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敗者復活の鐘が鳴る  作者: 齋藤翔
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 ケイの表情はいやしい男のものに変わっていた。いや、こちらが本性と言うべきだろうか?


「まず番号をつけようか!」


 ケイがその場にどっかりとあぐらをかいた。先ほどのローゼンのように。


「ば、番号?」

「一番、二番、三番」


 ケイがルルアを指さし、その次にアノン、最後にナージュが消えた場所を指した。


「い、一番?」


 ルルアが眉を寄せた


「お前の名前は今から一番だ。一番と言われたら、はい一番ですと返事するんだぞ?」

「いや、意味が」

「一番!」

「は?」

「一番!」

「……? は?」

「ああ、ローゼン様に、あの二人を殺すようにお願いしようかなあ」

「……、は、い、一番です」

「次二番」

「ひゃ、ひゃい、二番です」


 アノンが泣きそうな表情をしている。


「よし。一番! 武器を捨てろ!」

「あ、はい」


 ルルアが腰に装備していた剣と盾を置く。


「これでいいの?」

「次は服だ! 脱げ!」

「は?」

「はーやーくーすーるーのー! 服を脱げって言ってんだろ! 僕様がよお!」

「ちょ、ちょっと待ってよ。ケイくん?」

「何!? 僕の言うことを聞かないの? そしてあの二人を見捨てるの? 見捨てちゃうの!?」

「……わ、分かったわ」


 ルルアが吐き捨てるように言った。着ていた赤いチョッキと白いシャツを脱ぐ。白いブラジャー一枚になった。


「だっせ! こいつ本当に脱ぎやがった。あばずれだ!」

「貴方が脱がせたんじゃ無い! 」

「ぶふっ、そうだよーん!」

「こ、これでいいの?」

「っざけんなよ! 一番ブラも脱げ!」

「ちょっと待ってください」


 アノンが口を挟んだ。


「んだよ二番。いま楽しいんだよ」

「あの、リントちゃんに、ヒールしないと、死んじゃう気がして、しても良いですか?」

「駄ー目ー! に決まってんだろー!」


 ちなみに俺はまだ死んでいない。


 血液を失い過ぎた。


 もう寝たい。


「コントラクト」


 ナージュが消えた場所と同じ場所に出現し、俺に魔法をかけた。状態異常、血液の流出が止まる。


「おい三番、いきなり出てきて何やってんだよ」

「ゴミさん。私はですね、ルジーさんとヘレナさんがどこでどう殺されても、そんなことどうでもいいですわあ」

「んだと?」

「今から貴方を殺しますわ」

「俺は強いぞ」

「そうですかあ?」

「お、俺が死んだら、あの二人も死ぬぞ?」

「だから、どうでもいいですわあ」

「ん? 閃いた。おい二番、三番を殺せ」

「ひゃ、ひゃえ?」

「聞こえなかったのか? 二番、三番を殺せ。でないと、あの二人が死ぬぞ」

「は、はい、二番です」


 アノンがロッドを持ってナージュを向いた。


「アノンさん?」

「ナージュちゃん、ごめんねえ。でもこうしないと、ルジーさんとヘレナさんが、殺されちゃうよ」

「昨日会ったばっかりの人ですわ」

「そんなの関係無いよ。ルジーさん、弱くて、敗者復活戦はあきらめたって。地球に行くのあきらめたって。でも、このリアラでヘレナさんと生きていくことはあきらめてないよ。そんな二人が死ぬだなんて、私、嫌だよ」

「じゃ、じゃあどうしますの?」

「素直に、言うことを、聞くしか」

「ふざけないでくださいまし!」

「おいそこ!」


 ケイが指さす。


「二人で盛り上がってんじゃねえよ! さっさと殺し合え」

「アノンさん」

「ひゃ、ひゃい」

「ごめんなさいね、さようなら」


 ナージュの瞳が細くなる。


 アノンは力いっぱいロッドを握った。


「そうね。さようなら、だわ!」


 瞬間、両手のひらを握ったルルアがナージュの首筋を思いっきり打った。


「ぐえっ!」


 ナージュが苦しい声を上げて砂浜に倒れる。そのまま動かなくなる。


「一番、やるじゃねえか!」


 ケイが拍手をした。満足そうに笑っている。


「ナージュ、ごめんね、でも、私」

「よし! 改めて一番! 脱げ!」

「はい、一番です。ケイ様。近くで見えるように、そばに行っても良いですか?」

「お? おお、いいぞいいぞ」


 ルルアがケイの近くに寄る。


「よ、よし、ぬ、脱げ、一番」

「はあい、一番ですー」


 声色が変わった。態度も変わる。


 ルルアが紅色のスカートを下ろした。上も下も下着姿になった。どちらもネコ模様が入っている。


 彼女はケイに抱きついて行った。


「うっふーん、実は私、強い男って大好きなの」

「おお、そうかそうか。そうなのか。よおし一番、下着も脱げ」

「はあい、一番でーす」


 ルルアがブラに手をやり、ホックをとらずに、そしてケイの胸をなでた。


「ねえ、ケイ様。私、恥ずかしいわ」

「む、むふ! 恥ずかしい?」

「うん、だから、他に男のいない場所に、連れて行ってくれます?」

「そうか。じゃあ、そこのロッジへ」

「ケイさまあー。私、もっと遠くが良いー」


 ルルアが彼の口元に指を当てる。


「し、仕方無いなあ。それじゃあ、アジトへ行くしか」

「アジトが良いっ。ケイさまあ、お願い。連れてってーん」


 彼女がケイの腹に思いっきり抱きついた。


「わ、分かった。よし、一番はおりこうだな」

「はあい。一番でーすっ」

「仕方無いなあ。今夜はハッスルしちゃうぞ?」

「ハッスルハッスル」


 ルルアが腰をくねらせる。


「むふっ」


 ケイがたまらず言った。続けて、


「じゃあ、早く行くか? 善は急げと言うしな」

「はあい」


 二人は立ち上がる。


「一番、外に出る時は、服を着ろよ」

「あ、はあい、一番ですっ」

「二番、お前も一応ついてこい」

「は、はい、に、二番です」


 アノンはルルアの変貌ぶりに呆気にとられていた。


 三人は砂浜から出ていく。最後にケイが振り返った。


「三番とジャガイモは、要らねー!」


 その後、その場に静寂が訪れた。


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