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午後3時半からの冒険  作者: Sugarei
32/51

挿話 不運喰い 4


 つい早めに来ちゃった。いま、おれはいつも金曜日に寄るケーキ屋の前に立っていた。なぜなら、今日は瑩と一緒あるどころへ行く予定があったから。

 それは先週の金曜日の帰り道に交わした約束だった。定番の甘いもの買ってから、瑩と共通の道に歩いてたおれたちはある話題に触れその約束へ導いた。

 「楽羽の家に剣道大会の受賞状がありますね。」

 日常茶話の後、瑩はにやにやしてその話を始めた。ちょっとこの前、彼女はおれの家に訪れたことがあったから。でも、その時ちゃんと受賞状を収めたはずなのに、どうしてそれを…

 「うん、随分まえのことさ。どうして知ってるの?」

 「ああ、それはね、楽羽はウェットティッシュを取り引き出しを開ける時ちらっと覗いた。ちょっと興味があるので、つい…ごめんなさい!」

 いきなり歩みを止め深く頭を下げ謝る彼女に手を振りながら、おれは言った。

 「いや、別にそんなに謝らなくても。わざと隠したいじゃなく、ただおれにとってあんまりいい思い出じゃなっかただけさ。」

 おれはフウンを手に取って握り、苦笑いながらため息一つ漏らした。

 「おれ様のせいかよ?」

 「お前の作り主のせいさ。」

 こころの中でフウンと会話をした。そういえば、こいつ、おれと瑩がいる時、妙に活躍するな。思い付かないところで話掛けてくるとか、慣性的に瑩のそばへいこうとするとか、こいつにも、ちゃんと目を付けないとな。

 「でも、優勝ですよ、すごいじゃないか。」

 まったく、マイペースなやつだな、思い出したくないのと言ったのに、また続くつもりか。

 「よそ目からそう見えるかも。」

 「ああーー決勝でその相手の方を大怪我を負わせたとかじゃないよね。」

 やれやれ、瑩には敵わないな。前もこう思ったけど、いつもどこかで変な発想をどんどん湧いてきたのかな。やっば漫画や小説とか読み過ぎ?

 「うむ、でも、楽羽は熱血けいっぽくないな、そんな熱い演出できるかな?」

 おいおい!変な方向へ行ってるぞ。

 「もしかして決勝の相手が何なかの理由で棄権し、楽羽が不戦勝になって、故にプライドが深く傷ついた、とか?」

 勘弁してくれよ、そんなきらきら光る目でおれを見るな、謎解きじゃないだろう。

 「分かった、分かったから、白状する。その行く末見えない発想を止めてくれ。」

 ここで白旗を揚げて方がいいと思うことに実行した。

 「うん、うん、どうぞ!」

 鮮やかな笑顔でおれの発言を促し、手で「どうぞ」の合図をした。

 出会ってから2ヶ月もない経てない相手にあんまり他人に言わないことを話すなんで、おれもどうにかしている。でも、あんまり抵触感がなかった。

 「やられたな、楽羽。貴様、単純だな。」

 「フウン…おまえに罰を下るには簡単や。」

 手に握っていたフウンをさらに握り締めた。

 「ちょ…ちょっと、緩めーー」

 「だめ!」

 突然おれの手から奪い取れ、瑩はフウンを掌に乗せ、細かくチェックし始めた。

 「そんなに握ったら、関節を潰れるよ。こういう人形はとても繊細で、ちゃんと大事にしないと壊れちゃうから。」

 フウンは誇れ勝ちた目でおれを見つめ口角を微かに曲げた。

 「どうだ?彼女もおれ様の味方だよ。」

 「見る度に思うよ、やっばり楽羽に似てるな。かわいい!」

 なんだ、その連携?やめろ、胸に抱きしめるな!フウン、おまえ、その手、どこ触ってるの?

