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酔い潰れて寝たフライ

作者:

かなりふざけて書いています。

 側で熟睡している彼に毛布をかけた織歌(おりか)はその姿を優しく見つめ、スマホを片手にリビングへ移動した。開いたのはメッセージアプリ。グループを開いて、キーボードに指を滑らせる。


『お二方、先程はありがとうございました』


 送ったのはそんな、何でもない文面。それは離れた二人と、寝ている彼のスマホの元へ通知音として届く。


『落ち着いたか。今日は珍しく酔い潰れてたし大丈夫だったか?』

『はい、完全に寝落ちて起きる気配もないです』

『まじでか、こんなの初めてじゃね?』


 すぐに返ってきた彼の友人の言葉に、織歌は丁寧に返信しながらもう一度寝室へと戻り、外出時にと通知音の大きくなっている彼のスマホを回収するとリビングへ戻ってくる。そうしてソファに深く座り、体を落ち着ける。


『明日槍でも降るんじゃねえか?w』

『ここ楼麻(ろうま)さんも見られるの忘れるなよ? 明日殺されても知らないからな』

『うわやっべ』


 彼──楼麻と飲みに行っていた彼らも酔って気が大きくなっているのか、自由に繰り広げられる会話内容と、想像に難くないその後を想像し、織歌は一人小さく笑った。通知音が鳴り響く彼のスマホをマナーモードに設定し、織歌はちょっとした話題のためにキーボードを打つ。


『大変つまらないんですが、楼麻君の介抱中に遊んでしまった四コマに少々付き合っていただけますか?』

『お、なになに?』


 何かとノリと食いつきのいい彼──秋斗(しゅうと)の返事が来たところで、織歌は撮った写真の内の一枚を画面に流した。

 先程二人に抱えられて帰ってきた楼麻が四肢を投げ出し、ベッドで爆睡している写真だ。上手い事鼻から上は写されていないという、誰かも特定しきれない何とも言えない一枚。

 加えて織歌はある一文を投下する。


『配達ありがとうございます、さてどう料理してやろうか』

『どう料理してやろうかwww』


 笑っていることを表すそのアルファベットが連なっている通り、秋斗はスマホ片手に一人、笑いのツボを刺激されていた。このグループの中では一番笑い上戸でもある彼だが、今だけは酒も入っていることから、さらに開放的になっている。


「おい、あんまり騒ぐなよ? 分からなくはないけどさ……」

「わかってるってぇ!」


 引き続き飲みに行っている二人は織歌からの報告を受け、賑やかな店内の一角でスマホ片手に思い思いの反応を示す。完全に酔っ払いに成り果てている秋斗とは違い、まだ平静を保っていられているもう一人──青澄(あずみ)は、いくら居酒屋といえど、最低限の注意は促しておく。

 だが続いて画面に出てきた写真には、流石の青澄も傾けていた酒の一口を吹き出さざるを得なくなった。

 構図さえ先程の一枚と変わるところは何もないが、これはいけない。所謂パンツ一丁、という格好だ。顔が写っていたら多少の問題となってしまうことは間違いない。

 さらに続けられる織歌の一言。


『まずは余分な皮をむきます』

『むかれたwww』

『大丈夫かそれ』


 右手にスマホ、左手にジョッキを持ちながら、秋斗は再び入ってしまったツボに突っ伏して笑いを堪える。一方で青澄は、彼女なら心配はないだろうと思いながら、反射で焦りから笑ってしまった口元を引き攣らせる。


「パンイチはだめだって……!」

「やりたい放題だな……」


 何とか打ち返し、ひいてくれない笑いに声を震わせながら言いたいことを言った秋斗は、また突っ伏して笑いに体を震わせる。面白いことは面白い青澄だが、それよりも心配事が勝りそれどころではなかった。このままいくと次の写真の予想はつくが、問題は後でこれが知れた時だ。

