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サイゴヒーロー ~魔を狩る人~  作者: 古蘭佐
第六章 戦え猟魔人3!主役はやっぱり諸葛夢&アンジェリナ
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第百話 『ジョーシティの騒乱』

 災後、町と町の連絡はほぼ途絶えた。ネットも無線も交通もほぼ使えない時代だから。では、歩いていろんな町に行けるかというと、強力なボディガード付の要人や、命知らずの冒険者や商売人でなければ、かなり難しい。なぜなら、強盗が多いから。


 町と町の間では、無法地帯がいっぱいある。法律がない、ちゃんとした仕事もない、そして、資源はかなり限られている。なら、思い切って強盗になったほうがいい、と思う輩が多い。


 銃火器が効かない今、一部の町には警察や自衛隊が居ても、強盗の前では歯が立たないときが多い。特に、強盗の中に覚醒者がいる場合。


 覚醒者なら、本当は猟魔人になることが多い。しかし監視の眼(インスペクト アイ)に連絡が取れない現在、ディバインセイバー参入するに実力テスト大会に参加する必要がある。なら、強盗になったほうが楽。飯も食えるし、女も手に入れる。そして何より、己の能力で警察どもをなぎ倒すのが、これも一種、背徳の快感だ。


 ヒゲ、本名はアルマ、自慢のムスタッシュでヒゲというあだ名をもらって、現在は強盗の覚醒者の一人だ。本来は二流のサッカー選手で、災後で能力が覚醒し、ものを金属に一時的に変更する能力があり、これは素晴らしい防御手段であると同時に、彼のフットワークによって、強力な武器にもなる。彼が蹴り飛ばした物体が砲弾と化し、しかもエグい命中率で次々と敵を倒す。


 ヒゲの所属する強盗団の活動範囲は、災前の杭州(こうしゅう)辺り。もうちょっと北に行くと、核ミサイル攻撃が受けたことがあり、現在通行しようとする人はほぼいない。だから、ネオシャンハイから出る人なら、多くは彼らの勢力範囲内に入る。そのため、めちゃくちゃ儲かった。


 通行人のいない時期は、町に入り、強奪する。ヒゲの砲弾攻撃では、町の防衛はほぼ無意味。城門が破られたら、数百人の強盗が、武器をもって、あらゆる使えるものを奪ったり、いい女を連れて帰る。


 町の住人達も反撃を試みたが、ヒゲの前では全く歯が立たない。剣道の先生もダメだし、計略を使って熊の化け物をヒゲの元に誘導したが、結局やられた。


 無敵になったのが虚しい。感覚がマヒしたのか、最近は城門を破ったら、外でウォッカを飲みながら、同僚たちの働きを観賞するだけ。


 しかし、そんな彼も、さすが今日の惨状に動揺した。怒りを溜まって、彼は絶叫する。


「てめえら、いい加減にしろ!!」


 ヒゲの目の前に、二匹の悪魔がいる。白と黒、金と銀、女と男。昼、強盗の同僚たちはまだ寝ているとき、小娘は強盗だって叫びながら、ドアをけり開ける。開けられたドアから、外の見張りが見える。すでに全員倒されていた。


 強盗集団間の縄張り争いなら何度も体験したが、今回みたいな一方的にたたかれるのは、始めてだ。小娘の一喝で、黑い男が入ってくる。目が捕捉できないぐらいのスピードで、同僚が次々倒されていく。骨が折れた音と壁が破裂の音とともに。


 黒い男も覚醒者だろう。ヒゲはすぐ自分の服を金属化して、そしてベッド隣のものを蹴り飛ばす。弾たちは飛ばされた瞬間で、金属化され、どれも災前砲弾レベルの威力だ。


 しかし、黑い男は片手で軽く振って、すべての砲弾を打ち落とす。まだ次の攻撃を準備しようとするその時、すでに懐に入られ、適当のパンチ一撃が、金属の鎧に当たる。


 サッカーをやる前に、アメリカンフットボールもしばらくやった。数人の大男にぶつかったこともあるが、この一撃と比べると、かなりマシ。


 一瞬、金属の鎧がプラスチック製のように、無数の破片になった。パンツ一丁のヒゲは、地面に倒れて、どうあがいても立ち上がらない。


 ヒゲを倒したら、黑い男が再びほかの同僚たちに攻撃し始める。体がもう動けないが、悲鳴だけが耳に入る。小娘のほうは、でかい袋を取り出し、いろんなものを中に入れる。


 そうか、因果応報(いんがおうほう)、今度は自分が奪われる番か。最後の抵抗として、ヒゲは小さい声で叫ぶ。


「こ、この人でなしどもめ!」


 これを聞いたのか、小娘は物を取ることをやめ、ゆっくりとヒゲに歩いてくる。


「な~に言ってんの? 悪人に人権なし。よし、説明のお兄さん、やっておしまい!」


 黒い男は溜息をし、パンチで地面を叩く。激しい振動が伝わってきて、これでひげ男は気を失う。


 …………

 ……

 …


 アンジェリナと諸葛夢は、ストーンヘンジを探すべく、ネオシャンハイから出発して、四川省の徳陽(とくよう)を目指す。ボルダリングカーのスピードが遅いうえ、現在はちゃんとした道路もないので、災前なら一日もかからない距離は、今なら数日乃至数週間もかかるかもしれない。だから、二人はバイトしながら生活必要品を集めながら進めることにした。カイを待つ必要もある。