 「フウンが気に入った?」

 「フウン?ああ、このキーホルダーのこと?フウンと言うんだ。ちょっと変わった名前ね。」

 瑩は優しくフウンの頭を撫でて言った。

 「うん、そうだね。」

 「でも、なんかびったりの名かも。はい、もう乱暴な扱いは厳禁!」

 フウンを乗せた手をおれに差し出して、瑩は言った。

 「すみませんでした。」

 1秒遅れの反応で両手で受け取ると、何故だかおれは謝った。

 「人間の女は優しいな。」

 フウンのやつまた先の抱っこに浸ってる様子だ。

 「昔、そのような関節人形を何体解体したことがあるよ、たからその関節の脆さは分かるの。」

 手の中のフウンが小さく震えた、もちろんそれはおれがちゃんと感じ取った。

 「なんだ、フウン、震えてるぞ。人間の女は優しいじゃなかっだけ?」

 「…やっばり楽羽がいいや。」

 現金なやつ。

 「安心しろ、瑩にはおまえを解体させないさ。」

 「楽羽…」

 「先の話の続きをしようよ。」

 瑩はまたしも期待を込めた眼差しをおれに向けた。

 「うん、話すよ。おれはガキ頃から無愛想で人と関わることを苦手だった。」

 「うそ!わたしも!」

 「ええ?そう見えないな、おれと普通に喋ってるじゃないか?」

 「楽羽こそ、そう見えないよ、穏やかで普通に愛想がいいじゃん。」

 おれたちはお互いの目を見つめ声を出して笑い合った。

 ちょっと楽しくになった気がした。

 「本題に戻るぞ。」

 「うん。」

 「内気なだけで人付き合いに支障が生じるのに、おまけにおれはガリガリの体でよけんに弱く見えた。夏休みで叔父さんの家に泊めることがあった。そこは言わば田舎さ。そこのがきはみんな群れて遊ぶのは好きらしい、おれはどうにもその輪に馴染めなくて、結局苛められたのさ。」

 「そうか?楽羽にそんな過去があるのか?って、剣道大会の優勝となんの関係があるのか?」

 「大いにあるさ。当時、そのガキたちから苛められたおれを庇ってくれるやつは一人がいた。その子も口数は少なくて、いつも手作りものをしていた。多分、おれをそこへ行くまえに、あの子は苛めの対象だった。彼はおれを庇ったのは自分のせいと思ってるかもしれない。結果として、おれはあの子と仲良くになった。そう、フウンはあいつがその時作った。」

 「なるほど。」

 「あいつは瑩と似てる所もあるよ。」

 「ええー?わたしと?」

 「そう。その変な発想さ。」

 「なんか褒めてない気がするが、まあ、発想は発想、変でいいじゃないか。」

 「いや、褒めてるよ。おれにはできないかな。彼もいつ言ったことがある、楽羽、強くなって、あいつらを全員見返させろうよ。できることは、おれも強くなりたっかたが、具体的になにをすればいいか考え付かなかった。ある日、彼はおれに自分宝物を見せた。それはぼろぼろの古い木刀だった。彼は剣を大好きと言った、以前剣道を触れたこともあった、でもある事故で、左肩を自由に回らなくなった。止むを得ず、それ諦めた。おれはその田舎に十数日しか泊めなかったが、帰る時彼からこのキーホルダーをもらった。もちろん、彼のことをずっと友達だと思っている。」

 「いいな、いい友達ができたじゃないか?」

 「だろう!だから、学校に戻ってから、おれも剣道部に入部し、ちゃんとやると決めた。そのお陰で、ガリガリな弱い体にさよらなに言えた。」

 「うん、今の楽羽は綺麗な筋力がつけてるね、うむ…多分。」

 「はははっ、無理に言わなくてもいいよ。おれの体、見たことが無いくせに。」

 「服の輪郭から見えますよ。待ってよ、さきのはセクハラじゃないか?」 

 「ああ、そうですね。わりぃわりぃ。」

 「楽羽のバカ。」

 「はいはい、話に戻るよ。おれはそれから剣道に真剣な気持で挑み、高校一年で剣道部のエースの座を手に入れた。その年、おれは剣道大会で優勝を取り、三年の先輩が快く思えなっかたらしい。別に、それはどうてもいいことですが。おれはその次の夏休みに叔父さんの田舎の家を訪ねに行った。あいつに会うために。なのに…」

