第百一話 『汚物は消毒だ』
二人を殺そうとするレストランの人々
深夜、レストラン。食堂と違って、語られているのは、人間ドラマではなく、若者の暗殺計画だった。
諸葛夢とアンジェリナは強盗団の本拠地に侵入し、強盗達をコテンパンに懲らしめ、そしてたくさんの盗品を取り返した。一応感謝はしているが、同時に心配もなる。もし強盗団が回復して、復讐のため再度攻めて来たらどうする。今までと同じような被害では済まないはず。
ジョーシティで住むことも、技の伝授も断られたからには、最後の手段は、二人を殺して、死体を強盗団に献上する。ボロい町だが、せっかく作ったレストランだ。強盗の復讐に壊されたくない。
「まあ、よう考えたら、強盗達は大したことやってないよな。抵抗の人を殺したり、食い物奪っただけじゃないか。おとなしくものを出せば、大した被害はないよな」
「でも、女も奪ったぞ」
「なんだよ。あの女たち、普段から露出度の高い服をしやがって、絶対あばずれだよ。ざまあみろってんだよ。いや、むしろ、あの女たちが誘ってんじゃねえか? 強盗団のほうが飯うまいし、やりたい放題だし」
これを聞いて、そうだそうだと同意する従業員が何人もいる。では実際の計画を立つ。たくさんの強盗を倒せるぐらいの腕だ。無理やり攻撃すると、返り討ちが食らう。火を放ったら、途中で目が覚めたら大変。
「そうだね。もっと優しい殺し方はないのかな? 本当は、どうせなら、レイプしてから殺したいところだね」
「おいおい、未成年少女だぞ。確かにめちゃきれいだけど」
「いや、俺が言ったのは男のほうだよ。彼、かわいい」
全員はしばらくの沈黙する。
「ケッホン! あ、やさしい方法なら、ガス中毒、一酸化炭素中毒はどうだろう」
これは名案だ。現在ジョーシティで使っているガスは、災前1980年代中国で結構使われた、ボンベガスだ。高さ1メートルぐらいの大きなボンベの中に、石炭ガスがいっぱい詰め込んでいる。あれなら、不完全燃焼しなくても、一酸化炭素がたくさんあり、しかも着臭成分が少なく、寝ている時使えば、バレることはない。
そう決まれば、すぐ決行する。まずは一人が宿の部屋を覗いて、二人がちゃんと寝ていることを確認し、そして貯蔵のボンベガスを全部持ち出し、部屋中にガスを入れる。
一、二時間があれば充分だろうと思って、オーナーが従業員たちをつれ、包丁などをもって、そとで待機する。中毒状態で部屋から出ても、何とか対処できるだろう。
しかし、しばらく待ったら、突然金属がぶつかる音がし、ボンベになぜが穴があけた。そして次の瞬間、火花が跳躍し、やがて炎の蛇と化す。火蛇が宿部屋に突入して、大きな爆発を起こし、そしてレストラン全体が燃え盛る。
大変なことになってしまったと思ってすぐ従業員たちに消火作業をやらせると思ったら、爆発の衝撃でほぼ全部行動不能になってしまった。今できるのは、自分のレストランが燃え尽きるのを待つだけだ。
「手伝うか」
鈴のような女の声だ。どうやら助けが来た。そう思ってオーナーは振り返ると、水鉄砲を持っているアンジェリナとバケツを持っている諸葛夢だ。
諸葛夢はバケツの水を火の海にかけるが、効果がない。アンジェリナも水鉄砲で何回発射してみたが、もちろん、消火できるはずがない。
「あ~あ、もうだめだね。火の勢いがすごすぎるよ」
「あ、あんたたち、人間か、それとも、幽霊?」
「何ボケてんのよ、オーナーさん」
アンジェリナは、オーナーの顔面に水鉄砲を発射する。これで、幻覚でないことが分かった。
「し、しかし、お前たちは確かに熟睡したはずだが」
「あ、先道場ですでにちょっと寝っちゃったから。眠れなくて、ムウを連れて散歩したの。散歩する前に、枕や黄色と白色の毛布を布団の下に入れたの。まさか、見間違っちゃったの?」
これを聞いて、偵察の従業員は無言になった。
「皆さんも本当にご親切だね。風邪ひかないように暖炉を用意して、しかも包丁持って見張りまでしてくれたのね。でも、ボンベガスは危険だよ。中毒になったら大変、気を付けてね」
