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砂浜のロッジへ帰り皆で夕食に魚料理を食べた。これはルジーとアノンが作ってくれたものである。そこの池で採ったのは俺だった。食べ物と言えば魚と海藻ぐらいしか無いようだ。これからは動物やモンスターの肉を狩ってくるのが良いと思った。
ヘレナは寝室で眠っていた。よほどスキルが効いたのか。あるいは相当神経を使ったせいで疲れたのかもしれない。
「負けちゃったわね」
食事中、ルルアがこぼすように言った。
「負けちゃった」
アノンも同調する。
「また次があるさ」
俺は魚をむしゃむしゃと食べる。脂がのっていてうまい。
「そうですわ」
ナージュは明るかった。特に不満は無いようだ。
「君たち」
ルジーは魚をさばくフォークを止めた。
「まだ祭は終わっていないよ?」
「へ?」
ルルアが口をへの字にした。
「説明がされなかったのかい? 祭は明日の朝八時まで。今頃ギルド同士が鐘をめぐって壮絶な、なんて言うか、争いが繰り広げられていると思うけど」
「そうなんですか?」
「うん。僕の知っている限りではそうだね」
「俺たちも参加するか?」
ズドーン。
ふと頭上で雷が落ちるような音がした。
「そうしたいけど、私もうへとへとで」
ズドーン。
「私も疲れましたぁ」
ズドーン。
「私も同じく、ですわ」
ズドーン!
「何だこの音?」
俺は皆を見た。音が近づいてきている。
ズドーン!
「一つ聞いて良いかい?」
ズドーン!
「何ですか?」
「鐘を持つボスは、二匹倒されたのかな?」
「いえ、それは……」
ズドーン!
「これボスの音だと思うよ」
ルジーは人差し指を立てて上を示す。いまこの岩場の上に鐘を持ったボスがいるということだろうか?
「行かなきゃ、ああ、でも私、へろへろー」
ルルアはテーブルに突っ伏した。
「ルルアちゃん、今回はあきらめよう?」
アノンもテーブルに顔をつける。
「うん。そうしよっか」
「それが良いですわ」
ナージュがフォークで食事を口に運んだ。
「仕方無いみたいだね」
ルジーが両手を開く。
「俺、ちょっとお手洗い」
席を立った。
「あ、いってらっしゃい」
ルルアの声を背中に受けつつ俺はロッジの外に出た。変身ワンドは持ってきている。オーバードライブ中のせいで俺ひとり疲れを感じていなかった。




