第二十一話 『隔離志願』
新元4年9月1日、新元学園新学期の一日目、あまりにもたくさんのことが起こってしまった。
魔獣出現、放火事件、殺人事件。
そして、アンジェリナ、カイ、キム チェヨン三人は、鬼路の中に、人顔がついてる、でかい蟲と出くわした。
何とか倒したが、蟲は最後の力を振り絞って、包みから抜け出し、アンジェリナに向かって走る。
「絶叫蟲だ!早く逃げろ!」
蟲の付いた人顔が、急に表情が変わり、絶叫し始める。と同時に、口からまぶしい光が放つ。
諸葛夢はすでにアンジェリナの隣に駆け付けて、彼女を押し出そうとしたが、間に合わないと思い、逆に光の中心に引っ張った。
軽く爆発の音とともに、光球が現れ、二人を包み、そして消えてゆく。
「な、何起ったんだ?」
この状況をみて、カイも絶叫した。慌てて懐中電灯を拾ってアンジェリナを探し始める。
「じょ、嬢様?嬢様返事して!」
光球消えた後、残ったのは地面の大きなくぼみ、それ以外何もない。もちろん返事もない。
キム チェヨンもこの状況を見て、金縛られたのように、全く動けなくなった。
古天仁は、キム チェヨンの前に立って、指で彼女の眉間に指し、何かつぶやいたら、キムチェヨンは、糸の切られたマリオネット如く、バタッと倒れた。
「まあ、カイ君、慌てるな。あれは絶叫虫っていう魔獣だ。死ぬときワープゾーンを発動する習性があってね。」
やることを済んだ古天仁は、カイに向かう。
「じゃあ、なんで夢のやつ、嬢様を中に引っ張るんっすか?」
「地面を見ろ、ワープゾーンは光球中のあらゆる物質を転送するんだ。そして、ワープゾーンのサイズはある程度ランダムだ。」
「??」
「中途半端に押したら、バラバラになってしまうんだよ。」
「なんで?」
「……」
「あ、あああ、なるほどね。」
「わかったらいい。だから、夢は判断は正しかったんだ。」
「じゃあ、嬢様は今どこ?」
「それはわからん。ワープ先もランダムなんだ。おかげで絶叫虫にやられた猟魔人は結構おおい。バラバラになったのか、高いところに転送され落下死か、あるいは地下に生き埋めになったのか……」
「じゃあ、結局嬢様は危険じゃないっすか??」
「ま、夢がついている。よほどのところじゃなきゃ、大丈夫だ。」
「そう、そうっすか。」
「ま、ちょうどよかった。お前と二人きりでちょっと話はあるんだ。」
「??」
「夢と同盟を組んて、猟魔人仲間入りになったな。」
「い、いや、何のことやら、猟魔人など、聞いたことないっすよ。は、はは。」
「いやいやいやいやいや、俺もその猟魔人の一員だ。いわば夢とお前の上司だ。とぼける必要ないよ。」
「あれ、そうなんっすか?」
「夢から何か聞いた?猟魔人の組織とか、役割とか?」
「いやあ、確かに着替えに行くときそこそこしゃべったが、全部忘れちゃった。っす。」
こいつ、本当に大丈夫か、っと、古天仁は思わず考えてしまう。
「ああ、わかった。あんまり時間ないんだ。」
古天仁は倒れているキム チェヨンを見て、
「二人が戻る前に、ちょっとした質問コーナーだ。猟魔人についてわからないことがあれば、聞いてくれ。」
「この前の魔獣を倒して、いくら金もらえる?」
「……」
「??」
「いや、あの魔獣とやらは、賞金ないんだ。指名手配中、あるいは明らかに人類に害を及ぼす魔族や魔獣でなければ、金ないよ。」
「でも、あの魔獣って、結構狂暴っすよ。」
「これは次の理由だ。証人がないよ。普通猟魔人には鼠尻尾っていう役割の人がついてて、上に猟魔人の仕事を報告して、報酬渡すんだが……」
死んだ若い警察二人を思い出すと、古天仁は黙り込む。
「??」
「いや、話題を変えよう、ほかに知りたいことは?」
「金以外特に興味ないっすね。」
「……、わかった。どうせこれからの付き合いが長いから、ゆっくりと教えるよ。ただ、二個だけまず覚えおいてくれ。」
「なんっすか?」
「これからお前が所属する、猟魔人の組織名は監視の眼だ。略してIEでいい。この世に二大猟魔人組織の一つだ。そして、今我々最大の目的は、魔界の穴を探し出して、そして封印することだ。」
「魔界の穴?」
「ああ、魔族はあの穴を通して人間世界に来るんだ。しかも結構簡単にな。だから早く封印しておかないと!」
「でも、魔族いっぱい来ると、報酬もいっぱい出るんじゃないっすか?」
なんでだろう。肝臓も胃袋も痛い、血も吐きたい気分だ。話題を逸らそう。
「ああ、にしても、夢は遅いな。」
その時、空中から黒い霧が急に発生する。
「古さん、これ、もしかして新手の魔族か?」
「いや、噂をすれば影だ。」
(しかし、派手にやるな、あいつ)
黒い霧から、急に大きな裂け目が出て、中は歪んだ虹色の空間だ。空間から、諸葛夢は、アンジェリナを挟んで飛び出す。
「嬢様!」
カイはすぐアンジェリナを迎える。
「嬢様、どうしたんだ?なんでボロボロなの?しかも傷も……」
「はは、カイやん、十年ぶりで、老けたね。」
「ええ?何言ってるんですか?嬢様が消えたのは、数分しかないよ?」
カイをからかうため言った冗談だが、周りを見ると、確かにここは転送され前の鬼路だ。カイも、古天仁も、キム チェヨンも前のままだ。
「厳密にいうと、5分ぐらいかな。」
古天仁は後ろに目を覚めるキム チェヨンを見ながら言った。
「な、何起ったの?」
「あ、キムさん、なんだ、貧血か、急に倒れて。」
古天仁はキム チェヨンに答える。そして全員に、
「まあ、現場調査はここまでだ。みんな外に出た出た。」
キム チェヨンは、壁を支えて立ち上がり、遠くないところに、星のアクセサリーを見つけた。アンジェリナ腰に巻いたトレンチコートにカメラらしきものも確認し、ほっとした。
五人は鬼路の外に歩くとき、アンジェリナは古天仁に話かける
「古さん、救急車って、まだあります?アンジェリナたちは、ちょっと隔離する必要があります。」
無事地球に戻った諸葛夢とアンジェリナだが、アンジェリナは隔離する必要があると古天仁に申しだす。
では、隔離とは、隔離された時、また何かが起こるのか。
次回を待て!




