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いわゆるR15の考察について

 今回は徒然なるままの回です。

 たまに活動報告などでR15指定について警告が来たという話を聞きます。今回はこの内容と文学について徒然なるままに書いてみたいと思います。


 まず、「なろう」のR15ガイドラインには以下に定義されています。 

■15歳未満の年少者にとって、刺激が強いと考えられる描写

・性交・性的接触等の性的感情を刺激する行為を想起させる描写

・身体欠損・大量出血を想起させる描写

・性器及び性行為を指す伏字等、年少者には閲覧を控えさせたいと考えられる語句を意図的に多用する描写


 では「なろう」におけるR15を自分自身で判断するにはどうすればいいのでしょうか? 私は日本の裁判の考え方を使いたいと考えています。日本の裁判は判例(裁判において具体的事件における裁判所が示した法律的判断)を元にして、判断をする場合が多いです。そう考えるとR15の判断はコミックの判例をベースに考えるべきではないかと私は個人的に思っています。


 ここで、一般のコミックと言われる分野における年齢定義の目安を並べたいと思います。

・少年誌:小学校高学年以上

・ヤング誌:中学生以上(ローティーン以上)

・青年誌が高校生以上(ハイティーン以上)


 少年誌と言えば、集英社様の少年ジャンプ、講談社様の少年マガジン、小学館様の少年サンデーが有名だと思います。その中の作品でさえ、R15ぐらいのものがあるかと感じますが、ポイントは多用するかどうかだと考えています。修行して強くなっていくような格闘ものだと当然出血もしますし、それがないと面白くありません。

 また、青年誌と言えば、集英社様のヤング・ジャンプでしょうか? たしかに少年誌に比べればR15ガイドラインの作品がよく見受けられます。もちろん世代によって評価が異なってくるはずなので、執筆時に連載されているコミックの許容範囲に従って判断するのが良いかと感じています。


 結論が出ましたので、これで終わりますというのでは芸がありません。いわゆる文学作品の世界ではどう扱ってきているのかを見てみたいと思います。

 やはり、これらの話題を考えた時に最初にでるのは、中国の四大奇書になるのではないかと考えます。四大奇書しだいきしょとは、中国で元代から明代にかけ、俗語体で書かれた4つの長編小説の総称の事です。

『三国志演義』

『水滸伝』

『西遊記』

『金瓶梅』

 小説の表現としてはR15のボーダーラインが、この辺りになるのではないかと感じます。

 戦争物だと『三国志演義』『水滸伝』、ファンタジーだと『水滸伝』『西遊記』、恋愛ものだと『金瓶梅』といった所でしょうか?


 北方謙三先生が『三国志演義』(ハルキ文庫)『水滸伝』(集英社文庫)を執筆されており、ハードボイルドな作風でとても面白く描かれています。

 『西遊記』は複数の文庫から出ていますが、日本で有名になったのはテレビ番組の影響が大きいのではないかと感じています。この時に三蔵法師を女性が演じていましたので、日本では三蔵法師が女性っぽい姿で描かれることが多くなったともいわれています。またモチーフ作品として有名なのは『最遊記』(一迅社)でしょうか?


 そして、知る人ぞ知る『金瓶梅』。岩波書店様、ちくま文庫様から出版されています。お話としては水滸伝のサイドストーリーです。人間や社会への抉りの深さが持ち味で、少し性的感情を刺激します。ただ、「奇書」とは「世に希なほど卓越した書物」の意味を示す通り非常に面白い作品です。


 性的感情を刺激するのを非難する方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の三大要求の一つが性欲であることも考えると、それを要素の一つとする小説が全て悪いものであるとは考えにくいです。

 何よりも日本が誇る長編小説『源氏物語』(角田 光代現代訳 河出書房新社)は、主人公の光源氏を通して、恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、平安時代の貴族社会を描いた少し性的感情を刺激する物語です。なので私は性的感情の刺激を否定したくありません。


 中国、日本とみてきましたので、西洋ではどうでしょうか? 西洋だとキリスト教がと思うかもしれませんが、ルネッサンスのおかげで敷居が低くなっています。もっとも代表的なものは『ギリシア神話』ではないでしょうか? 『一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)』がお勧めです。欲望、誘惑、浮気、姦通、嫉妬、戦いが表現されているのがギリシア神話、星座の元になっている話ですし本当にお勧めします。


 ギリシア神話を読み終わった後にたぶん思うでしょう。

「うわ……ゼウス……残念。ないわー」


 さて、もともと読み専であった私は基本的にタイトルで「あからさまに性的感情を刺激する」ものは読まないようにしています。私も人間ですので性欲がないというわけではなく、私はイラストを描く事もあるのでイメージが降りてきやすいという問題があるためです。ただ、嫌いではありませんし、要素として含まれている事は大歓迎です。

 そうではなく、性的感情を刺激する事を目的とするのであれば、ガイドラインの通り「ノクターンノベルズ」、「ミッドナイトノベルズ」、「ムーンライトノベルズ」に投稿して頂ければと思っています。


 そのようなシーンがなくても話が成り立つのであれば、なぜ挟む必要があったのかというのは難しい問題でもあるかなと感じています。ある時代劇のテレビ番組で何故か入浴シーンが挟まれていましたので、必要な場合もあると思っています。(テレビの場合は視聴率の問題がありますが……)


 今回は徒然なるままに書いていますので纏まっておりませんが、一言でいえば「欲望、誘惑、浮気、嫉妬」は小説の醍醐味でもありますので、ゼウスはやはり全能神だといったところでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゼウスが全能神! そんな意味でしたか! これは目から鱗です! [一言] 金瓶梅が水滸伝のサイドストーリーとも知りませんでした! いつも勉強になります!
[良い点] 「源氏物語」て姦淫と不倫の物語と言って過言ではないように思います。 源氏の不倫行為に紫の上が悩まされる物語。 「宇治十帖」もその延長上ですよね。 それはともかく、「R15」に関する考察あり…
[良い点]  ターミネーターとか、洋画だとベッドシーンは大抵あるような気がしますが、基本的には事後だったりすることが多いように感じます。  鷹羽は、その手のシーンは照れて上手く書けないのと、警告もらい…
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