 そんな彼の予想通り、織歌が次に上げてきたのは楼麻が寝る時に着ているスウェット姿だった。そして一文。


『新しい衣をつけてあげました』

『おお』

『ここまでされてもまだ寝てるんだな、楼麻さん』


 最初の構図にこだわりでもあるのだろうか、この三枚は服装こそ違うが楼麻の寝姿だけは変わっていない。先程の衝撃はないことから、秋斗のリアクションは抑えめだ。

 そして四コマと言ったからには最後の一枚が待っているはず。静かに待ち構える二人の画面に最後の写真が届いた。

 これは大人しく、寝ている楼麻に毛布がかけられただけの一枚となっている。気持ちよく寝ている彼氏の隠し撮りに近いか。この一枚だけならばなんと幸せな一枚なことか。だが、オチとなる織歌の一言で台無しになる。


『油に突っ込んで揚げてやろうかと(起こして温かいお風呂に入れてやろうと)思いましたが、やっぱり寝かせてやることにしました、いい夢見ろよっ!』

『フライにならずに済んだね、楼麻さん!www』


 親指を立てたグッドラックの絵文字が最後につけられたその一言。秋斗はずっと感想を送っていた最後で、自分でも親指を立てて終いとした。


『とまあ、ここまでなんですけど。お付き合いありがとうございました』

『いえいえーw楽しかったよーwww』


 キャラクターがお辞儀をしているスタンプで最後は丁寧に切り上げた織歌。これ以上は爆弾が投下されることはないと、二人は落ち着くための一杯を煽る。そこで青澄は気がかりであり、労いでもある言葉をかけた。


『着替えさせるの疲れただろ、お疲れ様。と、ありがとうな』

『大丈夫です! 楽しかったので!』


 文面だけでは元気いっぱいに見えるそれ。楽しかったのか、と青澄は口元を緩めるも、そこにはもう一つの意味が隠れてもいるような。実際、織歌自身もこうして遊んでいると見せかけて、翌朝彼がここを見た時のために悟られないようにしていた。主に重労働に関してだ。


『お風呂入ってないから起こそうとは思ったんですけど、あんまりにも気持ちよさそうに、というか爆睡してるものですからやめときました』

『知らないところで疲れてるのかもなあ』

『普段ならこれだけで潰れるとかあり得ないもんな、誰より飲むし』

『織歌ちゃん不足だったりして』


 顔を隠して照れている顔文字にキャーとつけ、からかい全開の秋斗に対し、織歌も悪ノリをして顔文字だけで同じものを返す。いくら酔っているとはいえ、これは酷い。明日の秋斗にはご愁傷様、としか言えないと青澄は思った。


『明日からちょっと休み入るし、織歌ちゃん、楼麻さんは任せたぜ!』

『はい任されました!』


 互いに敬礼をした顔文字で最後が締めくくられたところで、いい加減このやり取り自体も終わりにしておこうと、青澄は素早く打ち込んだ。


『とりあえず何とかなったみたいでよかったよ、早めに休んでおいてくれ』

『引き延ばしたのは私なんですけどね~』

『それでもだな、後が嫌になりそうだろ? 織歌ちゃんも俺たちも』

『そうですね……ではお二人も程々におやすみなさい!』


 少々考え込んだのか、彼女の割には遅れてやってきた一言にほっと一息吐く青澄。その隣では、はいおやすみー、と秋斗がその場で口にするという全く意味のないことをしたが、二人はこの後の返信をしなかった。一刻も早く織歌に休んでもらうために。




