⑫
ついて行ったところにはキラキラと光る砂浜があり大きな池があった。上流から池に水が流れており俺たちが来た岩場へと続いている。天井や壁は天然の岩でふさがっていた。ほんのかすかな光が差し込んでいる。小さなロッジが立っていてそこが男性の家のようであった。
ロッジに入れてもらうと男性の恋人らしき人物が待っていた。
「お帰りなさい、ルジー」
「ただいま、ヘレナ。お客さんだよ」
「もしかして、新入生?」
「うん」
ヘレナは盛大なため息をついた。
ルジーは困ったような笑みを浮かべる。
「助けたのね」
「僕にできるのはそれぐらいだから」
「いいわ」
ヘレナは夕食を準備すると言ってキッチンへ行った。俺たちはリビングのテーブルを囲んで丸太の椅子に座った。そこで話をした。
いつの間にかリーダーのような存在になっているルルアの話を聞きルジーはしかめ面になった。
「君たち、ミストダガーに襲われたの?」
「はい」
「最悪だね。ミストダガーって言えば、このハイガク東校で一番の残虐非道なギルドだよ。盗みもレイプも殺しも何でもやるんだ奴らは」
「そうなんですか?」
「うん。絶対に仲間にならない方が良い。彼らは息をするように嘘をつくから。仲間になったって、地球に行く権利をくれたりしないよ」
「そっか。うわー、危なかったわ」
ルルアが額に手を当てた。
「もう目をつけられましたわ」
ナージュが両腕を組む。
「ど、どうしよう、どうしよう」
アノンが体を揺らした。
「大丈夫だ。俺が守る」
俺が励ました。
「君には無理だよ。ジャガリュー」
ケイスケが早口で言う。
「どうして決めつける?」
「畑を荒らすのとは訳が違うってことさ」
「ふむ」
俺は両腕を組んだ。
ルジーは苦笑した。
「よく分からないけれど、今日はここに泊まるといいよ。でも寝室は一つしか無いから、男性陣は砂浜でキャンプかな。テントはあるから」
ヘレナがコップにお茶を入れて運んできた。彼女もテーブルにつく。
「ルジーったら、人が良いんだから」
「あの」
ルルアが両手を合わせた。
「ルジーさんとヘレナさんは、どこかのギルドに所属していないの?」
二人は顔を見合わせて笑う。
「僕たちはもうあきらめたんだ」
ヘレナが両手を開いて首を振る。
「本当はもう故郷に帰りたいけれど、帰る前に強いモンスターに出くわしたらと思うと、中々か帰れないのよ」
「なるほど」
「つまり弱いんですね」
俺はついつい指摘した。
「あんたは」
ルルアが俺の膝をはたく。
歯に衣を着せない言い方に二人は大きく笑った。
「そう。弱いんだ僕たちは。なのにハイガクに来てしまって。いま生き残っているだけでも奇跡みたいなものさ」
ヘレナが神妙な顔になる。
「皆さんは、これからどうするのですか? 天国に行きたいのですか?」
「はい」
ルルアが間髪入れずに返事する。
ルジーとヘレナはまた顔を合わせた。頷く。またこちらを向いた。
「私たちの知っているハイガクの知識で良ければ、語って聞かせるよ。役に立てば良いんだけど」
「お、教えてくれますか?」
ルルアが体を前傾姿勢にする。
「いいとも」
ルジーが頷いた。
それから二人は語り出した。




