⑦
グラウンドに拍手喝采が起こった。
それまで自分たちしかいないものだと思っていた俺たちは驚いてそちらを向く。
校舎の方から何人かの男女が歩いてきた。先頭にいるのはツーブロックの髪型をした強面の男だ。赤いジャケットを着ている。
男たちは俺たちに近寄ると立ち止まった。
「てめーらの戦い、見させてもらった。やるじゃねえか、俺たちの、仲間に入れ」
「あのー、どちら様ですか?」
ルルアが表情を険しくした。しかし態度は丁寧であり両手は前に組んでいる。
「俺たちギルドはミストダガー。俺はそのギルドマスター、ローゼンだ」
「ミストダガー?」
「ああ、この東校では一番強いギルドだ」
「朝、玄関で見かけませんでしたが」
「見境無い勧誘はしていない。強い奴だけだ」
「検討する時間をいただいてもよろしいですか?」
「ゆっくり考えろ。それと」
ローゼンが右拳を突き出す。
「障壁よ」
ルルアが唱える。
俺の足下に異変が起こった。爆発する。しかしその前にルルアが障壁をはっていた。
「ジャガイモは要らん」
くっくと笑いながらローゼンとその連れ合いは戻っていった。
「また聞きに来るぞ」
彼は背中を向けたまま首だけ振り返った。また歩いて行く。
ルルアは心配そうに俺を眺める。
「大丈夫? ええと、リントくん?」
「ああ、平気だ。ありがとう」
「貴方は本当にまずいわね」
弱すぎるということだろうか?
「いや、平気だ。俺の本気はすごいぞ」
「ジャガイモに本気を出されてもねえ」
三人が苦笑した。ふとケイスケの姿が無いことに気づく。俺がキョロキョロとすると校舎の方から彼が走ってきていた。
「ケイスケくん、どこに行ってたの?」
「ごめん、お手洗い」
いなくなった気配は全く無かった。こつ然と現れたミストダガーたちのようであった。
彼のことは注意して観察しよう。
ふとそれまで地面で伸びていたアノンがびくびくと動きまぶたを開いた。
「はれー、ここはどこ?」
クスクスと笑いがこぼれる。
「アノン、おはよう」
ルルアが右手を差し出した。引っ張って起こす。
「あ、私、やられたんですか?」
アノンが痛そうに首裏をさする。
「そうよ。とりあえず皆、教室へ戻りましょうか。戻ってきているクラスメイトもいるかもしれないし」
いつの間にかルルアが仕切っていた。五才の頃の彼女と今の彼女を比べて感慨深い気分になった。




