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敗者復活の鐘が鳴る  作者: 齋藤翔
43/43

ー4ー


「と、言うわけなんだ」


 俺は三人にレナのことを説明した。もちろん財布は返した。


「何が、と、言うわけなの?」


 ルルアが両腕を組んでいる。アノンとナージュもいて、四人でひし形になっている。その中心にはレナがいた。


「だから、分かるだろ、な?」

「分からないわ」


 ルルアは首を振る。


「いやだから、ええと、どーすればいいんだ?」


 ナージュがしゃがんだ。レナの髪をなでる。


「レナちゃん、お父さんとお母さんはどうしましたの?」

「いないよ? レナが生まれた時から、いないよ」


 皆の表情が曇る。


「レナちゃんは、どこから来たの?」

「セルデンベルク」


 俺たちは顔を見合わせる。セルデンベルクというのは精霊セレスティーナの神殿がある都市である。東西南北四つのハイガクがある、その中心に位置している。ここから山一つ超えればセルデンベルクがあるはずだ。


「レナちゃんは、今までどうしてましたの?」

「神殿で働いてたの」

「ふーん」


 ルルアがしかめ面ながらも何度か頷いた。


 アノンもしゃがむ。


「レナちゃん、どうしてここに来たの?」

「虫の知らせ」

「悪い予感ってことか」


 俺は顎に手を当てた。セルデンベルクで何か悪いことがあるのだろうか。


 俺はルルアを見る。


「分かったわよ。しょうが無いわね」


 ルルアは両腕を開いた。そしてしゃがむ。


「レナちゃん、だっけ? もうすぐ土日だから。セルデンベルクに帰してあげるわ」


 今日はまだ木曜日である。ちなみにリアラの暦は地球と同じであり、休日もそうだ。


「いいの?」

「うん。お姉ちゃんたちに任せて」

「わー、ありがとう」

「よし」


 ルルアが立ち上がった。


「それじゃあ、帰りましょうか」

「レナもついて言っていいの?」

「うん、いいよ」


 アノンも言って立ち上がる。


「仕方無いですわね」


 ナージュも同じようにした。


「お姉ちゃんたち、ありがとう。本当にありがとう。お兄ちゃんも、ありがとう」

「お兄ちゃん?」


 ルルアがめざとく反応する。


「何だ?」

「ふーん」

「お兄ちゃん、お尻叩くのは、夜のお風呂でいいよね?」

「は?」

「へ?」

「リントさん?」


 俺の顔に嫌な汗が伝った。


「はっはっは、何を言ってるんだレナは。尻なんて叩くはず無いだろうが」

「ううん、お兄ちゃん。約束通り、叩いて。だってレナは、悪いことしたんだから。それと、イタズラしてもいいからね」


 女性陣が苦虫をかみつぶしたような表情で睨んでくる。


 空気が凍った気がした。


 こうなったらもう、あれだ。


「俺、イノシシ獲ってくるわ」


 俺は脱兎のごとく逃げ出した。


「待ちなさい!」

「リントちゃん!」

「説明して欲しいですわ!」

「え? え?」


 レナだけは、困惑したような表情で見上げていた。


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