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休暇中

私は結局三日間の休暇を取ることになった。土日を入れれば五日間である。

さて、この時間をどう使おうか私は思案していた。私は妻にはこの臨時休暇のことは黙っておいて、朝、会社に行くふりをしてどこかで時間を潰すことにした。

ひとりでゆっくりできる、こんなチャンスはめったにない。家族には申し訳ないと思いながら、休暇初日の朝、私はいつも通り自宅を出た。


とりあえず、いつも通勤に使う電車はとてつもなく混んでいるので、逆方向行きの電車に乗ることにした。

ドラマや映画ではこんな時、海を見に行ったりするんだろうけど、あいにく私にはそんなロマンチックな感性は備わっていなかった。

私は、ただ当てもなく電車に揺られていた。そして何かを考えようともしたが、心地よい揺れに、いつしか眠ってしまった。

結局終点の駅まで来てしまった。

始めて降りる駅だ。当然土地勘も無いし目的も無いのでとりあえず駅前の喫茶店で珈琲でも飲むことにした。

いつもなら仕事が始まる時間だ。なんとなく優越感のようなものを感じる。みんな働いているんだろうな。

私はブレンドを注文して、駅前の風景を眺めていた。もう通勤ラッシュの時間は過ぎていて、人の流れもそれほど多くない。それでもいくらかのサラリーマン風の男性やOL風の女性が駅に向かって無表情で歩いて行くのが見える。

程なくブレンドが運ばれて来た。私は一口珈琲を飲んで、これまでのいきさつを思い返して見た。

マック電子に入社した頃は社員もみな若くて楽しかったな。休みの日でさえ会社の仲間達と出掛けたりしていたこともあった。その中にはあの原田もいた。

今となっては考えられないが、原田には公私ともに世話になったものだ。

いつから今のような関係になってしまったのだろう。そう思うと少し寂しいような気持ちにもなった。

しかし、ここ数週間の、いや数年の出来事を思い返すとそんな感情は一気に吹き飛んでしまった。もう怒りと不快感しかない。私はやるべきことをやっていたはずだ。誰に批判されることも無いはずだ。正当な評価を貰えない職場にいる意味など無い。

私の頭の中では、楽しかった頃の会社での出来事と最近の嫌な出来事が交互に駆け巡っていた。

私はふと我に返った。

過去のことを考えていても仕方が無い。

こらからのことをじっくりと考えなくては……。

そう思うとやはりこのまま会社に残っても将来性を感じないし、またこれまでと同じ思いを繰り返すだけであろう。


私はこの休暇が明けたら、退職する意思をはっきりと会社に伝えることを改めて決心した。


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