⑭
テントの中。ルジーとケイスケは布団にくるまって眠ってしまった。テントはルジーが故郷から持ってきたものだった。俺たちのものは先ほど燃えてしまった。
俺は心の中で決めていたことがあった。それは、そろそろ両親の元に帰ろうと言うことだ。早すぎるだろうか? しかしハイガクに来た目的は達した。幼なじみの女の子・ルルアはたくましく育っており元気な様子である。それさえ分かればもうここにいる必要は無い。前線に帰ろう。俺はテントを抜け出した。
すぐそばのロッジへ行き扉を開ける。
ルルアには一言挨拶をしようと思った。
寝室の前まで歩き扉をノックする。反応は無い。ちょっと不安になった。扉に耳をつけて音をさぐる。俺は耳が良かった。しかし誰の寝息も聞こえない。
俺は鍵のついていない扉を開けた。タンスやベッドがある。人はいない。
「ルルア?」
俺は寝室を飛び出した。ロッジを出て辺りを見回す。人の気配はない。俺はテントのある方とは逆の方に目星をつけて走った。
「ルルアー!」
ふと見覚えのあるネコ模様の下着が落ちていた。他にも衣服が脱ぎ捨てられている。
「これは、ルルアのパンツ!」
よく見ると血がついている。
胸がざわざわとした。
女の夜歩きはなんとやらだ。
「ル、ルルア」
俺はパンツを抱きしめた。
ルルアがどこの馬ともしれない誰かに乱暴されてしまった。
パンツに血がついているということはそう言うことに他ならない。
「ぐす、ぐす、ルルア」
人の気配がした。
「あんた、何やってんの?」
見上げるとルルアとが歩いてきていた。暗くてよく見えないが裸である。
「ルルア、ごめんな」
俺は正座し両手を膝についた。
「な、何を謝っているの?」
「言うな。乱暴されたんだろう?」
「は? 何を言って。ここには誰も来れないし。というか、それ私のじゃない!」
ルルアがパンツをひったくる。
「どっか行って!」
「これからは、俺が守るから」
「は?」
「お前は、俺が守るから」
「あんたに守られるほど、落ちぶれてないし。というか、さっきから何勘違いしてんの?」
「勘違い?」
「私たちは、池に水浴びに来ただけよ!」
「水浴び? で、でも、パンツに血が」
「……生理」
「……生理?」
「だから生理だって言ってんでしょうが。この、変態スケベ男!」
ルルアの蹴りが俺の顎に決まった。
俺はその場に倒れて気を失ったのだった。




