質問の続き
「わたしは最初から参加しましたよ。」茉理ちゃんが一番目に答えてくれた。
「おれは途中から。」侑暉くんもちゃんと答えた。
「わたしはこの前無月さんと同じ物語にいったが、たしか最初からかな。」将矢さんは意見を求めるような視線を無月さんに向けると、相手はかすかに頷いた。
無月さんと将矢さんは同じ本に出たの、わあ、読んでみたいな。
「わたしも途中参加ですよ。」亜希子さんが最後に答えた。
「では、亜希子さんと侑暉くんはキャラとして目覚める時、周りの人や昔の記憶が持ってましたか、もちろん物語の世界のですが。」
いったいどこからこんな質問が湧いてきたのか自分にもわからないが、ただ知りたいという好奇心の駆使で問いだした。真面目に答える皆さんにありがとう。
「ああ、そういえば、物語を楽しんでいるうちに、こういう疑問は完全に無視したよね。今思えば、たしか周りの人とすぐ打ち解けて、違和感の欠片すら記憶に残ってませんでした。キャラの記憶を移植されたのかな、わたしたちは本に入る時から?」
亜希子さんは本気で悩み始める顔で言い出した。
「おれの場合は、誰とも親交しないキャラで、よくわからない。」
「侑暉くんは本色演出ですか?」茉理ちゃんの冗談に、侑暉くんは目で睨み返した。
無月さんと将矢さんは幾分真剣な顔でわたし達の会話を聞いてたことを気付いたわたしは語り続けた。
「ここで、わたしにはひとつの仮説があります。物語を完了するために、さまざまな人たちを集めキャラとして本の中に入った。そのキャラは本の中で完全な人生を書かれていたはず、つまりいまここにいるわたし達と同じように、生まれてから死ぬまで誰かと接点がある、どんな小さなことでも生きる証として自分の経歴に残していたと思う。だから、もしわたしたち途中からキャラに成りすましたとしたら、その前にそのキャラとして物語を進行させるひとがいるはず、でも同じ物語の中で同じキャラが二人もいらない……ああ、自分も分からなくなった、何で言えばいいか?そう、平行世界みたいな、もともと一人はずなのに、そこで分岐点が現れ、二つ或いは幾つの可能性を成立するために、皆で同じキャラを演じる、でも物語の発展は少々違う……」
またはなし終えていないわたしを邪魔したのは侑暉くんの叫び声でした。
「だからあいつが戻って来なかった!そうか、そういう事なのか。」
知り合いが物語の中に閉じ込められたかな?だからこの子はイラついたのか。
「あの、以上はただわたしの妄想ですが、間に受けしないでくださいね。」
自分が言い出したことだが、あんまり信憑性が薄かった。
「いや、本当はそうかもしれませんよ。もしかして、今わたし達のこの茶会もどの本の中の物語かもしれない。」
無月さんは口元に淡い笑みを零しながら言った。
以前、つまらない時は確かこんな発想をした覚えがある。どうせ物語なら、がむしゃらにいこうぜっと気楽になることもあったかな。でも踊されるのはいや、ちゃんと自分の意志で動いたい。