魔王の歌
王都で知らぬ者ぞ無き
魔道貴族はゼマティス家
聖なる魔女を母に持ち
王都で知らぬ者ぞ無き
好色騎士を父に持つ
その名も高き魔の王カース
溢れる魔力は無尽蔵
振るう魔法は無先例
ヒュドラ ドラゴン クラーケン
屠った魔物は無尽蔵
魔王の後には一望無根
肉片一つも残さずに
金貸しカース 魔王カース
クタナツ生まれの下級貴族
無尽のカース 魔王カース
フランティアでは収まらぬ
御目見得カース 魔王カース
王国全土に轟く雷名
龍の装束 身に纏い
若き魔王の行く先は
黒き魔道か
白き覇道か
異世界金融の主人公カースのことを売り出し中の吟遊詩人が歌ったものです。
そんな新進気鋭の吟遊詩人ノアはこんな奴です。
『領都のみなさん、お懐かしゅうございます。領都で生まれアベカシス領で育ったノアが故郷へ帰って参りました。今宵は心ゆくまで私の歌をご堪能いただければ幸いです。なお、現在私の魔力庫には若干の余裕がございます。荷物にならないお土産ならばそれはもうたくさん入ります。お帰りの際はお忘れなきようお願いいたします。』
『それでは一曲目。この度の災難、原因は呪いの魔笛だそうで。実は私、呪いの魔笛の音色を聴いたのは今回が二回目なんです。一回目は……わずか一月前、そうです。王都で聴いたんです。そして二回に渡り襲い来る魔物の群れから街を、領民を守り抜いた小さな魔王殿に敬意を表して……
この歌を贈ります。聴いてください……』
ここから上の歌に入るわけですね。
作中には『ローランド王国では初めて聴く曲調。ハーモニックマイナー系の音使いが斬新かつ高貴な印象を与えている』と書いてありますが、イメージはMALICE MIZERの『月下の夜想曲』です。
領都復興プレパーティーの余興
https://ncode.syosetu.com/n5466es/850/