知人の知人
夢で楽羽を見た気がしたが、あんまりにも曖昧で、記憶を起こせなかった。それもそうか、昼間に楽羽の話題に触れたから。もし、彼もここに来たら、わたしと同じあるキャラの身分を借りてるかな。侑暉くんの情報から考えると、多分楽羽とフウンも二つの世界に分かれた。
ああ、もう、目が覚めるとすぐ思考モードに入るなんて、わたしもけっこう努力家かも?
シンプルな服を着せて背伸びながら1階へ下りた。
わああ、いいにおい!誰かが早起きで朝ごはんまで用意したのか、感謝するよ!葵さんかな…
「おはよう、みどり。朝ごはんできたよ。今日加久良も食べに来るって…」
言ってる最中ベールが響いた。
「ぼくが行く、みどりは座ってて。」
冬弥は爽やかに言いながら行った。
そうか、こっちに来たのね。なんか最近規則が正しいな。日ごとに転送?まあ、いいや。それにしても、冬弥さんはいいな、優しいし、料理もできるし、みどりさん、ありがとう。
「なんだ、その顔?わかる、わかる、わが友は容姿端麗、料理上手、おまけに爽やかで愛想がいい。買い得と思ってるでしょ?」
加久良さん、いつもいつも…やっばり、この人ーームカツク!
「やめてよ、加久良、ぼくは物じゃない。」
「だって、朝ごはんつくる彼氏なんか、そんなに多くないっすよ。うん、うまい!」
一番最後に来て一番最初に食べる加久良さんは我が家にいるようで自然に振舞ってた。
「しょうがないやつだな!」
冬弥さんはため息を漏らし、加久良さんをチラッと一瞥しわたしに目を向けた。
「男に褒めるとはな…ぼくはみどりに褒めてほしいのに。」
ええーー冬弥さん、お願い、加久良さんに影響されないてくれよ。
わたしはできるだけ優雅に食べる間に、同じ食卓につく二人の男性はわたしのよく分からない話題で盛り上がってた。ちょっとその友情に羨ましい。
朝食後、冬弥は片つける間に、加久良さんと少し話した。
「任務に参加するのは緊張する?」
「うむ、少しかな。それより、加久良さんは両方にも参加したのね。」
「うん、そうですが。」
「被った任務があるのか?」
「被った?ああ、それはないと思う。でも、その日をさかいに、放棄する任務がある、まあ、その内、どっちで片つけるでしょ。」
「うむ…」
「どうした?何があったの?」
「いいえ。」
「そうか?ぼくに打ち明けることを躊躇ってるな。いいよ、言えるようになったら言ってね。」
「何、その上からの目線は?意地でも教えないよ!」
加久良さんの笑顔につれてわたしも笑い出した。ちょっとその時、冬弥は一枚の写真を持ってホールに戻ってきた。
「ただいま蛍ちゃんからぼくたちの任務に関する情報をもらった。っと言っても一枚の写真しかなかったですが。これです。」
「不運を食い尽くすキーホルダー?」
「そう、でも、この写真に写ったのはその持ち主という人物です。」
持ち主って?楽羽のこと?本当に彼もここにいるの?
冬弥の差し出した写真に、わたしと加久良さんは同時に目を向けた。
やっばり、そこに写ったのは楽羽だ!と言う事は彼もここに来た。
…いや、ちょっと待ってよ。確か、わたしたちは誰かキャラの身分を借りてここでいられる、写真に写してもそのキャラの顔を現すはず、なんで楽羽は自分のままなの?…そういえば、加久良さんの時も同じ…
思わず隣の加久良さんに視線を移す、意外なことに、いつもチャラチャラな彼は驚いた表情でその写真をじっと見つめてた。
「二人とも、大丈夫ですか?」
わたしたちの反応に戸惑う冬弥は声を掛けた。
「ああ、悪い、知人に似過ぎて、つい…」
やっと写真から目を離す加久良さんはいつもの顔に戻った。
うそつき…と心の中で小さく呟いた。
わたしの視線を察したか、加久良さんはニット笑った。
「ああ、みどりちゃん、まさかこの人に見惚れた?どうみても、冬弥の方がかっこいいじゃないか?」
誤魔化すが聞かないぞ、加久良さん。
「何言ってるの?この三人の中、加久良さんが一番かっこいいよ!」
「こう来るか?」
冬弥はこの退屈なやり取りを聞いて安心したようだ。
「もう、ふたりはこの写真を見て同時に憑依されたような顔したぞ。」
「悪いな、久しぶりの友人を思い出されたのさ。」
「そんなに似ているのか?」
