強制わいせつ罪ー知人の場合
私は、高校を卒業するまでは性的な経験は慎むべきと信じ、その信条を頑なに守った。
しかし大学生になり、付き合う同級生は同類で、興味はあっても臆病で、悪い大人たちの誘いの方が積極的だった。
時は経ち、同級生も「悪い大人」になった。
武勇伝を後輩に称えられていたが、女にとって愉快なものではない。
その頃、不眠の私は、強力な睡眠薬を処方され、酒を飲まなくてもぼーっとしていた。
しかし、奴に、そんなことはやめるべきと、正義感に燃え呼び出した。
二人で向き合い、私は酒は一滴も飲まずに、お前は人の道から外れていると説いた。
伝わらなかったらしい。
送るよ、と奴は優しさか好意を見せた。
フラフラしながら一人で帰れる、と強がる私を、奴は暗がりへ連れこんだ。
しゃぶれよ。それで抜けなかったら、入れる。
東スポか。とツッコむ力は、私には残っていなかった。
下衆なこいつと二人きりになった自分が悪いのだ。最悪の事態を避けるため、私は全力を尽くした。馬鹿馬鹿しいことに私はそれが上手で、相手は早かった。
馬鹿馬鹿しい行為は終わり、相手は満足し、送ることもせず、私は帰りの電車のホームで、烏龍茶を飲み干した。
自分の落ち度があったとはいえ許せなかった私は、後輩の協力を得て、相手の所属も実名も明記して、インターネットで拡散した。
警察に行け、と言う人もいたので、勇気が出た頃に申し出たが、管轄などがあり面倒で、
犯人が泣きながら深夜3時に電話してきて、許すことにした。
元々は友達なのだ。
私はストレスのため、何も口にすることができなかったがー水分ですら、何かを唇に付ける度、強要された男根を思い出したのだーようやく親友を呼んでピザを取り、親友は電話で犯人に怒りをぶつけ、私たちは笑いながらカラオケに行って、NIRVANAのRape Meを歌った。
共通の友達は言う、もう昔のように集まれないだろうと写真を見返したと。
しかし私にとっては終わったこと。もう、恨みはない。