『やっほー織歌ちゃん、今日の朝どうだったよ?w』

『思えばここ、完全にバレるグループだったの忘れてまして、朝即行でバレました』

『だろうな』


 現在、翌日の夜。各々が寝るまでの自由な時間を過ごす中、スマホには軽快な通知音が鳴り響く。二日連続で何を話すことがあるのかと言えば、それはやはり昨夜の続きだ。


『このことちょっと聞かれて答えたら膝から崩れ落ちてました』

『膝からwww』


 それはもう、朝から大変だったのだ。楼麻が目覚めてからの彼らは。


『謝られてるのに謝られすぎて私の方が悪いことした感覚ですよもう』

『楼麻さん織歌ちゃんのこと大好きだからなあ』

『俺達のところに個人的な恨み言たくさん来てたんだぜ』

『織歌に何てことさせたんだーって。酔い潰れた介抱させた事実が耐え切れなかったみたいでさ』


 片や悪かったと全身全霊で謝罪され、片や反面の怒りをぶつけられるという、対象が違うとはいえ、何とも理不尽な報告。秋斗は連投でそれを伝えると、どうせ分かりきっていたことだと一人で笑った。


『確かに朝方のここ大変なことになってましたね、それとお二人のところにも個人的にですか』

『せめてお前らが手伝ってから帰れってな』

『そうそう、休み明けが怖いぜー、今すぐにでも呼び出されて文句言われそう』


 意味合いはいくらでも、だ。潰れた楼麻を任せてしまったことも、酔った勢いで送ってしまっていたメッセージも。翌朝目覚めてから見返した画面があれだったのだ、双方頭を抱えることになったのは言うまでもない。


『そういや今楼麻さんは?』

『絶賛お風呂離脱中です!』

『ナイスタイミング俺!』


 ここまで好き勝手に言っておいて今更なのだが、秋斗は会話に入ってくる様子のない彼の確認を入れる。そうして織歌から来た返事に、彼は手元でグッドラックサインを作り、膝を叩くような動作で横に振った。


『思ったけど織歌ちゃんにしかできない芸当だったよな』

『俺らがやったら殺されるだろ、絶対』

『でも怒られましたよ』


 意外。織歌からの返事を見た二人は同様に目を開いて固まる。その中でも、秋斗はちゃんと話を繋げようと、ゆるゆると次を打った。


『あー、織歌ちゃんでもだめだったかー』

『何で起こさなかったのかって』

『そっちかーいw』


 しかし、先程の続きと取れる一言が来た途端に、怒られ方がずれていると、また二人してワンアクションを起こすことになった。秋斗は打った言葉のそのままを、青澄はがくりと頭を傾けるように。


