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強欲を一概に悪いと言ってよいのか迷います

 七つの大罪シリーズの最後になります。

 七つの大罪でエッセイを書いてきましたが、残すところ強欲となりました。強欲または貪欲どんよくと呼ばれるものも大罪になってしまうのですから驚いています。

 何故ならハングリー精神という言葉があるからです。ハングリー精神とは、恵まれない環境から脱出するために必要な強い気持ちという意味で用いられるだけでなく、たとえ恵まれている環境にいても、自分が憧れているものを手に入れるための強い気持ちを示していますので、貪欲と言い換えてもよいかと感じます。


 iPhoneを作ったスティーブ・ジョブズも「ハングリーであれ、愚かであれ」と言っており、強い欲を持つことは私にはそんなに悪い事には思えません。また、ビジネスの世界では承認欲求を使ったモチベーション向上などの指導があるぐらいです。前章ではマズローの欲求の話を取り上げましたが、欲とは動機になるものですので欲が強いという事を悪い事と思えないと書いた意味を理解していただけるのではと感じております。


 結論は出ましたのでお終いというのでは芸がありません。もう少し深堀したいと思います。実は七つの大罪には悪魔が割り当てられています。


傲慢(高慢) ルシファー

憤怒(激情) サタン

嫉妬(羨望) レヴィアタン

怠惰(堕落) ベルフェゴール

強欲     マモン

暴食(大食) ベルゼブブ

色欲(肉欲) アスモデウス


 では、マモンとはどのような悪魔なのでしょうか?

 1533年に出版された三部作『隠秘哲学論』の巻3第18章「悪霊の階級、その堕落とさまざまな性質について」の中で、マモンについて次のように述べられています。


 さらに、誘惑する者、陥れる者たちは悪魔の最下位にあり、そのひとつはあらゆる人間に現臨している。ゆえに我々はそれを悪しき悪霊ゲニウスと呼び、その君主は貪欲と解釈されるところのマモンである。


 つまり欲求に対する誘惑の悪魔を使役する君主ということみたいです。そういう意味では誘惑に負けてはいけないという意味で強欲を戒めているのかもしれません。人間は楽しいと経験してしまったものへの誘惑はなかなか(あらが)えないものです。


 基本的には自分の意志の弱さなのですが、それを外部からの影響であることにして教えを信じさせるところに宗教の凄さを感じてしまいます。小説でも悪魔との契約のような話もあり、想像力を掻き立てる題材になるので面白いと感じます。


 人の欲求というものはすごいもので、形は違えども何かしらの手段で実現をしていっています。空を飛びたいという欲求は飛行機が発明されていますし、世界中に行ってみたいという欲求は飛行機、船、鉄道で満たされています。確かに瞬間移動などは難しいですが、移動という意味ではクリアしているのではないでしょうか?


 別人になりたいというのであれば、バーチャル世界でのアバターがいますし、私もなろうの世界では別の自分として存在しています。そう考えると人類が望んでる欲求で残っているのは2つぐらいではないかと思っています。それは「不老不死」と「タイムマシーン」です。


 未来方向だけを考えれば相対性理論で年の差を生むことは可能です。双子が生まれたとして、片方を光に近い速度で移動している宇宙ステーションで育てると年の差が発生します。しかしながら摩擦がある地球上ではマッハ3を超えた実績はありませんので現実的でもありません。なお、物理学の世界では光の速度を超えることはないので、何十光年離れているところに行くのも難しいです。


 話がずれましたが、タイムマシーンの本質は時間軸を合わせ直す(もとの時間に戻る)ところにあるので、年の差を生んでも目的を達成することは出来ないと思います。過去にいく行為は時間の流れを物のように扱わないといけないので三次元に存在している私達には難しいと感じます。


 一方、不老不死ですが日本などで平均寿命が伸びています。ただし寿命が伸びている人が多くなったということであり、寿命そのものが数倍になったわけではありません。人間は122歳に壁があるのではと言われています。諸説はありますがDNAに活動限界があるとも言われています。アンチエイジングが流行っており60歳でも40歳ぐらいに見えるという話もありますが、80歳で30歳に見えるという話は聞いたことはありません。


 いずれは科学の進化でiPS細胞などを使って再生医療も盛んになるかもしれませんが、脳だけは変えることは難しいと考えます。普通に考えて、脳が入れ替わった人が既にその人であると誰が証明するのでしょうか? それこそ神の領域ですが、もし仮にネットでのアバターに意思が生まれたとしたら、彼らこそが永遠に生きる新しい生物なのかもしれません。


 ちなみに技術的特異点といわれているシンギュラリティは2045年に発生すると言われています。この時にコンピューターが意思を持つのではないかと考えられています。まだまだ先の話にも思えますが、たった25年後の話です。その時には再生医療も流行って、見た目20歳で実年齢70歳の人が渋谷を闊歩しているかもしれませんね。


 そうなると見た目の若さは全員が同じになっていますから、結婚のありかたも変わっているかもしれません。どのような未来になっているのか想像もつかないです。想像してみても面白いかもしれません。


 強欲から徒然なるままに書いていて、このような話になるとは思いませんでしたが、小説のネタとしては面白いかなと感じます。異世界転生や異世界転移も、実現できていないという意味では同じですね。私は次元ベクトルという考え方が好きで、それを元にホラーを書きました。


 人の欲や想像力は尽きることなく、強欲のまま書き連ねるのが楽しいかなと感じました。人の欲を題材とした物語はとても楽しいものがありますので何かしらの題材になればと感じております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 知らない事ばかりでとっっても勉強になりました。見た目年齢が20歳で実年齢が70歳の人が25年後にいるかもしれないとの事、そんな未来が来たら嬉しいです^ ^
[良い点] 欲望は希望で、目指す自分だったりもしますから、否定されると辛いですね。 怖いのは、欲望を満たすために他者を貶める、盗む、などが伴うことなのではないかと思います。
[良い点] 大変興味深いお話でした! 何かのネタにできそうです! 隙あらばいせきんに! ありがとうございます!
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