑務をやっている。この研究所はA&E研究所っていう、頭脳や記憶などを研究してるところだ」


 これで、ロイはやっと少し力を抜いた。


「じゃ、なぜ私たちを誘拐して研究に使うの?」


「知りませんよ。なんかここの実験は脳にかなりの負荷をかけて、ほとんどの場合かなりのダメージを負って、被験者は発狂するらしい……」


「要するに使い捨てってことね」


「だから俺みたいな外来者を誘拐して、これで死んでもばれないってことか?」


 怒ってロイは、再び力を入れる。


「いててててて、でも、僕は誘拐なんかやったことないです。本当です。やったのは、セン トウブンっていうやつです。」


 セン?あれは、確かに夢の中に出た名前だわ。


「僕はちゃんと答えました。頼む、放してくれ。あんたが監禁されているとき、食事に多めに鶏肉とポテトを入れたのは、この僕ですよ。」


「ああ、あなたがあのチキンボーイか」


 (いや絶対ちがう)


 ロイはイーサンを開放した。イーサンは腕を振って、なるべく関節の痛みを和らげる。


「ところで、A&E研究所って、アンディとエミリーの意味かしら?」


「お、よく知ってますね。あれはチーフ、じゃなくて、今は所長と副所長か、彼らのイニシャルで名付けたんです。昔は恋人同士らしい。でも今は……」


「では、あの夢はほんとのこと?外のあの女はエミリー?」


「そうですよ。副所長が狂ったのですよ。でも、幸い真神のご加護で、僕は逃げる時にここに落ちったんです。」


「この研究所はどこにいるの?」


「え?知らないのですか?北田中路88号、すぐ近くはあの有名な、新元学園ですよ。」


真相は少しずつ明かされる。しかし、同じく誘拐されたアンジェリナはどうなっている?

次回を待て!

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