『お前に何もかもさせるくらいなら叩き起こしてくれた方がよかったって』

『過保護大爆発ww』

『ああやって遊んじゃったのはどうでもよかったそうです』

『どうでもいいのwwwあんなパンイチでwww』


 酔っていなくても秋斗らしく、ひたすら“w”がつけられた文面に笑っていた織歌は、奥から聞こえてきた物音に顔を向け、慌ててキーボードを叩いた。


『楼麻君出てきました』

『おう、聞きたいこと聞けたからありがとう。じゃあ解散ー』




『最近楼麻さんの機嫌よかったり悪かったりするんだけど何かあったの?』


 あれから約一週間。彼らのスマホには不意に通知音が届いた。


『ちょっと喧嘩ですかね』

『喧嘩!?』

『ただの言い合いですけどね、家事についての見直しみたいな』


 この二人には無縁であろう言葉が出てきたことにより、秋斗は驚愕する。だが、次に来た単語のおかげで大体の察しはつけられた。


『そんな家事で喧嘩って』

『今はもう大丈夫ですので心配しないでくださいね』

『機嫌を左右するくらい何があったんだ』


 丁寧さは変わらない文面でも、どこかしおらしく見える彼女の返答。何気なく聞いてみたつもりが、秋斗と青澄には心なしか気遣いの念が現れ始める。しかしそれも一瞬だった。


『あのですね、その後一週間の家事を奪われまして』

『まwじwでw』

『何にもさせてもらえないんですよ、あり得ない』


 ちょっとしたハラハラ損だ。今はもう、画面の向こうで織歌がむくれながら報告をしてくる姿しか思い浮かんでこない。実際そうなのだが。


『隙を見て何かやろうとしたら秒で飛んできて怒るんです、意味が分かりません』

『すげぇww』

『あんまりにも取られるのでちょっと任せてみることにはしたんです』

『何か面白くなってきたぞw』


 この前のように感想は返しながらの観戦モードに切り替える秋斗。


『ただ楼麻君も慣れてない部分あって私も気が気じゃなくて』

『何か分かる気がするな』

『口は出してもいいけど手は出すんじゃねぇって』

『口出しはいいんだ』

『はい、口頭で指示出してた感じです』


 想像するに、織歌の手から日々の仕事をふんだくって、肩代わりしようとする楼麻の姿か。戸惑いながらついて回る彼女は目に見えている。


『いきなり家事手伝ってくれる子供目の前にしたらこんな感じなのかなって思いました』

『子供w』


 くっ、と素直な感想に思わず笑ってしまった秋斗。でもまあ、分からなくはない。青澄も堪えたが笑っていたのだから。


『でも今はもうどこに出しても恥ずかしくないくらいばっちり家事できる人になりました!』

『どこに出すのw』

『それ以前に楼麻さんがどこにも行かないだろ』


 もっと言ってしまえば、織歌以外には絶対にこんなことはしないだろう。天地がひっくり返るでもしない限りは。


『取られてる間は何して過ごしてたの?』

『とりあえず読みたかった本を買いためて読んでました』

『しっかり有効活用してるw』

『そんな自分の時間なくなるまででもないんですけどね』


 手持ち無沙汰ではないものの、織歌は答えながらソファの上で体を揺らす。文句とまではいかなくても、ふざけ半分に吐き出してみれば軽くなってくるものだ。


『今までずっと家事やってきた身としては嬉しかったりしないのか? 負担減るだろ?』

『んー、私自身結構楽しんでやってたりするので全部取られた時はこの野郎とは思いましたけど』

『この野郎wまじでかww』


 意識はしていなかったが、織歌はふと思いついた一つがあった。負担といえば、随分と助かったものがあったではないか、と。


『あ、でも掃除は助かってます。あれの交代は嬉しかったです』

『あー、疲れちゃうよね~』


 正直言って、これは楽しんではいないかもしれない。一つ機械を抱えて部屋中を動き回っているようなものだからだ。何より、毎日ではないとしても朝一から疲れる。

 今ここに不在である彼に対し、織歌は改めて感謝の意を示した。


『そうだ隙を見てって何やってみたの?』

『乾燥機かけ終わった食器片付けるとかですかね』

『それで結局見つかるわけだ』

『はい』


 どうせその頃は休むだけの落ち着いた時間なのだが、どうしたって楼麻は食器の重なる音を聞きつけると飛んでくる。たかが数分の出来事でも過剰だったのだ、彼は。どれだけ織歌が平気だと言っても聞かなかった。


『何て言われるの、いっつも』

『最近ではそこの洗濯物でも畳んでろって言われます』

『あ、分担するようにはなったんだw』


 そうです、やっとです。本当に最近まとまってきた家事担当の言い合いを思い出し、織歌は一息吐いて肩を落とす。


『家事の中では唯一か、座ってできるもんな』

『アイロンもありますよ!』

『織歌ちゃん限定で楼麻さんのイケメン度(笑)がwww』

『ていうか座ってできるやつ寄越すあたりさすがです楼麻さんw』


 青澄が指摘した通り、全くの担当という担当ではない、楽なものしか振り分けられてはいないのだが。それでも始めの数日よりはまともに分担できているというのが変な話だ。

 そこで織歌は、唯一譲らなかったもの、それにより攻防も激しかったことを持ち出してみる。


『そうだ、粘りに粘って料理は勝ち取ることができたんです、ちょっと褒めてほしいです』

『お、おお? おめでとう?』


 織歌にしては珍しい要求に戸惑いつつ、秋斗は疑問符をつけながらでもその言葉を送ってやれば、とんでもないものが飛んできてしまった。お礼の言葉はさることながら、可愛いうさぎのキャラクターにハートが飛び交う動くスタンプだ。可愛いことは可愛いが、それにしたって。


