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敗者復活の鐘が鳴る  作者: 齋藤翔
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 そこで目にした光景は慄然たるものだった。


 二十人ほどの男女が横一列に並び武器を構えている。その中央ではルジーとヘレナが拘束されて捕らわれていた。口にはしゃべれないように布が巻かれている。彼らの前にローゼンがいて砂浜にあぐらをかいて顎に手をつけている。


「よお、お前ら、遅かったな」


 俺の背中が熱く膨らむ。


「ぐあっ! ……え?」


 首だけ後ろを向くとケイスケが大剣で俺を刺していた。俺は顔面から砂浜に倒れ込む。


「さっきの見ていたよ。君に暴れられちゃ困るんだ」


 ケイスケの表情が残虐な笑みをたたえていた。


「嘘!」

「騙しましたわね」

「ええ?」


 三人が後ろを振り向く。


「あー! はっはっはっは!」


 ケイスケは高々に笑った。


「馬鹿だねえ君たちは! まるでドブを這い回る子ネズミのようだ!」

「ケイ、よくやった」


 ローゼンが口元だけにやりとした。


「この場所を教えたのは……?」


 ルルアがかすれたような声で問う。


「もちろん僕さあ!」


 彼は自分の顔に親指を向けた。


「僕はねえ。本当は二年生なんだよ! でも君らは、何にも気づかないんだもん!」

「に、二年生?」


 ルルアの声は震えていた。


「そうさあ! でもねえ、一年生の教室に僕がまぎれていても、先生はなーんにも言わないし! 君らみたいな、馬鹿たれも! ぜーんぜん気づかないし! 騙すのなんて、楽勝だったよおー!」

「そ、そんな!」

「ちなみに、出席番号八番のブタ男は俺が殺した」


 ローゼンがつぶやくように言った。ケイスケは八番のはずだった。


「インビジブル」


 ナージュが素早く魔法書を出し唱えて消えた。


「おっとー! 動くなよ! 動くとこいつを殺しちゃうぞー!」


 ケイスケが俺の頭を踏みつけた。大剣の切っ先を首につける。


「ケイスケくんっ」

「ケイスケくん? だーれのことを言ってるのかなあ! 僕の名前は、ケ、イ! なんだよ!」

「ケイ?」

「そうさあ! ちなみに、昨日荷物を燃やしたのは、僕なんだよお!」

「な、なんのため?」

「そりゃあ、君たちがミストダガーに加入してもらうためさあ! 荷物が無くなれば、誰かを頼らなければいけないじゃん! でも君たち、断るんだもん!」

「卑怯」

「何とでも言うがいいさあ! 僕はねえ、ミストダガーの幹部なんだよお! 偉いんだよお! 凄いんだよお!」

「ケイ、鐘を持ってこい」

「は、はいかしこまりましたあ」


 ケイはルルアににじり寄る。彼女のスカートのポケットに手を突っ込んで鐘を取り出した。


「これは君のじゃないからねえ!」

「あ、あ」


 ルルアは後ずさった。


 ケイはローゼンの元へ歩いて行く。


「ローゼン様。約束のものでございます」


 片膝をついて鐘を差し出した。ローゼンは受け取る。


「助かった」

「いえいえ、全てはローゼン様のため」

「嘘つくな。約束通りその女たちはくれてやる。乱暴でも何でも好きにしろ」

「ありがたき幸せこの上無き報償! まさに! 天! 国!」

「さて、儀式はしておくか」


 ローゼンが立ち上がった。


「そこの女二人。消えた女も。ケイの言うことを聞くことだ。逆らったら、この、ルジーとヘレナとか言う三年を殺す。殺して欲しくなかったら、分かるな?」


 ローゼンは哄笑した。


「お前ら、行くぞ」

「「はい」」


 ミストダガーたちのメンバーが返事をした。


 ローゼンが岩場の方へと歩いて行く。その後ろを部下二十人ほどが続いた。ルジーとヘレナを連れながら。


 その場に残されたのは、ケイとルルアとアノン、そして地面に転がっている俺とどこかに消えたナージュだ。


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