第百十話 『得体の知れない守護者』
毒の霧に入って、あそこに巨大な影と遭遇する。
変なものに追われる夢なら、何度も見てきた。しかし、まさか現実になったとは、はわわ
考えながら、アンジェリナは一生懸命逃げる。後ろにいる巨大な黒い影、巨大なロボットは、周りのものを破壊しながら、アンジェリナを追う。
霧の外で待機している諸葛夢とカイは、すぐ構えて、ロボットと戦闘し始める。ロボットの動きは鈍い。林宇の鉄甲人ほどではないが、攻撃があの二人に命中することはまずない。しかし、防御力も高く、二人の攻撃も大した効果がないのようだ。
激戦区になる可能性があるから、アンドレ達は先に帰らせ、しかもさらに東に移動することをお勧めした。途中の野盗なら心配する必要がなく、ほとんどは諸葛夢とカイが懲らしめて、しばらくは動けないはず。
三分で校舎を平らに出来ると自称する諸葛夢、泰山で光剣を使って透明ロボットをやっつけたカイ。しかし、二人の攻撃は大した効果がなく、ロボットはよろめいたが、実際のダメージはほぼない。数ターン戦ったら、どういうわけか、ロボットまたすぐ霧の中に戻る。
「あ~あ、もうだめ、アンジェリナ、もう体力ないよ」
ヘルメットを外し、アンジェリナは地べたに座って、ぜぇぜぇと喘息する。いくら体力があるとはいえ、すでに四往復したので、疾走距離は数キロにも及ぶ。しかも、機械のランドセルを背負って、ヘルメットか被っている状態だと、確かに苦しい状態だった。
休憩しながら、ちょっと考えことをする。
毒霧に入って、いきなり巨大なロボットが現れ、自分に襲い掛かった。あのロボットは一体だれが作ったんだろう。アンドレの話では、昔こんなロボットはなかったはずだ。性能的にかなり高く、アンジェリナの知っているところでは、現在人類が作れそうなロボットではないはず。泰山の時も確かに透明のハイテクロボットと遭遇したが、今回のはまた別の意味ですごいものだった。
そして、なぜ自分を襲ったり、そしてちょっと戦ったらまだ霧に戻ったりするのか。
可能性その一、高い知能を持っていて、ムウとカイやんに勝てないと判断し、一時退避した。しかし、四度自分を見て、四度追って、四度殴られた、高い判断力はないはず。
可能性その二、霧の中に、何か大事なものを守っていて、侵入者を追い払いさえできれば、これ以上の追撃はしない。
可能性その三、あの毒の霧自体は、あのロボットの動力源で、外に出たら長くは稼働できない。
しかし、全部憶測しかなく。現在の先決は、人命と汚染源の確認、一人だけじゃ、ロボットを回避しながらやるのが至難の業。
「もう、最初からムウとカイやんのスーツまで作るべきだったね」
「もう作れないのか?」
「材料がないのよ」
アンジェリナは腕に縛っている縄を解いて、
「こんな縄を作らなければね」
「俺のせいか?」
これを聞いて、諸葛夢はちょっと不愉快になる。
「なら、俺はあのロボットを何とかする。今すぐ封印解除してくれ」
すると、諸葛夢は無理やりアンジェリナの手を握る。前の修行で慣れたのか、アンジェリナも反射的に意識を集中して、彼の封印を解く。
(じょ、冗談だよ。別に責めるつもりはないよ。むしろ、アンジェリナのために、あの縄を作ってくれて、胸がキュンとするよ)
こう考えている時、諸葛夢は走って、毒霧の中に突進する。
「ちょ、ムウ、何するの?」
アンジェリナはすぐ慌ててヘルメットをかぶって、諸葛夢を追う。カイだけは、外に残される。
やっと追い詰めて、諸葛夢を止めようとするが、彼に一喝され、
「俺を触るな」
「もう、何怒ってるのよ」
諸葛夢の腕を引っ張ろうとすると、何かの巨大な力に吹き飛ばされる。
「だから触るなって」
「いててててて、なによ、これは?」
濃い霧の中で微かに見える。諸葛夢の周りに、何か透明なものが覆われている。
「魔法の障壁だ。得意な魔法じゃないが、封印解除が無効になっても、十分ぐらいなら持つ、俺はあのロボットを引き受ける。お前は早くやるべきことをやるんだ」
「それなら、もっと早く言ってよ」
尻を揉みながら、アンジェリナは立ち上がる。
「つべこべいうな」
すると、諸葛夢は数回のジャンプで、霧の奥に進む。しばらくしたら、奥から金属激突の音が聞こえて、どうやらロボットを発見したのようだ。
今がチャンス。アンジェリナはすぐアンドレの教えた通りの場所に行き、先にテストシェルターを確認する。
真っ先に通話機で中にコンタクトを取ってみる。テストシェルターには、糸電話と呼ばれて、電力も消耗せず、振動だけを利用する通話機がある。かけてみて、確かにシェルターの中に微かに人の声が聞こえる。しかし、すでに気力が感じられない。たぶん、アンドレの予想通りに、食料と水がなくなって、危機一髪の状態に陥ている。
なら、一刻も早く、汚染源を見つけて、霧を何とかしないと。そう思うと、アンジェリナ次の目的地は化学工場だ。しかし、化学工場はかなりでかく、しかも、本当に長い時間廃棄されたのようで、毒洩れの可能性が低い。そして、ちょっと考えたら、アンドレは確かに爆発の音が聞こえたと、述べたはず。化学工場の辺りに、爆発の痕跡もなかった。
(可能性二、霧の中に、何か大事なものを守っていて、侵入者を追い払いさえできれば、これ以上の追撃はしない。)
まさか、あのロボットは本当に汚染源と何かの関係があるのか? すぐ戦闘の音を追って、アンジェリナは諸葛夢とロボットのところに行く。
霧に入って、すでに8分ぐらい経過した。諸葛夢の魔法障壁も、あと二分で切れるから、彼もそろそろ撤退の時間だ。なら、せめてロボットの在りかを確認したい、あっちなら絶対何かがある。
プシュー
何かの音が聞こえる。よく見たら、ランドセルとヘルメットと繋がっているパイプが壊れて、猛毒の霧が、どんどんアンジェリナのヘルメットに入ってくる。
パイプが壊れて、アンジェリナは毒に冒されるのか。
次回を待て!
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