『織歌ちゃん、これが知れたら俺殺されちゃうから控えめにしてね、こういうスタンプ』

『大丈夫です、楼麻君にもたくさん送ってるので。でも分かりました、ごめんなさい。ちょっと嬉しかったので』

『楼麻さんそこまで代わろうとしてたのか』


 こういう織歌の悪ふざけには甘い楼麻のことだ、彼女から一言でもあれば何事もないのは確かなのだが、心臓には悪い。だが彼女もそれを知っているため、あっさりと次へ行こうとする。


『それでですね』

『おう』

『反抗としてバランスはちゃんと見ながらですけど好物ばっかり出してやりました』

『どwんwなw反w抗wのw仕w方www』

『それでどうなったんだ』


 吹き出す一歩手前状態になってしまった秋斗。体を震わせながら何とか打ち返し、そのまま次を待機することにする。それを見兼ねてか、青澄が続きを促してくれるというナイスプレイ。彼も結末は気になるらしい。

 そうしてもたらされる結果。


『皿洗いが完全に奪われました』

『wwwww』


「はははははっ!」


 ついに耐え切れなくなった秋斗は笑い声を上げ、ありったけの“w”のみを叩きつけて返すことしかできなくなった。今日は天を仰いで清々しく笑う彼を横目に、青澄は同じく緩んでしまう口元を手で隠しながら、冷静になれるように努める。


「何かもう、これだとバカップルのくだらない喧嘩見てるみたいだな」

「そうか? 俺単純に面白すぎるんだけど……!」


 ひー、と存分に笑ったらしい秋斗は文字を打ち込むことで落ち着こうとしたらしく、真面目な方向で話を続けようとする。


『織歌ちゃんには強く出られないくせにこういうことはするんだもんな、俺もう楼麻さんが分からねえ』

『織歌ちゃん第一の考えだろ』

『言うほどでもないんですけどね、もう生活の一部だったので』

『今回の泥酔事件(笑)で何か変わったのかもな』


 にしたって変わりすぎだ。一夜にして家政夫の卵を生んでしまったのだから。織歌と青澄はおろか、言ってみた秋斗でさえそう思った。


『行き過ぎてますけどね、俺がいる時は俺を使え、ですからね』

『強いw』

『こうならないための予防策でああやって遊んでカモフラージュしたのに意味なかったです』

『そりゃあだめだろうな』


 結局、メッセージは消えるわけでもなく、遡ればいくらでも見ることができるのだ。それで確認できる、秋斗の発言を借りるなら泥酔事件。織歌自身が楽しんで、遊んで、という記録を残していたとしても、楼麻の受け取り方は変わらないと見ることができるだろう。


『これからもしばらく言い合いすると思います』

『まあ、うん、平和な喧嘩でよかったよ』


 この具合なら口出し不要であると共に、余計な心配をしてみたところで意味のないものには変わりない。この話もいい区切りがつき、楼麻が一人離脱していた部屋から出てきたため、今回の雑談はここまでとする。


『楼麻さん戻ってきたから終わるなー』

『はーい、お疲れ様です』


 さて、またこれを読んだ彼はどんな反応をするのだろうか。せめて、自分を含め被害を少なくしておきたい織歌は、まだ仕事があるであろう彼らのために、頑張れという激励をこめて動くスタンプを送ってみる。

 それを彼らが見たかどうかは確認しないまま、織歌は画面を落としたスマホをテーブルに置いた。


「酔い潰れちゃったくらいで大袈裟なんだから、もう……」


 仕方ないと、置いたスマホにくすりと笑いかけた織歌は、ベランダに干してある洗濯物でも取り込もうかと窓を開けた。

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