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眠る桜  作者: 東雲 和歌
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説明といきましょう。

この小説は、私の処女作です。楽しんで頂けるか不安ですが、楽しんでいって下さい。

―この世には、まるで雪の様に舞う桜があるらしい。

花吹雪なんて綺麗なものではなく、それは残酷に人の心に降り注ぐのだとか。


私の名前は村瀬むらせ あずさ

何を隠そう、あの『村瀬 千鶴』の娘である。村瀬千鶴むらせちづるそれは恐らく3歳の子供でも88歳のおばあちゃんでも知っているであろう伝説の探偵。

どんな事件でも解決できてしまうという、伝説の探偵。

そんな母の有名な事件と言えば、あの『三千世界事件』だ。

とある有名な画家が『三千世界』というタイトルの未発表の絵に吊り下げられて殺害されていた事件である。全ての人間にアリバイがあり、事件は迷宮入りかとまで言われたその時、海外からの仕事から帰って来た母は事件の全容を知って、現場に行く事もなく解決したのだと言う。

アリバイ工作を見事に切り崩し、犯人逮捕までこぎつけたのだから、それは賞賛するしかない。

「てか、どうして私がお母さんについて真剣に語らなくちゃいけないのよ?」

そうなのだ。

私が意味もなく母の事を自慢している筈が無い。じゃあ、何の為に自慢してるんだよ、みたいな疑問がふつふつ沸いて来ると思うが、答えは簡単だ。

頼まれたから。

「お願いです!あの伝説の探偵の事を詳しく知りたいんです!」

「伝説の探偵…ねぇ。」

確かに母は伝説とは言われているが、というか先程自分でも言ったが、性格はただのふざけた大学生だ。

「母は、どれだけ重大な事件だろうと、どれだけ小さな事件だろうと、面白そうじゃなければ動かないし、面白そうだったら動くわ。現に、連続殺人の犯人逮捕の協力を依頼されたのに、あの人浮気調査に乗り出したもの」

「えぇ⁉」

かく言う私も随分母に遊ばれた。

遊んでもらった、ではなく、母に遊ばれた。

母は、伊達にあの性格な訳ではない。物事をそれはそれは面白くする必要があったのだ。

『ねぇねぇおかあさん。わたし、パンやさんをやりたいな』

『そうねぇ。なら、いくらまでなら出す?せめて土地くらいは買ってあげても良いけど…』

『え⁉』

『冗談よ、冗談』

私が言いたかったのは、『パン屋さんごっこをしたい』という意向であって、何もこの年でパン屋を開いて営業したいなんて思っちゃいない。

母もそんな事くらい分かっているのだろうが、その言葉を言った時の私の反応を見てみたいとか思ったのだろう。私にだってそのくらいは分かる。

…今なら。

「で。お母さんの事を知って何になる訳?」

「雑誌に掲載するんですよ!今は行方の何も全くの謎の伝説の探偵、その素顔に迫る!みたいな」

「まぁ、それは構わないけど、私が教えたって書かないでよ」

「はい!もちろんです!」

「というか、千鶴に娘がいて、その娘も探偵業をやってるとか書いたら私の残りの人生全部かけて貴方を潰すから。」

「は…って怖いですよ!」

私は貴方がどうやって私の事を嗅ぎ付けたのかが気になるのだけれどね。

まぁ、見当がついていない訳でもないけど。

「じゃ、これで依頼は終わりね。私まだ近所のおばあちゃんの家の猫を見つけてないの。あの方、寂しがりやだから早く見つけないといけないのよ。じゃあ、帰った帰った」

「えぇー⁉また来ますからねー!」

記者だったらしいを返して、ほっと一息。

根掘り葉掘り聞かれると困るわ、本当。

ちなみに、近所のおばあちゃんの猫の話は真っ赤な嘘です。私がそんな重大な任務をほったらかして次の依頼を受ける訳がないわ。

さてここで、私の事について説明しようと思う。

私は、一つの探偵事務所を開いているただの女だ。ただ一つ他の人と違う事と言えば、母親に伝説の探偵が居る事。しかし、私はその事を公にしていない。

いや、区役所とか警察には言ってあるが、マスコミに漏らす事は一切ない。あれが初めてか、違っても2回目だ。

幼少期から2年程前まで母について海外を飛び回っていたので、そこからバレる事も恐らくないだろう。

 しかしながら、母はそれはそれは楽観的思考だったので、おそらくまた何かを突発的に思いついて、それを行動に移す段階で行方不明になったのだと思う。

実際、私は母の行方に心当たりがないわけではないが、それを言うとややこしくなると思うので、お盆休みにでも母を探しに行こうと思う。

「すみませーん」

あっちゃー。今依頼ですか。

まぁ良いんですけどね。はい。

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