 「会えなっかたか?」

 「うん。あいつは跡形も無く消えた、彼の家も残らなかった。おれはその村の住人に聞いたが、あいつはおれが戻ったすぐに村から出ていた。あいつと親しいひとはそのむらに殆どなかった。あいつの行く先は誰も知らなかった。おれは大ショックを受けた、やっと剣道で小さな成果が出た、あいつに知らせたかったのに。帰ってから学校でもいやなことがあった。三年の先輩達の嫌がらせに厭きて、おれは部活を止めた。元々彼との繋がりがほしくて、剣道が始めたから、大した苦しいじゃなかった。」

 「だから、その受賞状をみると、いやな思い出が浮かんでくるね。でも、剣道はかわいそうよ!」

 「はあーー!」

 「だって、結果論で、剣道が楽羽に強い体を授けてくれたのね。なのに、楽羽はいつも優しく付き合ってる彼女をいきなり振ったように剣道との縁を切った。酷いじゃないですか?」

 「ちょっと待って、ちょっと待って。その発想はないだろう、なんで剣道が擬人化されたの?」

 「その友達が会いたいなら、もっと頑張って探し出せばいいじゃない?何も剣道を止めなくても。その三年の先輩達ブッ飛ばせ!」

 「いやいや、それは何年も前の話ですよ。おれはもう随分長い間剣道を敬遠したんだ。あいつに会いたいのは本望ですが。って最後になんか物騒なこといってないか?」

 「なら、もう一度あの村に行きましょう!うん、それはいい。決定だ!」

 「行きましょうって、まさか…?」

 「はい、わたしは楽羽と一緒に行きますので、よろしくな。ああ、善はいそけと言うことで、明日、何か予定があるのか?」

 「ないんだけど…」

 「じゃ、明日行くね。うん、そのケーキ屋の前で会いましょう。」

 「うん、いいよ。」

 なんだ、この流れは?瑩はこんなに押し強いだっけ?って言うのも、おれは瑩のこともあんまり知らないな。 

 「本当にいいのか?明日は週末で、彼氏とか友達とかの付き合いはいいの?」

 「うん、いいのいいの。彼氏はいないし、友達が少ないし。」

 さり気なくすぐ返って来る返事にどう反応するのか僅かに困った。

 「ああ、そうか?ごめんごめん、楽羽は週末で彼女とか友達とかの付き合いもいろいろあるね。じゃ、またにしよう。」

 やっと日常モッドに戻ったか、残念なことに、おれも変人ひとりさ。

 「いや、おれも彼女なし、友達付き悪いさ。明日行くよ。」

 「うむ、本当にごめんね。わたし、人との距離感を把握するのは苦手で、先みたいにいつも押し強いと言われたことが多くて、だから人と関わることをできるだけ避けてるのに。最近、よく楽羽といるので、つい…迷惑なら、直接に言うね、ちゃんと注意するから。」

 「いや、別に迷惑じゃなくてさ。おれ一人なら、もうあの村に戻りたくない、瑩が一緒なら、旅行気分で気楽に行けるよ。」

 と言う訳で今日の日帰り旅を決定になった。

 よく考えると、おれと瑩は変な関係を維持してるな。毎週の金曜日の帰りにケーキ屋で会う、その後、たまにはお互いの家でケーキを食べながら喋り込む、まんがのこと、ゲームのこと、仕事の愚痴…ガキっぽい付き合いだな。でも、なんか安心させる。しかも、会うたび瑩の不運もフウンのご馳走になった。いつか言える時は瑩に謝らないと。

 「ああ、ごめん、待った?」

 考えてる内に、瑩は手を振りながら小走りでこちへ近づいて来た。

 長い髪を緩く編み左胸の前で置き、ややタイトなTシャツとタイツジーンズ。瑩は痩せ方じゃないが、決して太くない。こういう服が彼女のいいどころをよく表せた。まあ、いまの女たちはみんなスリムとか痩せるとか求めてるが、おれがこっちのほういいと思う。

 「おれ様も気に入った。」

 「やめろ、フウン。今度は油断しないから。」

 「楽羽、行こうか。」

 「うん。」

 瑩と一緒に、おれがずっと行きたくて行けなかったあの村へ向かいました。

 

 

  

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