第十九話 『鋼鉄顔面の歪め』
アンジェリナの後ろに立ったのは一体?
「はわわわわわわわわわわわわわ!」
血まみれの顔を見て、びっくりして変なダンスをしながら絶叫するアンジェリナ。
「俺だ。バカ」
諸葛夢は顔の血を拭く。
「む、ムウ!!!!無事だったのね!!!」
思わずぎゅっと諸葛夢を抱くアンジェリナ。
急に小さくて、柔らかくて、かわいいものが自分を抱くと、諸葛夢も途方に暮れた。
泥まみれの女の子と血だらけの男子、暗くて薄気味悪い地下洞窟、ロマンのロの字もない雰囲気だ。
吊り橋効果なのか、一日半を経て、諸葛夢は目の前の小娘を見直した。最初は単にわがままの痛いお嬢様だと思ったが、実際は素直でいい子だ。それに、何より、自分と話は通じる。
これから、両手はどうする。自分も小娘を抱くべきか。しかし、何かが諸葛夢を阻む。倫理観念か、心の奥に存在する、ある思いか。
「あ、ご、ごめん、傷口、痛い?早く手当てしないと!」
「いや、かすり傷だ。」
ボロボロになったタンクトップから、確かに傷らしい痕跡はない。
「よかった……、ムウはやっぱりすごいね。あんなにたくさんの野獣を追い払うなんて。」
「まあな……」
「あ、そうだ。大発見だよ!」
アンジェリナを諸葛夢の手を引っ張って、壁画に向かう。
「じゃじゃん!壁画だよ。この星にもやっぱり人が住んでたんだね!」
壁画を見て、諸葛夢も思わず驚く。
アンジェリナは諸葛夢を連れて、観光ガイドのように、自分なりの解読を説明しながら、地下洞窟の外壁を沿って歩き回る。
最後にたどり着いたのは、アンジェリナもまだ見てない、巨大な壁の前だ。
この一面の壁は、ほかのところと明らかに違って、人工加工したのかはわからないが、表面が平坦で、まるで大きなキャンバスのようだ。
そしてここの壁画も、簡単な幾何的、符号的な図形ではなく、ちゃんとした線で描いた。
人だ。
簡単な線しかないが、大体特徴は見える。地球人類と極めて似ていて、両手を頭上に掲げ、この間に、大きな円がある。円はケーキのようにさらに四個の直線によって八分割され、それぞれの中に数個の短い直線がある。この短い線は八卦図と極めて似ているが、順番は微妙に違う。
この絵の人。下半身は葉っぱか何かの物を履く、さらに乱雑な直線が地面に刺す。上半身は裸で、乳房があるから、女性の可能性が高い。ただ一点だけ、アンジェリナは非常に気になる。
「この人の頭の羽、飾りなのかな、それとも本当の髪の毛なのかな?境目は帽子じゃなくて生え際に似てる。もしかして、この星の人間って、鳥人間?アンジェリナもパワードスーツをもらえるかな?いいえ?外の爬虫類から見ると、恐竜人間かもしれないよ。ゲッ○―線が怖くて、地下に逃げたとか?」
あれ?いつものツッコミが来ない。
アンジェリナは隣の諸葛夢を見る。なぜか、諸葛夢の顔色は非常に悪く、息も荒々しい。
「ムウ?どうしたの?気分悪い?もしかしてやっぱり傷が……」
「いや、何でもない……」
諸葛夢は、荷物のところにもとって、焚火を付け、もくもくと干し肉を食べ始める。なぜ急に無言モードに入ったかがわからないアンジェリナ、干し肉一枚とって、また壁画のところに戻る。
女性の隣に、さらに祭りにかかわる内容が描いている。ここの原住民は結構早期で牧畜出来、大型の動物を家畜化可能で、さらにあるツールを使って石や材木の切断や加工技術もある。しかもこのツールは明珠山から遠くない模様。そのほかに、火の模様や、二個の丸などの記号はあるが、どういう意味なのかは不明だ。
「ねえ、ムウ、あした、異星人を探さない?」
「冗談じゃない。空間の裂け目を探すぞ」
無気力で答える諸葛夢。
「一日、一日だけでいいので、探してみようよ」
駄々こねるアンジェリナ
「ふざけるな!時間の無駄だ!」
急に怒鳴る諸葛夢。
「なんで決めつけるの?壁画はちゃんとこの星にも人類存在したって証明したじゃん?」
諸葛夢はアンジェリナの肩を掴め、表情は若干歪む。
「いいか?異星人など……」
ゴゴゴゴゴゴゴ
突然、洞窟は揺さぶる。地震?これはやばい、生き埋められるかもしれない。
慌てて二人は洞窟から逃げ出す。
しかし、洞窟の入り口は、またの地獄だった。
では、洞窟の入り口は一体何があったのか?
次回を待て