 崋山(かざん)から出て、まず到着したのは、ジョーシティという小さい町だ。ジョーという人が何度も町を救い、しかし強盗団との闘いで落命したため、彼の名前で命名した。


 町というより、小さい村のほうが正しい。建物はすでにボロボロで、外側には高い壁があるが、その壁もすでに半壊した。


 それでも入り口の衛兵が二人に細かく尋問して、これでやっと中に入らせた。しかし、これで、この町の強盗問題で苦しめられた情報を手に入り、二人はすぐ最大のレストランに向かう。どうやら、あのレストランのオーナーが、ここの村長みたいな人物だそうだ。


 強盗退治したら、食い物などの補給品を褒美としてもらうと交渉したが、子供何ができるという理由で、二人はポテト二つで追い払われた。しかし、半日も立たないうちに、二人は盗品満載の車で帰って、オーナーはびっくりする。


 これで、やっと二人を信じ、すぐ晩御飯を用意する。特殊次期なので、特別用意したといわれても、簡単の野菜と鶏肉しかない。アンジェリナは肉食べたくないから、野菜だけ食べる。


 晩御飯後、オーナーは二人と話をかける。雑談というより、相談のようなものだ。二人だけで大勢な強盗を倒せる実力を持ち若者なら、ぜひともジョーシティに住んでほしいと、依頼した。詳しい理由は教えないが、アンジェリナはもちろん断る。


 ならせめて強盗を倒せるぐらいの武術を伝授してほしいと頼んだら、今度は諸葛夢は断る。特殊能力の持ち主じゃなければ、伝授できるものではないと。


「特殊能力なら、剣道道場の先生も結構特別ですぞ。剣を振っただけで、大爆発が起こし、十数メートル先の板を両断できるし……それに、彼のおかげて、こちら畑の収穫も結構よくなったんですよ」


 諸葛夢は、自分の倒したムスタッシュ男を思い出す。


「光の木属性か、どおりで闇の金属性に勝てないわけだ」

「借金の時は慎重にね」

「その闇金じゃねえよ」


 もうちょっと茶番しようとしたら、アンジェリナはちょっと考えて、 


「でも、属性って、あんまり意味ないって言ったじゃん?」

「低レベルの戦闘ならちゃんと機能するよ」

「へいへい」


 しかし、どうせ来たんだ。二人とも剣道に結構興味あるし、オーナーも懇願したから、しばらく休憩したら、学校を改造した道場に向かう。


 道場の師範は高野賢治という人だが、南米系の西洋人だ。災前帰化したのか、災後適当な日本の名前を付けたのかはわからない。しかし、彼の剣術の腕は本物らしい。諸葛夢いわば、身体能力が互角なら、たぶん彼に勝てないかもしれない。


 数回戦ったら、高野はすでに汗びしょびしょの状態だが、諸葛夢は顔色の一つも変わっていない。高野はすぐお茶で二人を招待する。どうやら本当に日本文化に詳しい人のようだ。お茶に大した興味のないから断ろうとする諸葛夢だが、隣のアンジェリナはすでに地べたで寝てしまい、仕方なく付き合うことになる。


 ちょっと雑談したら、諸葛夢はまだいい剣を持っていないことを聞いて、高野はすぐ自分所持の数本の刀を持ち出し、彼にプレゼントしようとする。


 男なら、武器を見たら、誰もが興奮する。諸葛夢はすぐ目がキラキラになって、数本の刀を試す。が、これだっというものはやはりない。


「でも、剣なら、こっちだってすごい魔剣持ってるじゃん?」


 アンジェリナは目が覚めたようで、諸葛夢を見て、語る。


「魔剣?」

「ええ、もうボロボロで使い物にならないけど、でもめっちゃすごい剣だよ」


 高野はちょっと笑って、女子は剣に詳しいはずがないと、言い返した。これでアンジェリナがむきになって彼をボルダリングカーに連れ、トランクの剣を見せる。


 亀裂がいっぱいのボロい西洋剣を見て、高野の弟子たちはこっそりと笑い始める。しかし、高野の顔色は変わった。何かを言いだそうとするが、ちょっと考えたら、また黙る。すでに結構遅い時間なので、レストランのオーナーに二人に宿を用意するように頼んだ。


 かなり資源の限られている村なので、ちゃんとした部屋も一個しかない。アンジェリナはベッド、諸葛夢は地べたで、休憩する。


 宿の仕度を終わったら、オーナーは従業員たちを連れ、レストランの前で、アンジェリナ達が取返した盗物を住民たちに返す。取りに来る人もいれば、すでに持ち主が殺され、そのまま残されたものもある。


 全部片付いたら、すでに深夜だ。落とし物センターみたいな籠を用意し、残ったものを中に入れた。全員レストランに戻ったら、オーナーは従業員たちに合図を送る。


「よし、小娘と若造を殺せ」


恩を仇で返すとは、そういうことだ。では、二人の安否は?

次回を待て!

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