「うん、ガキ頃のまんま。」
それを言った時、加久良さんはわたしの今まで見たの中で一番優しい顔を現した。
「みどりは、まさか、きみも見覚えがあるのか?」
「いや…その、何でキーホルダーを一緒にいないのかって考えてた…」
「そうか?でも、持ち主を見つけただけでも、手掛かりになるよ。今、蛍ちゃんに会いに行くの、折角だから、みんなで行こうか。」
「おう、いいよ。」
「加久良、今日は乗りがいいな。いつも面倒くさくて拒んでるのに。」
「今日はそういう気分さ。」
「勝手なやつ。」
「蛍ちゃんがお菓子が好きだから、昨夜すこし作った、飾って贈りたいので、十五分くらい待ってくれ。」
自分の常備に行く冬弥さんはわたしを見送ると、加久良さんに目を戻した。
「何か言いたいことがあるだな。」
「加久良さんこそ白状しなさいよ。」
「何を?」
わたしは左手に持った楽羽を写す写真を彼の前に突き出した。
「だから、知人に似てるって…」
「その知人はたまたま自分のガキ頃にそっくりなちょっとキーホルダーくらいサイズの関節人形をもっていますか?」
「お前…」
「その知人は楽羽という名前ですか?」
「楽羽を知ってるの?」
驚きな気持を隠せず、加久良さんは真剣な眼差しでわたしに向いた。
「うん、知ってる。」
「加久良さんもわたしに隠しことがあると思うが、楽羽のことについて、お互い情報を交換しない?」
「情報も何も、ガキ頃の友人で、随分前のことだ。」
「わたしも楽羽とはそれ程付き合いが長くないが、彼のガキ頃の友人のことを少し知っている。たしか、夏休みに叔父さんの家に行って、その村のガキらに苛められ、その時その友人に庇ってくれた。」
「まあ、かっ弱いガキが苛められるどこみられないよ。いまは顔がそのまんまだが、結構いい体に鍛えたな。」
写真に目をやり懐かしそうに加久良さんは笑った。
「やっばり、加久良さんは楽羽のガキ頃の友人ですね。なんで楽羽と連絡とれないのよ?彼はあなたを探してるぞ。」
「あいつ剣道をやってることを知ってるさ。その優勝を取って剣道大会にも見に行ったの。やっばり、すごいやつだなと思った。」
「ええーー楽羽の試合、見に行ったの?わあ、彼は知ったら、きっと飛び上がるほど喜びますよ。よし、楽羽に会ったら、ちゃんと伝えないと。…いやいやいや、加久良さん本人が言って方がいいよ。ねえ?」
「なんでお前は楽羽のことをこんなに積極的なの?彼に気があるのか?」
「それはないと思うよ。わたしたちは甘党同士で、色んな話をした、仕事の愚痴まで、いわば、なんでしだっけ?」
「ははははっ、あいつ、そういう体質らしいね、よく変人を惹き付ける。」
「ということは、加久良さんも変人の輪の中にいるね。」
「否定できないな。」
なんか加久良さんと写真を見ながら、楽羽を中心に話に広げた。
「もし、楽羽はわたしたちと敵対になったら、どうする?」
「それは避けたいな、剣道達人に敵回したくないよ。」
「今も友人と思ってる?」
「もちろんさ、ぼくがくれたものをずっと持ち歩いてるやつだから。」
「ああ、あの時も思った、職人なみの腕の友人がどんなひとかなって、いざと知ったら、ちょっとショックかも。加久良さんはそんなに手先が器用ですか?」
「みえないか?」
「……」
「まいったな。楽羽は不運を食い尽くすキーホルダーの持ち主と言う事は、ぼくが作ったさの関節人形は元凶ですね。」
「それに呪いを掛けたの?」
「んなわけないだろう。」
「でも、楽羽はその人形をフウンという変な名前を付けたよ。」
「分からないことだらけな。」
「楽羽はどちにいると思う?」
「できるなら、こっちにいてほしいな。」
「会う覚悟ができた?」
「ぼくが彼に悪いことしたような言い方じゃないか?」
「ああ、ひとつきになることがある、どうして楽羽は加久良さんと同じ、本人のままでここに来れるの?」
「それはぼくにも分からない。」
思惑を抱える顔をする加久良さんはどうやら本当に知らないらしい。
蛍ちゃんに会ったら、もっと情報があるかもしれない。
「二人とも、出発するぞ。」
冬弥は綺麗に飾った箱を手に持って現れ、わたしと加久良さんは彼と共に蛍ちゃんの居場所へ向けた。




