編集者の視点は勉強になります
活動報告を読んでいると、色々と勉強になるネタを頂ける時があります。自身の小説の書き方などを書かれる書き手様もいらっしゃって、なるほどと感じる事もあります。
その中で、編集者の視点という記事が公開されているという内容がありました。
『編集者は小説賞の選考をするとき、作品の何を見ているのか(個人的視点)』岡田勘一 著
URL: https://note.com/kanichi0203/n/ne21c9b9f0c28
小説、雑誌、書籍、ガイドブック、BD/DVD等の企画・編集・ライティングを行う編集プロダクションである有限会社マイストリートに所属されている編集者の方が書いている記事となります。
本エッセイでは書き手や読み手を、ビジネスに当て嵌めてみるという事を書いていましたが、編集者という観点がなかったなと改めて感じました。
著者の視点としては、小説の中身として以下の5つのポイントを書かれています。(原文引用)
①設定とアイデア、「ログライン」がしっかりしているか(コンセプト)。
②冒頭部分の文章表現が読者を惹く導入にできているか(掴みの巧さ)。
③ストーリーを描いていく際の情報取捨選択が適切か(文章力、構成力)。
④他の作品と差別化できるアピールポイントが思い浮かぶか(独自性)。
⑤小説の“型”と“魅せ方”を作者が理解しているか(演出力)。
ログラインとは「誰が、どんな状況で、何をするか」がはっきりとすることで、ここに設定とアイデアを盛り込まないといけない。確かに小説を読んでいてもキャラクターの個性がしっかりしていて、誰というのがわかると読み易いと感じます。
さて、小説の書き方については、私は研究をしてきたわけではありませんので、この話は終わらせて頂き、他に重要なポイントが見受けられたので紹介いたします。
『ここで大事になってくるのは「タイトル」です。』(原文引用)
著者は応募作は1万点以上あるため、小説家になろう上での検索には限界がある事。小説賞運営元であるクラウドゲートからリストが貰える事。注目作ピックアップとして情報を貰える事を書いています。
『ずらっと並んだリストは、ポイントやジャンルでソートをかけてみて、作品を矯めつ眇めつしていくのですが、そこでの判断はやはりタイトルが第一印象になります』(原文引用)
おそらく、そのリストも膨大な数なので何か指標があると思っていましたが、リストの中身の情報がありました。
・タイトル
・ポイント(PT)
・ポイント(PV)
・ジャンル
本エッセイにおいて、私は100ptを取るための方法として、マーケティング理論からタイトルの重要性を書いていましたが、小説賞においてもタイトルが重要であることがわかりました。
『このタイトルが、作品コンセプトをしっかり捉え、表現できているものであれば、読みたくなってしまうもの』(原文引用)
タイトルの書き方をビジネス視点で考える事は、本エッセイに書いているので、この見解は面白いなと感じてしまいます。
では、次に見るのは何かというと「ポイント」ではなく、「冒頭の書き出し」との事です。ポイントが重要でない理由が書かれています。
『数万ポイントを獲得していたとしても、「書籍化したときに市場で通用するか」という観点が、乖離してきているように思います。』(原文引用)
この「書籍化した時に市場で通用するか」という内容については、直接は書かれていませんが、実は触れられている部分があります。
『エンタメ作品においては現在のトレンドの流れを掴むことが大事になってきます。どんなレーベル、ジャンルにおいても、主たるターゲット読者層・年齢層、書店の棚の位置などがあり、それらに合わない作品を送り出しても、スベり散らかして爆死することになってしまいます。そうならないように編集者は市場のデータを集め、ある程度のストライクゾーンを作り、その中に入る範囲での作品の独自性を見ています。』(原文引用)
つまり、ここで書かれているストライクゾーンをベースに冒頭の書き出しをみるということになります。なろう内で『書き出し祭り』というものがあり、多くの書籍化作家様も参加している理由がここで分かりました。さらに著者は以下のように書いています。
『映画やアニメのアヴァンタイトル、楽曲のイントロそういったものと同じなのが小説の書き出しです。最後まで書き終わってから、最後冒頭に戻って書き直したほうがいいくらい、大事な部分です。』(原文引用)
とても、奥が深い話ですね。本エッセイでも脳内物質の放出の原理でプロローグの重要性を説きましたが、あながち間違っていないと事がわかりました。
更にこのエッセイでは作品の書き方についても触れています。ここは重要そうなので、そのまま引用しましょう。
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そして、冒頭からストーリーを進めて行くにあたって大事なのが、文章用言内の、情報取捨選択です。たとえば、主人公の名前の出し方。多くの人が自然な形で主人公の名前を出そうと工夫していると思います。そんな中で「俺の名前は○○」や「俺こと○○は」というように出されてしまうと、情報の整理や表現技法に難ありと感じてしまいます。
このほかにも5W1Hに代表される情報が、しっかり読者へ提示されているか、本筋に関係ない情報をいれすぎていないか、という文章の構成も見ていきます。小説は書き進めるのも大事ですが、削ることも大事です。不要な部分を削れていないと、読者が読みづらくなってしまいます。
冒頭から1万字くらいの中で、この「掴み」と「情報取捨選択」ができていないと、いくらアイデアやログラインが明確でも、読むのがキツくなってしまいます。
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ここは少し耳が痛いですね。私はいきなり名前を出したりするタイプの書き手なので精進をするしかなさそうです。
という感じで、編集者の視点というのは非常に勉強になる事がわかりました。他にも色々と書かれていますので、是非一読されることをお勧めします。
本エッセイでは「ビジネス論理を展開してPT100を取りましょう」という内容も書いてきましたが、共通点もありましたので、あながち間違っていない事も書いていなかったかなと感じています。
いかがでしたでしょうか? 「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだやれることがある!」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。
小説になろうにユーザー登録して、なんとなく書き始めたエッセイですが、気付けば10万字を超えるものとなっていました。
ビジネス視点というアプローチも多く、主に書き手様向けにはなっていますが、レビューも頂けて私は満足しております。
ちょうど良い区切りだと考えて、一旦本エッセイを閉じたいと思います。また、ネタが纏まりましたら何か始めてみるのも良いかと感じています。
皆様が良い小説に出会うことを
茂木多弥




