番外 スキルの話
今回は会話多めになります。
口調で誰か分かるようにしていますが、分かりにくくてもいいかなと開き直りました。
ふと、彩花ちゃんが質問をしてきた。
「あんた、結局どんなスキルをどれだけ持ってるのよ」
「アタシも気になるな」
「あー俺? 基本的に持ってる奴は全部彩花ちゃんは見てると思うよ」
『第三の目』だけは黙っているが、それを言う必要はない。
「そうなの? てっきり大量に作って隠し持ってるのかと」
「うーん、人生ヌルゲーってのも楽しくないからね。その都度作る方針にしてるんだ」
「それだと咄嗟に危険が迫った時は大事に至らないか?」
「大丈夫だよ。『危機察知』ってスキルがあるから」
「早速知らないのが出て来たわね」
「あれ? 言って無かったっけ? シャドーに背後から襲われた時、避けれたのはこれのお陰だよ」
「そうだったのね。私は賠償品を考えてたから見てなかったのよ」
「どんな効果なのだ?」
「命の危険があれば、それに俺が対処できるギリギリで教えてくれるスキルだよ。効果としては予知に近いのかな」
「そうか、ギリギリってのが辛くないか?」
「あらかじめ知ってたら楽しくないじゃん」
「そ、そういうものか」
「それなら、遠くで雷の魔法が打たれても大丈夫なの?」
「それなら、魔法を使われる前に反応するんじゃない? 雷は流石に避けられないと思うし、予め防御系のスキルを作るしかなくなるからね」
「なるほど。『スキル生成』があるからこそのスキルね」
「そそ。もし俺以外の人が『危機察知』を持ってダンジョンに潜ったら、一日中鳴っててもおかしくないね」
「そんな事になったらノイローゼになるわ」
「ふむ、便利なのか分からんスキルだな」
一応バランスは考えて作っているのだ。
「って、それって私たちに危険が迫っても分からなくない?」
「大丈夫。彩花ちゃんの残機は127個だから」
「一個でも増えたら死にそうな数ね」
「ざんき……?」
エルは話についていけていない。
「そういえば、どうしてこの世界になさそうなスキルばかり作るのよ。それだとロールプレイにならなくない?」
「だって、他人と同じものばかり持ってても面白くないでしょ」
「いや、そう言われても分かんないわよ」
「うーん、まぁあえて偽善的な理由を言うとすれば、頑張ってスキルを習得した人に申し訳ないからかな」
「建前はあってもいいけど、今聞いてるのは本心よ」
「そだね。ホントのところは単に知らないだけだよ」
「あれ? そうなの?」
「そういう常識を教えてくれる役目は彩花ちゃんに押し付けたからね」
「聞けば教えたわよ。えーっとね、この世界にのスキルは二種類に分けられ――」
「――それは別視点で話したからパスで」
「ああ、それもそうね……あれ?」
「追加して言うなら、俺のスキルは第三のスキル「オリジナルスキル」とも言えるってことかな」
「そのまんまね」
「ああ、何のひねりもないな」
「分かりやすくていいでしょ? まぁ名前なんて何でもいいんだよ。俺のスキルはどう定義したかによるから、名前はその漏れを保管してくれる要素に過ぎないんだ」
「つまり、どういうことだ?」
「例えば『マッピング』。最初に名前と「見た範囲を自動的に閲覧可能なマップにする」って言う効果を付けて作ったんだけど、実際に見たら草原だってことしかわからなくてね。マップだからその地形くらいは分かるように勝手に書かれてたけど、それ以上の事は分からなかった」
「名前が『ア』だったら、定義した内容以上の事は出来るようにならなかったってことね?」
「なるほど、そういう事か」
「この名前をスキルに盛り込む仕事を神様がしてくれるって思うと、信仰心くらいはささげてもいいかなって気持ちになるよね。ありがとー! 神様ー!」
「神様への祈り方ではないわね」
「ああ、全くだ」
いいんだよ、信仰の形は人それぞれだ。そもそも普段は祈る必要すらないと思う。どうせピンチを助けてはくれないのだから。
それでも慰め程度にはな―――そろそろこの話題はやめよう。
「ああ、定義で思い出した。『加護』のスキルは更に凄いよ」
「身をもって理解しているつもりだ」
「あはは。エルはそうだろうね。『加護』は『スキル生成』と違って、名前は全く意味は無いんだ」
「凄いって、素晴らしいって意味の方じゃないのね」
「そうだよ。“田中”って加護を作っても中身は「毒耐性ができる」ってできるからね。これは、神様が編集してないからだろうね」
「つまり、実質的に「効果の自由自在な付与魔法」ってことなのね」
「おお、たしかにそうだ。違いがあるとすれば、鑑定で“加護”として表示されるってところだろうね」
「なるほどな」
加護なのに付与魔法とは……。
「あ、話がそれてたわ。私が聞きたかったのは旅の安全についてよ」
「旅に危険はつきものだよ、彩花ちゃん」
「残念なことに、ご主人の言う通りだ」
何が残念なのか。
「分かってるわよ。危険だからこそ安全策が必要なんじゃない」
「当然です。分かったか? ご主人」
「何だエル、喧嘩売ってんのか?」
「ふん、アタシはご主人を殴れないのだから、それはもう一方的なものになるだろう。そんな事も分からないのか?」
「ストップ! 何唐突に喧嘩始めようとしてんのよ。話進めてよ」
「そうだね」
「サイカ様。申し訳ございません」
エルめ、調子に乗りおって。可愛くなかったらぶん殴ってたぞこんちくしょう。
「それで、安全だっけ? どんなスキルがいいの?」
「あんたねぇ、そこで『俺が守ってやるから大丈夫だ』って言えない癖に、ハーレムなんてどうしてできると思うのよ」
「俺が守ってやるから彩花ちゃんも大丈夫だよ」
――スパァアアン!
「本気でイラっと来たわ」
「いっそ清々しい程に気持ち悪いな」
あれぇ? エルの好感度はゼロに戻したはずなんだけどなぁ。
「わかった。じゃあ今日から本気出すよ。適当にスキル一杯作っておくからね」
「何だろう。あ、こいつダメだなって思ったわ」
「そうだな。ハーレム作りたいなら私たち以外の人ならスキルで洗脳することをアタシが許可しよう」
――スパァアアン!
「エル、ダメよ」
「申し訳ございません、サイカ様」
何だこいつら。洗脳する気が初めから無いから使わなかったってのに、酷い言われようだ。
「俺は諦めないからな」
「うん、頑張って。応援してるわよ」
完全に他人事だこの娘。
出会った頃のチョロさはどこへ消えたのか。
……ってそうか、バカな弟とか評価されてたな。あの時に消えたのか。
「彩花ちゃん、お兄ちゃんって呼んでくれない?」
「え? 嫌よ」
「ご主人の気持ち悪さが上がっていく……だと……!?」
ダメだな、何喋っても碌な事にならん。今日はもう喋らないほうがいいか。
「あ、ご主人の目が死んだ」
「ちょっといじりすぎたわね」
そうして、話し合いは唐突に終わったのであった。
説明回にするはずがどうしてこうなったのだろうか。
番外編だから許して




