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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第七章 スーパーヒロイン誕生
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第百十一話 『剝がされた、薄い何か』

アンジェリナ危機一髪?

 深い緑色の霧の中、諸葛夢は巨大なロボットと戦っている。丸っぽいロボットだ。諸葛夢なら、ジ○ン公国の水陸両用モビ○スーツを連想する。しかし、頭もなければモノアイもない。体の辺りに数個のカメラを設置して、あれで外の情報を獲得しているのだろう。一見無骨に見えるが、実は一種の機能美ともいえる。


 相手の動きが鈍くてやられる心配はないが、それでもイライラする。アンジェリナの囮となり、なかなか倒せない相手との闘いを強いられた。これで、なぜか○水の気持ちがわかってきた気がする。


 いくら実力の差があるとはいえ、相手はしぶとすぎる。10000以上のHPで、ダメージは一回100しか減らせない。妙な快感を覚える反面、ひどく虚しくなる。


 しかし、同時に興味も湧く。一体どういう作りで、自分と青いやつの攻撃が受け付けないのか。こういう相手は何か対処方法はあるのか。


 もうしばらく戦ったら、まさか答えは出た。諸葛夢の重い一撃で、ロボットは路辺の街灯とぶつかる。これで、胸元の装甲は少し剥がれた。


「まさか?」


 剥がれた装甲の下には、もう一層の装甲がある。軽量化のため、装甲の真ん中は空っぽになり、いわゆる肉抜き加工は別におかしいことではない。しかし、問題は二層の装甲の連結部分。


 文字だ。見たことのない文字だが、これはたぶん、対マナ専用の呪文か呪印、だから二人の攻撃がほぼ通用しないわけだ。


 だが、もし本当に対マナの呪印だったら、対策はある。マナで攻撃を強化するのではなく、己の拳自身を強化すれば、つまり最大限の物理攻撃なら効くかもしれない。


 諸葛夢は再度ロボットを倒し、その隙間で力を溜める。しばらくしたら、パンチ力は前より数十倍も強化した。弓歩して、ロボットの腰辺りに正拳突きを放つ。


 腰の部分は結構細く、そして脆い。この一撃で、ロボットは上下両断され、これで全く動けなくなる。


 ロボットを無事倒して、体に纏まった障壁は点滅する。


 (あと1分ぐらいか。小娘はまだ調査中か?)


 そう考える時、アンジェリナは走ってきた。どうやら無事のようだ。しかも、アンジェリナは諸葛夢に向かって、Vサインをする。


「で、できたよ。ムウ、お、汚染源は防げた。も、もう毒霧は発生しないから、ちょっと時間たったら、ここの霧も蒸発するはずよ」


 これはよかった。思った以上戦果を挙げた。なら長居は無用、諸葛夢はすぐ霧の外に向かって歩く、アンジェリナも後ろについている。


「ね、ねえ、ムウ、先、縄の話、ま、まだ怒ってる?」

「べつに」

「う、うん。実は、アンジェリナはムウの作った縄を、け、結構感謝してるの。か、感謝というより、感動かな? だって、ムウの作った縄に、救われたんだ。アンジェリナも、みんなも……」


 すると、諸葛夢の後ろから、ガタと倒れる音がする。


「お、おい!」


 慌ててすぐアンジェリナを確認する。ランドセルとヘルメット間のパイプの上に、テントの布切れで無理やり巻かれている。あの布切れは、たぶん諸葛夢が作った縄の材料だ。そして、アンジェリナの手に、まだ残りの縄を握っている。


 いくら気密性の高い材料とはいえ、パイプが壊れたら、この処理じゃ、毒の霧は絶対侵入している。しかし、魔法の障壁がある以上、アンジェリナを触ることもできない。逆にダメージを与える。


 一瞬躊躇って、諸葛夢は、


「障壁、解除」


 …………

 ……

 …


 霧の外、カイはまるで熱い鍋の上の蟻のように、グルグルと、右往左往(うおうさおう)する。中に入って二人の安否は全く把握できず、かなり焦っている。


 しばらく歩き廻ったら、気のせいか、霧の濃度が若干下げ、奥はよく見えるのような気がする。そして二人の人影が出てくる。


 喜びは一瞬しかない。次の瞬間、カイは驚愕する。ボロボロの諸葛夢は、アンジェリナを小脇抱えて、狼狽(ろうばい)な姿で戻ってくる。


 諸葛夢の状態はひどい、肌はひどい火傷したのように、黒く焦げている。一部の肌はすでになくなり、下の肉すら見える。


 霧から出たら、ゆっくりとアンジェリナを地面を下ろしたら、諸葛夢はすぐ倒れて、喘息しながら咳をする。


「お、おい、夢」

「お、俺をかまうな。早く小娘を」

「え?」


 カイはすぐアンジェリナのヘルメットを無理やりこじ開ける。諸葛夢ほど火傷の跡はないが、顔にすでに血色がなくなり、唇も真っ白になった。呼吸はまだ一応あるが、すでにかなり衰弱になって、今でも止まりそうだ。


「どどどどど、どうすればいいんだよ。ねえ、夢、何か回復魔法でもある、の、か?」


 しかし、諸葛夢から全く返事が来ない。まさか? 死んだ? アンジェリナも全く動きがなく。いい年して、カイは本気に泣き出す気だ。


 その時、後ろから車の急ブレーキの音がする。振り返ってみると、三人のボルダリングカーと結構似っている車がある。車から、緑髪の若者が降りってくる。


「手を貸そうか」

「あ、えっと、劉!」

「林宇だ! りん! う!」


 しかし、今の状況は悠長にお笑いをやる場合じゃなさそうだ。林宇はすぐ車のトランクから、たくさんの医療用品を取り出し、まずアンジェリナに向かう。


 ちょっとスーツを解け、アンジェリナの腕を取り出す。ちょっと脈を確認したら、林宇は一本のメスを取り出し、アンジェリナの腕を切る。


「お、おい、あんた、何する気だ?」

「黙れ! じっと見てろ。まずは毒に冒された血を出すんだ。見ろ! 血の色は黒くなったぞ」


 アンジェリナの腕から、黑い血が流される。しばらく流しても、色は全然変わらない。


「やばいな。中毒はかなりひどい、さらにたくさんの血を排出しないといけない。これなら、輸血が必要だ。」

「輸血なら俺の血を使え、前も一度やったから」


 諸葛夢は、かろうじて立上げ、ぶらぶらと、三人の元に歩く。


「でも、あんただって」

「いや、俺は毒に冒されてない」


 諸葛夢はメスをもって、指を切ったら、赤い血が出る。これを見て、林宇はすぐ道具を取り出し、輸血の準備をする。


「よかった。ありがとうな、夢、あんたはやっぱりいいやつだよな。これで、嬢様は助かる」

「そもそも俺のせいだ」

「え?」


 林宇がアンジェリナの状態を確認しながら、チューブで諸葛夢に刺して、血を採取する。流されている赤い液体を見て、諸葛夢は語る。


「俺の魔法障壁に吹き飛ばされた時、パイプが壊れたんだろう。だから、俺のせいで、小娘はああなったんだ……」


 しばらくの沈黙、すると、カイは諸葛夢に一発殴る。


アンジェリナの運命は如何に?

次回を待て!

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