これを聞いて、オーナーの両足が急に力が抜け、ガタっと跪く。
「こ、これも、天罰か。も、もうしわけございません!!! あ、悪魔のささやきで、ついに己の平穏のため、お二人に手を出そうとしたんだ。ゆ、許してくれ」
「まあ、そこまで言うなら、許してあげる。ねえ、ムウ、消火してあげよっか」
「そんなデカイ火災だと難しいな」
これを聞いて、アンジェリナはすぐ諸葛夢の手を握って、封印解除する。
「こんなつまらないことで……」
ちょっと溜息をし、諸葛夢は二歩進んで空高く高跳びして、下のレストランに向けて掌で一撃を出す。掌型の巨大な衝撃波が、とてつもない圧力でレストランをペシャンコにした。それと同時に、火もほぼ消された。残された小さな火事は、駆けつけてきたほかの住人達によって消され、これで一件落着になる。
もうゆっくり宿で寝ることができなくなったから、アンジェリナと諸葛夢がボルダリングカーに向かう。歩きながら、アンジェリナは水鉄砲の先端についている金属パーツと電池を外し、草むらに捨てる。
「これから毎日、家焼こうぜ」
「チャ○研か。でも、派手にやってくれるな」
「フヒヒ、アンジェリナを謀ろうとするやつに、倍返しじゃい! でも、本当は温かい布団で寝たかったな。車の席じゃ、寝心地悪いし」
地べたでちゃんと寝たくせにと、諸葛夢は心の中でツッコミながら、二人はボルダリングカーに戻った。しかし、アンジェリナはちょっと異変を感じ、すぐトランクに駆けつけて確認する。すると、魔剣は消えた。
話はちょっとさかのぼり、高野がアンジェリナと諸葛夢送ったら、弟子にちょっと話をしたら、すぐジョーシティから出た。
覚醒者だけあって、素晴らしい脚力で、すぐある建物に到着し、あれこそ、諸葛夢とアンジェリナが大暴れした、強盗団の本拠地だ。中に入ると、目の前の惨状にびっくり。たくさんの強盗、手足は変な方向に曲がって、地べたで喘ぐ。そして、ムスタッシュの男がやってきて、負傷者をベッドに運ぶ。
「アルマ!」
かなりの精神ダメージを受けたのか、声を聴いて、ヒゲはびっくりして負傷者を地面に落とす。高野だと確認したら、これでやっと安心して、現場の掃除を再開する。
「今回の助っ人はすごすぎるじゃねえの? マルコ、いや、高野さんよ。もうここの商売はできないぜ」
「あの若者二人はこっち雇ったんじゃないよ。まあ、ちょうどいいじゃないか。今回を期に、足を洗ったらどうだ? 交通とかが回復したら、強盗はもうできんだろう。やっぱり、俺たち覚醒者は、猟魔人になるべきだ」
「簡単にいうね」
ヒゲは、負傷者の骨を校正して、繃帯を巻いたら、
「お前だって俺たちのおかげで道場の商売がうまくやってんじゃねえの? 道場の一部資材は俺たちが提供したのによ。お前はなぜ猟魔人にならないの?」
「まあまあ、そう興奮するなよ。俺だって、道場をそろそろやめる気だ。いまは、DSに加入するのが正解だぜ」
「ディバインセイバー? 無理無理」
ヒゲはまだ処置中の負傷者を下ろし、体をいろいろと構えて、
「俺はサッカー選手だ。中国カンフーや日本剣道などできやしない。ディバインセイバーって、参加するのに何か武道会で上位を取る必要があるだろう? 無理無理、俺は絶対無理」
たぶん、諸葛夢の襲撃で、ヒゲはすっかり自信がなくなったのか。これは、高野も同じことだ。
「大丈夫だ。俺の知っているところでは、DSだっていろいろと調整する気だ。実力テスト大会はもちろんまだ開催するが、強力魔族の討伐など、特殊の功績者に対しても、特別に参入可能だよ」
「強力魔族? この間の熊の化け物は結構手こずったぞ。これ以上強かったら勝てねえよ」
「これも心配無用だ。今回、お前は戦う必要がないんだ。ただ、ある剣を、盗んできてほしい」
高野の目当ては、やっはり例の魔剣?
次回を待て!
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