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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第二章 入院しても穏やかじゃない
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第二十四話 『剣魔登場』

強力な魔族は、ついに登場か?

 夜、晨曦総合病院でまだ電気がついている病室は、二個だけ。それぞれの中に、ゲームやっている男子と、仕事をしている女の子がいる。


 赤外線レーザーなどの強度、波長、反射率など全部変わったため、今までのドライブでは旧ディスクを読み込めない。そのところが、強すぎてディスクを焼いてしまう場合もある。


 フェイスツーの隔離期間中、クラスメイトを頼んで搬入してきた新ドライブ搭載のパソコン。アンジェリナはいま透明のモニターをジっと見ている。


 たくさんの0と1が、画面上と素早くスクロールする。CDの中に、数百キロバイトのファイル二個しかない。しばらくして、一個目のファイルが出来上がり、しかし、文字は化けている。いろんな言語コードに切り替えてみたが、やはり無駄のようだ。


 結局失敗か?アンジェリナは長い溜息をし、落胆する。


 少し経ったら、もう一個のファイルが出来上がる。どうせ無理だと思ったが、それでもいろいろなコードを試したら、


 出来た!


 やはり若干の文字化けはあるものの、ちゃんとした文章はできた。中国語の小説だ。


 思わずガッツポーズをするアンジェリナ。


 本当に出来たのかを確認するため、アンジェリナは小説を読み始める。


 タイトルは『私の地下生活』


 どうやら戦争勃発時、地下シェルターで9年間の出来事を記録する小説だ。アンジェリナが地下に入ったのは結構後期なので、初期はどんな状況なのかは全く知らないため、結構興味津々だ。


 小説の記載は本物なら、初期の地下は噂通り、天国みたいなところだ。富豪、天才、スター、ごく一部のエリートしか入れず、生活設備完備、あらゆるものを最高級基準で作られ、太陽がない以外、地上よりもはるか快適な生活できる場所だった。


 それもそのはず、そもそも第三次世界大戦時の地下シェルターは、世界各国が膨大な資金を費やして、これから数万年間も人類が地上に出れなくても生存できるように作ったので、アンジェリナの知っている、薄暗くて、ボロボロで、あちこち犯罪が起こすような場所ではないはずだ。


 理由は記載されてないが、小説の後半も確かにこの変化に言及し、これで信頼性がぐっと高くなる。そして最後の最後、主人公の女性物理学者は、心の安らぎを求め、イオガンルブン教の信者になった。


 いろいろな疑問を持ちながらも読み続けるアンジェリナ、急に後ろに人の気配がする。カイはすでに帰らせたので、誰だろうと思って、アンジェリナは振り返る。


 日本サムライの格好をしている男が、日本刀をもって、後ろに立つ。


 横切りの一振り、アンジェリナは頭を抱え、運よく避けた。しかし後ろのパソコンなどは両断された。


「たかが幼いおなごと思えば、拙者の気配を察知の上、一振りを避けたとはな。ほめてやろう」


「あ、あなたは誰?コスプレなら、ここはコミケ会場じゃないよ。あと、これ、危ないよ」


「遺言としては、軽率すぎる」


 男は再度刀で切りかかる。今度のスピードがはやく、到底避けようがない。


 バサ!


 刃物と骨がぶつかる音、そしてたくさんの血。


 目が開けると、アンジェリナの前に、諸葛夢が片手で刀身を握って止める。


「む、ムウ!」


「早く逃げろ、北の階段だ!」


「で、でも!」


「早く!」


 確かに、刀を振っている不審者の前で、自分は荷物でしかない。そう思って、アンジェリナはすぐ病室から逃げ出した。防音のいい病室であっても、微かに格闘の音が聞こえる。


 アンジェリナは諸葛夢の指示通り北の階段に向かうが、すぐ誰かが追い付いてくる。


 諸葛夢だ。


 諸葛夢はすぐアンジェリナを挟んで、


「頭を抱えろ」


「え?ちょっまっ」


 ぱりん


 六階から飛び出した。諸葛夢は樹を蹴って落下スピードを落とし、二人とも無事着地した。


「む、ムウ、もうちょっと優しい方法ないの?」


「やさしさを求めるなら、相手が違う」


 腕を揉んでいるアンジェリナは諸葛夢の視線を追って頭を上げると、謎の男も飛び降りてきた。


「おとなしく病室で散ればいいもの」


「病室じゃ、武器は使いづらい」


 諸葛夢は鉄の棒をもって、構える。この鉄の棒は、たぶん点滴用の支柱からとったものだ。


「おれは足止めをする。その隙で森へ逃げろ」


 と言ったら、諸葛夢は躍起し、重い一撃を放つ。この一撃は男に向けたものではなく、地面に向かっている。


 舞い上がる埃のなか、突然諸葛夢が現れ、男に向かって打ち上げの一撃。アンジェリナを追撃しようとする男も、慌てて刀で防御し、その威力で、数歩後退した。


 しかし、男はやはりあきらめずに、アンジェリナに向かて刀を一振り、青色の刀気がアンジェリナに向かって飛ぶ。


「させるか!」


 諸葛夢はすぐ棒を地面に深く刺し、そして全力で打上る。爆発のような土砂も飛び道具にように、刀気を追う。


 ガシャン!


 二つの衝撃波は激突、刀気の進行方向が変えられ、アンジェリナの前に飛び、遠いところ、10メートル高さの樹を両断した。


 諸葛夢は常人離れして強いとは知っていたが、武侠ドラマのように戦えるとは、アンジェリナは唖然した。


 しかし、諸葛夢は自分に背を向けているのに、なぜか今のうち逃げろって言っているのがわかる。すぐ、アンジェリナはまた走り出す。


 自分の刀気が鉄の棒の衝撃波で飛ばせることにびっくりする男。隙が生まれてしまい、諸葛夢はすぐ体を捻じって、棒を男に突く。


 ガタン!


 命中はした。男もさらに数歩後退した。しかし無傷だ、鞘を盾にし、一突きを防げた。が、鞘に亀裂がでてきた。


「堂々の中高位の剣魔が、一介の殺し屋になり下がったとはな。」


「ほう、拙者の種族まで知っているとは、おぬし、何者だ?」


「これから死ぬやつに教えても意味がない!」


 諸葛夢は再度襲い掛かる。鉄の棒と刀、何度も何度もぶつかり、金属の音と火花が躍る。


 十回の接戦、しかし結果は出ていない、二人は再度距離を空く。


「なかなかの腕前だ。だが、この妖刀紅朧(べにおぼろ)に血を付けたのは、おぬしの失敗だ」


 男は構える。刀を高く掲げ、刀身を下に向く。刀身は段々と赤く光り、この光から、男の顔をはっきりと見える。目隠しをしている盲目の剣士だ。


「ち、ムラマサ系の吸血刀か、うかつだった」


 諸葛夢は、呟く。


互角に戦えたと思われる諸葛夢と剣魔だが、剣魔の刀は諸葛夢の血で強化され、諸葛夢は果たして勝てるのか。

次回を待て!

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