ネットの海
ここはネットと言う名の海です、この海にはたくさんのお魚さんが泳いでいます。
しかしながらこの海は真っ暗で、泳いでいるお魚さんたちは、他のお魚さんの顔を見ることが出来ません。
この海でコミュニケーションを取る方法、それは、鳴き声でもなく超音波でもありません、文字です。
この文字を海に浮かべるだけで、相手に自分の気持ちを伝えないといけません。
しかしこの文字というものが非常に厄介です。
この文字は、同じ形でも受け取る相手次第で、様々な意味に変わってしまいます。
自分の意図通りに伝わることもあれば、とんでもない誤解をされる場合もあるのです。
なのでこの海で泳ぐお魚さんたちは、トラブルという海流にのまれてしまうこともしばしば。
温暖化、つまりネットの発展により、海流に乱れが生じやすくなった今は、なおさらのまれる確立は高まっています。
だからそうなりたくないモラルを持ったお魚さんは、しっかりと言葉を選び、丁寧な言葉遣いを心がけ、文字を海に浮かべます。
しかし逆に顔が見えないことをいいことに、酷い文字を浮かべ、他のお魚さんを馬鹿にし、傷つけたり貶めたりする、心ないお魚さんもいます。
前者は……いやいや前魚はネットの海を飛び出し、現実と言う名の陸に上がったとしても、しっかり生きていくことが出来るでしょう。
しかし後魚は、そうはいきません。
何故か、それはお魚さんたちが、どれだけ上辺を取り繕うと、咄嗟の時には本当の自分が出てしまう生き物だからです。
そしてその咄嗟の時というのは、大概が大切なときです。
たとえば緊張したとき、そうですねお店で、お客様に自分をアピールするときなんかですね。
買ってもらうために、上辺だけおいしいよって言ったとしても、少しつつかれれば腐った中身が出てしまうかもしれません。
だから皆さんも、ネットの海を泳ぐとき、海に言葉を浮かべるときには気をつけましょう。
あまり自分勝手なことをしていると、海の水温はどんどん上昇し、息苦しくなって陸に上がったとしても、灼熱の太陽があなたの身を焦がすことでしょう。
それでは最後に、深海には気をつけて。
さようなら。
読んでいただき、本当にありがとうございました。