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「と、言うわけなんだ」
俺は三人にレナのことを説明した。もちろん財布は返した。
「何が、と、言うわけなの?」
ルルアが両腕を組んでいる。アノンとナージュもいて、四人でひし形になっている。その中心にはレナがいた。
「だから、分かるだろ、な?」
「分からないわ」
ルルアは首を振る。
「いやだから、ええと、どーすればいいんだ?」
ナージュがしゃがんだ。レナの髪をなでる。
「レナちゃん、お父さんとお母さんはどうしましたの?」
「いないよ? レナが生まれた時から、いないよ」
皆の表情が曇る。
「レナちゃんは、どこから来たの?」
「セルデンベルク」
俺たちは顔を見合わせる。セルデンベルクというのは精霊セレスティーナの神殿がある都市である。東西南北四つのハイガクがある、その中心に位置している。ここから山一つ超えればセルデンベルクがあるはずだ。
「レナちゃんは、今までどうしてましたの?」
「神殿で働いてたの」
「ふーん」
ルルアがしかめ面ながらも何度か頷いた。
アノンもしゃがむ。
「レナちゃん、どうしてここに来たの?」
「虫の知らせ」
「悪い予感ってことか」
俺は顎に手を当てた。セルデンベルクで何か悪いことがあるのだろうか。
俺はルルアを見る。
「分かったわよ。しょうが無いわね」
ルルアは両腕を開いた。そしてしゃがむ。
「レナちゃん、だっけ? もうすぐ土日だから。セルデンベルクに帰してあげるわ」
今日はまだ木曜日である。ちなみにリアラの暦は地球と同じであり、休日もそうだ。
「いいの?」
「うん。お姉ちゃんたちに任せて」
「わー、ありがとう」
「よし」
ルルアが立ち上がった。
「それじゃあ、帰りましょうか」
「レナもついて言っていいの?」
「うん、いいよ」
アノンも言って立ち上がる。
「仕方無いですわね」
ナージュも同じようにした。
「お姉ちゃんたち、ありがとう。本当にありがとう。お兄ちゃんも、ありがとう」
「お兄ちゃん?」
ルルアがめざとく反応する。
「何だ?」
「ふーん」
「お兄ちゃん、お尻叩くのは、夜のお風呂でいいよね?」
「は?」
「へ?」
「リントさん?」
俺の顔に嫌な汗が伝った。
「はっはっは、何を言ってるんだレナは。尻なんて叩くはず無いだろうが」
「ううん、お兄ちゃん。約束通り、叩いて。だってレナは、悪いことしたんだから。それと、イタズラしてもいいからね」
女性陣が苦虫をかみつぶしたような表情で睨んでくる。
空気が凍った気がした。
こうなったらもう、あれだ。
「俺、イノシシ獲ってくるわ」
俺は脱兎のごとく逃げ出した。
「待ちなさい!」
「リントちゃん!」
「説明して欲しいですわ!」
「え? え?」
レナだけは、困惑したような表情で見上げていた。




