第九十八話 『神剣守護者』
洞窟で黒い影と遭遇するアンジェリナだが
前回の続き、奇妙な洞窟で、諸葛夢を探したく、アンジェリナはボルダリングカーから降り、あちこち歩き廻る。まだ妙な石碑を見ているその時、後ろに巨大な黒い影が現れた。
影を見たら、アンジェリナすぐ後退して、ショットガンを構える。
人殺せないが、まだそこそこの威力がある。古天仁が彼女のために用意した護身用武器だ。アンジェリナにとっては、もってこいのものだ。
しかし、黒い影は別に襲ったりはしない。アンジェリナにグルグル回って、彼女を観察する。しばらくすると、しゃべり始める。
「へえ、あなたかぁぁぁ。悪くない悪くない。どう? お宝に興味ない?」
「ないよ」
即座回答して、アンジェリナは銃を抱いて、さらに奥に歩く。意外なリアクションに一瞬びっくりして、黒影はすぐアンジェリナに追い、
「ま、まってよ~、めちゃくちゃいいお宝だから、ちょっと見に行ってよ~」
「ごめんごめん、アンジェリナ今人捜してるの」
「人探し? どんな人?」
「銀髪のイケメン」
黒い影はすぐアンジェリナを引っ張って、
「あ、その人なら知っているよ。案内してあげる」
アンジェリナは一旦足を止め、疑い目で黒影を見ながら、
「じゃあ、彼、どんな色の服?」
「黒」
「ブー、今日は青い服だったの」
「あ、そうそう、青青、ちょっと間違っちゃって」
「黒は正解だよ」
アンジェリナは引き続き歩く。どうやら嘘つくのが通用しないと悟ったのか、黒影は作戦を変更する。
こねる
すぐアンジェリナの足を掴み、
「もう、お願いだから、見に行ってよ。一生の願い。洗剤もつくからあああ」
仕方なく、アンジェリナは再度足を止め、
「ああ、もう。わかったわよ。で、どんなお宝? 何かすごい剣?」
「え? なんでわかるの?」
「だって、神剣洞って書いてあるじゃん?」
「げげ、ばればれか。もうちょっとサプライズにしたかったのに! 本当、誰だよ? 余計な石碑を作ったのは! あ、しまった! あたしだ。暇だから適当に作っちゃった」
(なんか、この黒影、いい仲になれそうな気がする。何でだろう)
名無しの神剣、名無しの守護者、便宜上、ドラと名乗った。今アンジェリナのいる場所は、崋山※のある洞窟だ。崋山はなぜネオシャンハイの周辺に移動したのかは、ドラも覚えてない。どうやら、戦争の時期で、気づいたら、すでに上海の隣に移動した。アンジェリナに見せたかったのは、ドラが守護している剣だ。
「でも、本当にもらっていいの? 抜いたら、何か封印が解けて、化け物がいっぱい出たりして。あるいはアンジェリナの成長が止まって、いきなり王になって、将来自分の息子と死闘したりはしないの?」
「何よその設定。大丈夫だって。新しい持ち主が決まれば、あたしもようやくこの洞窟に開放される」
「でも、この洞窟なぜこんな風になったの?景色は歪んでるよ」
奥に進めば進むほど、洞窟内部の歪みが激しくなる。あっちこっちに、螺旋の形になる。
「ああ、あれね。あれは神剣の必殺技を練習するときに残された跡よ。まだ思い通りに扱えないけど、空間すらゆがめるすっごい技だよ」
雑談しながら、かなり奥深くに進んだら、巨大な石造の扉があり、ドラが何かの呪文か合言葉を唸ったら、扉がゆっくりと上がる。
しかし、ドラは急に天井に吹き飛ばされ、ぶつかって重く落ちる。アンジェリナも、ものすごい衝撃を感じて、数歩後退して、尻餅をくらった。毛布の下にショットガンがなければ、たぶんすでに気絶した。そして誰かに抱かれて、洞窟の外に向かう。
頭を上げると、もう一つの黒影だ。ドラではない、諸葛夢でもない。まずいと思って、すぐ至近距離で発砲する。黒影は銃の攻撃でよろめかれ、これでやっとアンジェリナを開放する。
「さすがイヴ一号だ。俺の攻撃を受けても気を失わずに、さらに反撃してくるとは」
イヴ一号、アンジェリナかつて聞いたことのある呼び方だ。ある変態親父が、妖狐知世を頼んで、彼女を拉致した後の呼び方だった。肝心な時知世が寝返り、さらにアメジストの助力がなければ、今はどうなっていたのか、考えるだけで背筋がぞっとする。
「エッヘン。そうだよ。アンジェリナはすごいよ。早く諦めなさい」
なに諦めさせたいのかはわからないが、とりあえず威張るアンジェリナである。
