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敗者復活の鐘が鳴る  作者: 齋藤翔
42/43

-3ー

会社帰りで体がくたくたです。でも、これを呼んでいる貴方もそうなのかもしれないですね。しかし、少し休まないと続きが書けないです。二時間ほど休憩です。


 売店の前には水色のニット帽をかぶった女の子がいた。


 身長からして、小学校高学年ほどだろうか。小学生がどうしてここにいるのだろう。敗者復活戦学校は、一四,五才者しか入学できないはずだ。


 長い銀髪をしていた。


 女の子はイチゴミルクのパックジュースを片手に持ち、もう片方の手には財布を三つかかえ、デザートの棚を眺めている。


「おい」


 俺は声をかけた。


 こいつがレナに間違い無いだろう。


 レナばびくっとしてこちらを向いた。表情はこわばっていたもののすぐに弛緩した。


「リント」


 俺はまた訳が分からない気分に襲われた。どうして俺の名前を知っているのだろう。


「お前か? 財布を盗んだのは」

「どうして分かったの?」


 レナは両手を開いた。


「だってお前、イチゴミルクのジュース持ってるじゃねーか。さっき放送で買うとか言ってたろ?」


 俺は指さした。


「うん。レナはイチゴジュースが大好きなの」

「おごってやるから。お兄さんに財布を返しな」

「え? え? え? お兄さん? って。レナのお兄ちゃんになってくれるの? そうなんだ。そっか。うん、いいよ。レナ、ずっとお兄ちゃんが欲しかったんだ」

「何を言っているんだお前は?」


 レナは頬を赤らめている。両手を後ろに組んでもじもじする。


「お、お兄ちゃん」

「……は?」

「う、ううん、何でも無いの。ただ、呼んでみたかっただけ」


 ……、最近馬鹿が多い気がする。それだけじゃない。やけにキャラが濃い人物と会うのは気のせいだろうか。


「あのさ、レナ、さん?」

「レナでいいよ!」


 レナはパックジュースのストローを抜き、パックに指した。吸って飲む。


「お前、金払ったのか?」

「うん」

「本当か?」


 レナはストローから口を離す。


「ごめん、お兄ちゃん。レナ、嘘ついちゃった。本当はね、払ってないの」

「払え」

「罰、受けないといけないね。お兄ちゃん。後で、お尻、百回叩いて。もちろん生で。生で叩いてね」

「いや、別にいいよ」

「もしそれで気が済まないのなら。レナ、ちょっと、恥ずかしいけど。イタズラされても良い」

「いい加減にしてくれ。誰かに聞かれたらどーすんだ」


 俺はレナに近づき、パックジュースとは反対の手に持っている財布を取り上げた。


「あ、あ、あ」


 レナが涙目になる。


 俺はポケットから自分の財布を取り出し、店員さんにジュース代を払った。


「すいません、先に飲んじゃって」

「いえ、いいんだよ。カワイイ妹さんだねえ」


 店員のおばあさんは目尻にしわを寄せて許してくれた。


「じゃあな、レナ」


 俺は右手を上げて背中を向けた。


「ま、待ってよお兄ちゃん、どこ行くの?」

「帰るんだ」


 俺はまた振り向く。


「妹を置いて行くの?」

「妹じゃないからなあ」

「う、う、う」


 やばい。俺は顔面がぴくぴくと痙攣した。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


 割れるような大声だった。


「分かったよもう!」


 俺はレナに歩み寄り、手を引いて歩き出した。


「なんなんだ今日は?」


 厄日だろうか。


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