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会社帰りで体がくたくたです。でも、これを呼んでいる貴方もそうなのかもしれないですね。しかし、少し休まないと続きが書けないです。二時間ほど休憩です。
売店の前には水色のニット帽をかぶった女の子がいた。
身長からして、小学校高学年ほどだろうか。小学生がどうしてここにいるのだろう。敗者復活戦学校は、一四,五才者しか入学できないはずだ。
長い銀髪をしていた。
女の子はイチゴミルクのパックジュースを片手に持ち、もう片方の手には財布を三つかかえ、デザートの棚を眺めている。
「おい」
俺は声をかけた。
こいつがレナに間違い無いだろう。
レナばびくっとしてこちらを向いた。表情はこわばっていたもののすぐに弛緩した。
「リント」
俺はまた訳が分からない気分に襲われた。どうして俺の名前を知っているのだろう。
「お前か? 財布を盗んだのは」
「どうして分かったの?」
レナは両手を開いた。
「だってお前、イチゴミルクのジュース持ってるじゃねーか。さっき放送で買うとか言ってたろ?」
俺は指さした。
「うん。レナはイチゴジュースが大好きなの」
「おごってやるから。お兄さんに財布を返しな」
「え? え? え? お兄さん? って。レナのお兄ちゃんになってくれるの? そうなんだ。そっか。うん、いいよ。レナ、ずっとお兄ちゃんが欲しかったんだ」
「何を言っているんだお前は?」
レナは頬を赤らめている。両手を後ろに組んでもじもじする。
「お、お兄ちゃん」
「……は?」
「う、ううん、何でも無いの。ただ、呼んでみたかっただけ」
……、最近馬鹿が多い気がする。それだけじゃない。やけにキャラが濃い人物と会うのは気のせいだろうか。
「あのさ、レナ、さん?」
「レナでいいよ!」
レナはパックジュースのストローを抜き、パックに指した。吸って飲む。
「お前、金払ったのか?」
「うん」
「本当か?」
レナはストローから口を離す。
「ごめん、お兄ちゃん。レナ、嘘ついちゃった。本当はね、払ってないの」
「払え」
「罰、受けないといけないね。お兄ちゃん。後で、お尻、百回叩いて。もちろん生で。生で叩いてね」
「いや、別にいいよ」
「もしそれで気が済まないのなら。レナ、ちょっと、恥ずかしいけど。イタズラされても良い」
「いい加減にしてくれ。誰かに聞かれたらどーすんだ」
俺はレナに近づき、パックジュースとは反対の手に持っている財布を取り上げた。
「あ、あ、あ」
レナが涙目になる。
俺はポケットから自分の財布を取り出し、店員さんにジュース代を払った。
「すいません、先に飲んじゃって」
「いえ、いいんだよ。カワイイ妹さんだねえ」
店員のおばあさんは目尻にしわを寄せて許してくれた。
「じゃあな、レナ」
俺は右手を上げて背中を向けた。
「ま、待ってよお兄ちゃん、どこ行くの?」
「帰るんだ」
俺はまた振り向く。
「妹を置いて行くの?」
「妹じゃないからなあ」
「う、う、う」
やばい。俺は顔面がぴくぴくと痙攣した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
割れるような大声だった。
「分かったよもう!」
俺はレナに歩み寄り、手を引いて歩き出した。
「なんなんだ今日は?」
厄日だろうか。




