流されるままに
ミマツ産業での打ち合わせは、やはり装置の最終テストについてだった。私は、その内容を聞いてはいたがほとんど頭には入ってこなかった。
ミマツ産業の遠藤部長はいつもと変わらずに丁寧に仕事の説明をしてくれていたことを、申し訳なく思う自分がいた。私は自分の気持ちをあらためて確認できたと感じていた。これまでは、客先との打ち合わせの後は頭の中で今後の作業を具体的にイメージして工程を考えていたのに。今はただ、帰りの車の中で何も考えず、ただ車窓から景色を眺めていた。
後部座席の専務と原田も特に話をすることもなく、社内は車の走行音のみが響いていた。こんな沈黙に耐えかねたのか、運転していた営業の寺崎が口を開いた。
「秋村さん、最終テストは問題無さそうですよね。これまで大変でしたけど、やっとここまできましたね。良かったですよ。」
「そうだな。いろいろあったけど、最後は何とかなるもんだよな。」
「もっとも秋村さんがいなかったらどうにもならなかったですけどね。」
気を使ってくれているのだろうか。でもそう言われて悪い気もしない。私はただ笑ってやり過ごした。
この時、後部座席の原田の表情がとても気になったが、振り向いて確かめるのもどうかと思い我慢した。
結局翌日から私は最終テストの準備作業を進めることになった。最終テストと言っても今回はほとんど確認作業なので、手順に抜けさえなければ大きなトラブルにはならないだろう。私は淡々と手順書を作成していた。
ミマツ産業での打ち合わせの4日後、いつものように仕事をしていた私の元に考えもしなかった知らせが届いた。




