だれの夢?
ああ、自然のにおい、暖かいな…
目を開けると、一番目に映ったのは個木漏れの大きな樹、微風で揺らす葉の隙間から射し降りた太陽の光。多分いま自分は森らしいどころにいるだろう。
身を起こし、大樹の影の下の小道に沿って歩き出した。この場所知っているの気がする。
そうか、もう本の中にいるのか、わたし…これは移植された記憶と言うこと?
小道の果てに小さな木屋があった。当たり前のようにドアを開けた、ここに住んでいますかな?本に入ると外見も変わるっと茉里ちゃんが言ったことを思い出し、慌てで鏡をさがした。
見つかった、えっと、ちょっと緊張するな。もし知らない顔が映ったら、吃驚するでしょう。
覚悟を決めると迅速に行動に移す。わあ、やっばり違う、これ、わたしの顔じゃない、って言うかわたしに贅沢過ぎる顔。きれいな形した眉、自然な桃色の唇、目はちょっと大きいが可愛いに見える、鼻もびっしに立っている。大きな波のような長い髪はしりのどころまで延びでいた。まあ、髪だけは負けない、髪だけは…
「ここにいったのか?探しだぞ!さあ、はやく行こう、みんな待ってるよ。」
ドアから伝わって来た声はどこかで聞いた覚えがある。思い出した、将矢さんの声だ!
いそいで振り返ると、目の前に近づいて来るのは本当に将矢さんだ。嬉しいな、ひとりで心細いから、知ってる人がいるとホッとした。いや、ちょっと待ってよ、確かみんなは物語の中で外見も変わるはずよね。なんで将矢さんは茶会の時と変わってないの?服は違うですが…
「どうしたの?ぼくの顔をじっと見てて?惚れ直した?早く行こう!」
快活そうな目で将矢さんは言いながらわたしの手を引いてドアの外へ歩き出した。
「あの、将也さん、どこへ行きますか?」
わたしも拒まずに彼について歩きながら問いだした。
「しょうやって、誰?」
彼は振り返って無邪気な顔で微笑みながら言った。わたしは一時どう答えればいいのか分からなくなった。
彼もあんまり気にせず、「それより、急ごう。」っと言ってまだ歩き出した。
どういうこと?分からないな……
「…様、起きてください……様、起きてください…」
耳元で優しい囁きが聞こえた。
起きたくないよ、もうちょっと寝かせてよ。カーテンを開けられた音が聞こえる、突然強い光が室内に射した、目を閉じても眩しいぐらいに。
仕方がなく目を開けた、最初に映ったのは……