色欲は三大欲求の性欲とは少し違うようです
7つの大罪シリーズです
性欲はご存じの通り、人間の三大欲求なので生きるためには必要な欲望です。また、歴史的にも命の危険にさらされることが多い時代は生き残れる可能性が低いため、たくさんの子を残すことが必要でした。現在は教育の問題などが多く、日本は出生率が低く少子化が問題になっていますね。少子化の問題は本題ではありませんし、色々難しい話なので控えさせていただきます。
小説の題材になる事とすれば、戦国時代は一部の権力者、富裕層は後継者を残すために子孫を残すことが重要とされている部分だと思います。有名なところだと春日局が作ったと言われる大奥だと思います。絢爛豪華な衣装と、女が男まさりの権力闘争を繰り広げる点が大奥の魅力ですね。
さらに政略結婚が題材となったり、ざまぁ系だと昔からの許嫁など、子をなすという意味では小説の題材としては受け入れやすいものではないかと感じます。
別の視点から見ると、日本も含め昔から男色という文化があります。武士の心得をまとめた武士道のバイブル「葉隠」にも、男色(衆道として)の心得が記載されているので、何とも難しい世界だったと感じます。そんなの妄想って言われる人もいるかもしれませんが、武田信玄が男色についての手紙を書いた事は凄く有名な話なのでぜひ調べてみてください。
ざっくりと言ってしまえば、今や社会的認知を頂いているBLも昔から衆道として親しまれてる(?)わけですから文化的には、それほど間違っていないのかなぁと感じてしまいます。
それでは人間の三大要求の一つである性欲をベースとしている色欲が罪になるのでしょうか? 調べてみると色欲には「不適切な性欲」という意味があることが分かりました。
色欲を司る悪魔はアスモデウスと言われ、人間の女性に取りつき結婚するたびに初夜に夫を絞め殺すことを7回実施しています。悪魔になる前は智天使という天使階級第二位のインテリ天使です。堕天使の部類ですよね。インテリが落ちると色欲に走る……なるほど……と思ってしまいます。
話がずれてしまいました。「不適切な性欲」に戻ります。
まずは旧約聖書での「姦淫」があげられます。いわゆる「強制わいせつ」ですね。日本では「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の人に性交、肛門性交又は口腔性交をすること。もしくは、13歳未満の人間に性交等をすること」となります。人間となっていますので性別は問いません。
次に「婚姻関係の外にあるものや、生殖から切り離されそれ自体の快楽を追求するもの」があげられています。基本的に子を成す以外の快楽での性欲は好ましくないということでしょうか? でも日本では処女信仰はあっても、童貞信仰はありませんよね。童貞は30才になると賢者になれるようですが……
まあ、普通に考えて、家族がいるのに不倫をする、相手がいるのに奪おうとする、自分のものにしようとする。必要以上に欲しがり、相手を傷つける…こうなってしまうとやはり「罪」になるのだと思います……
ここから難しいなぁと私が感じてしまうのは、「恋愛」という要素になります。ギリシャの哲学者でありプラトニックラブの語源になったプラトンによると、愛は善きものの永久の所有へ向けられたものであり、肉体的にも心霊的にも美しいもののなかに、生殖し生産することを目指す。愛を一つの美しい肉体からあらゆる肉体の美へ、心霊上の美へ、職業活動や制度の美へ、さらに学問的認識上の美への愛に昇華させ、ついに美そのものに昇華させるとあります。
この言葉から考えると、人間は生殖から進化していき、最終的に精神的な愛を形成していたのかなぁと感じます。
その中で歴史的に試行錯誤が行われ「不適切な性欲」から「背徳」とは何かということが形成されていったのかと考えます。そして、その背徳が少し入っていると小説の要素として面白くなったりするのですよね……逆にいえば、小説の中では背徳が許されるから楽しいのかもしれません。
では、仏教の考え方ではどうなっているのでしょうか? 欲界(六欲天)というものがあり、空居天(他化自在天、楽変化天、覩史多天、夜摩天)と地居天(三十三天、四大王衆天)が、欲の世界を見守ります。よくわからんと思う方もいると思いますが、地居天の四大王衆天は有名で、持国天、増長天、広目天、多聞天となります。特に多聞天は毘沙門天として有名ですね。
ここから凄いのは、地居天は人間と同じように交わります。※精水は出しません。血が騒ぐだけで、冷たい風を出して熱い欲望を冷まします。
そして、空居天は段階により満足の仕方が異なるのです。
・夜摩天…軽く抱き合うだけで満足する。
・覩史多天…手を握るだけで満足する。
・楽変化天…向き合って微笑みあうだけで満足する。
・他化自在天…お互いに見つめあうだけで満足する。
え? って思いませんでしたか? 仏教ってロマンスのイメージが少ない感じがしますが、手が触れ合うのでドキドキしちゃうって意外と可愛いイメージになってしまいます。ちなみに順位としては下にいくほど高位になります。これが神様の性欲なのですから、なんというか仏教は凄いですね。
これに「不適切な性欲」を掛け合わせると、カオスになってきそうです。
色欲からはじまり全体的にまとまらない感じがしますが、私としては仏教の性欲の昇華の考え方が恋愛のような部分に行き着いている感じがして、このテーマをエッセイにして面白かったと感じています。
結論としては、どこの世界においても「不倫」と「愛のない性欲」は、良くないという事と言った所でしょうか?