「なら、こっちも遠慮せずに済む」
黒影は手を上がって瞬間、すごい勢い気流が飛んできて、周りの鍾乳石は、一瞬で粉々された。しかし、黒影は体を回転しながら、気流と同じ方向で動き、空中に浮かぶ葉っぱのように、攻撃を回避した。
「あたしがせっかく見つけた使い手だ。何する気?」
「光風の使い手が、だが相手にならぬ」
黒影はすぐ再度二人に攻撃に仕掛ける。今度は体をさらに変形し、両手が鞭のように、空中に舞う。ドラは何度も攻撃しようとするが、鞭攻撃に回避するのが精いっぱいで、なかなか思い通りには行けなかった。アンジェリナは大した戦闘力がないと判断したのか。足からもう一本の鞭生え、これだけで彼女に対応する。ショットガンを棍棒として使い、全力で防御するが、数ターン戦ったら、二人は再び吹き飛ばされる。
「まずい。このままじゃやられる。アンちゃん、奥の部屋にあたしが言ってた剣が置いてある。早く持ってきて、あれがあれば、勝機が来るよ」
アンジェリナを洞窟の奥の押そうとしたら、逆に彼女がドラの手を掴み、耳元で囁く。
「え? だめだよ。とにかく、早く剣を取ってきて!」
そしてら、ドラは黒影の前に立ちふさがり、
「あんたの相手はあたしよ。名乗れ、小僧」
「邪魔はさせぬ」
黒影はドラを無視してアンジェリナを追おうとしたら、ドラは両手を上げ、扇風機のように、全身回転し始める。先よりはるか大きな風が巻き起こし、気流に刃が何倍も強くなり、洞窟の分厚い壁まで粉砕して、小石が激しく空中に舞う。
しかし、黒影に全く効果がないように、一瞬してドラに接近して、首を掴む。
「風刃なんて効かぬ。まず貴様から仕留める」
「本当に出来ると思う? 自分の下半身を見なさいな」
黒影が頭を下げ、己の下半身を確認したら、いつか、ショットガンの弾がいっぱい刺さっている。しかも中の火薬が丸出し。風の中、小石が激しくぶつかりあい、火花が飛び出し、そして火薬を引火した。
慌てて体の火を消す黒い影が、隙を晒す。ドラはこのチャンスを逃さず、再び攻撃を仕掛ける。今回は風ではなく、体がドリルのように、高速回転しながら、直接黒影にぶつかる。
「やっぱりアンちゃんの思った通り、この黒いものは一種の鎧ね」
黒い影はドラのドリル攻撃で吹き飛ばされ、しかも黒いものが亀裂が入り、下に人間の肌が確認できる。
「だからアンちゃんがこっそり弾を仕込んでも知らないか」
そう言っている時、アンジェリナは彼女の身長とほぼ同じ長さの剣を引きずってくる。
「ドラちゃん! 剣持ってきたよ!」
「よし! アンちゃん、あいつをやっておしまい!」
ドラの一声で、先まではまだ重くて全然持ち上げられなかった剣が、急に自動的に動いたのように、アンジェリナの体を連れて、黑い影に斬りかかる。
「ちょちょちょちょ、ちょっと、アンジェリナ人殺しない主義なのよ!!」
しかし、剣が届く直前、黒影は急に手で剣をつかみ、そしたアンジェリナと剣を一緒に吹き飛ぶ。
「さすがイヴ一号、大した観察力だ」
といいながら、黒影の黒い鎧は、修復し始める。
「ご褒美として、名乗ってやろう。わが名はミハイル、ランス様の腹心」
そして、ミハイルの手元から、巨大なエネルギーの玉が現れ、
「イヴ一号は地震によって洞窟に生き埋めされて死んだと、ランス様にそう報告しておく」
そして、巨大なエネルギーの玉が、アンジェリナに向かって発射する。まずいと思って、ドラはすぐ剣を奪い、盾として、エネルギー弾を防御する。しかし、エネルギー弾は爆発し、二人とも吹き飛ばす。
ドラの死守によって、どうやらアンジェリナは無事のようだが、ドラは完全に動きな止まってしまい、剣にも亀裂がいっぱい生えた。
「運がよかったな。使い魔に救われたとは。まあいい、これで邪魔者がいなくなって、ランス様に捧げる」
といいながら、ミハイルはどんどんアンジェリナに迫る。
「何やってるんだ?」
ミハイルの後ろから、火との声がする。振り返ってみると、来るのは銀髪の若者、諸葛夢だ。
※前の泰山と同じく、中国五大聖山の一つ
危ないところで諸葛夢がやってきた。話して、諸葛夢はミハイルに勝てるのか。
次回を待て!
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