婚約破棄されたけど、スキル『頭ツルツル』で賠償金と素敵なスパダリをゲットした令嬢の話
「クリスタ、婚約を破棄する!真実の愛の相手、ビビアンを虐めたな!」
「そうです。アレク、婚約者の相手いる殿方に近づくなと嫌みを言われました」
この頭お花畑カップルの言う事はおかしい。きっと馬鹿なのだろう。
貴族の婚約の意味は分かっていないわ。
だが、相手のアレクの父親と母親、伯爵夫妻は・・・
「クリスタ嬢が悪い。アレクの気を引き留めなかった」
「ええ、そうだわ。アレクちゃんはとってもナイーブなの」
私を批難する。
この親にしてこの子ありを目の当たり状態だ。
だが、私には秘密がある。スキル、ツルツルだ。頭髪が抜け落ちて頭が光輝く魔法だとしか解釈出来ない。
・・・かけたいわ。でもかけ方が分からない。
「うむ。婚約はクリスタ有責で解消だ。賠償金を払ってもらおう」
滅茶苦茶だわ・・・・でも爵位と家格は相手の家門が上だ。貴族のごり押しだわ。
お父様とお母様に相談しなければと思ったら。
その時、辺り一面、光に包まれた。
ピカッ!
「何だ。クリスタ嬢が輝いているぞ!」
「これは、スキル発動?」
☆☆☆回想
・・・そうだ。私、クリスタには前世日本人だったわ。
コンビニでバイトをしていた。レジにいたら中年の男性のお客様に声をかけられた。
『姉ちゃん。ハーゲンあるか?』
『ハーゲン?お客様・・・その・・・』
頭がツルツルなお客様がハーゲンを求める。
反応に困る。
その頭ではございませんか?と言うべきか悩む。
その時、仲間がお客様に話しかけた。
『ナベさん。アイスのケースはここだぜ』
『おっと、最近は冷凍食品ばっかりだ。そこにあるのか?』
頭髪が著しく少ない方、いや全くない方がハーゲンをお求めになる。
籠にいっぱい入れているわ。
『ナベさん。ハーゲン好きだな』
『俺じゃねえ。ガキどもが喜ぶんだ』
・・・しかも、善い人だわ。私、なんて嫌な事を思ったのかしら
・・・・・・・・・・
光は治まった。と思ったが、眩しい。その光はアレク様から発していた。頭部から物理的にだわ。
「ヒィ、アレクゥ~、その頭どうしたの?」
「まさか!」
「クリスタがやったの?」
ビビアンはうろたえ始めたわ。
「ヒィ、全然、かっこよくないわ!」
真実の愛じゃ無かったのかしら。
背を向けて逃げだしたわ。
一方、アレク様は・・・・頭をパチンと叩いて。
「うむ。我はこの事象を受け入れるべきではないか?因果応報、悪因悪果、善因善果・・・クリスタよ。真実の愛は実存すると思うか?」
「知りませんわ!」
何か、賢くなっていた。
「坊ちゃまがハ・・・頭部から毛が抜け落ちた」
「大変だわ」
私はこの騒ぎに乗じて屋敷に戻る。
両親に報告する。
「実は婚約破棄されましたわ。アレク様がハ『ワン!』になりまして、私のせいのようです」
「何だと、意味が分からない」
「そうよ。時系列で話なさい」
カクカクシカジカと話したが理解してくれなかった。
私も理解でいない状況だわ。
「ワン!ワン!ワン!」
「そうね。こんな時間ね。ハスキーちゃんのお散歩行ってくるわ」
こんな日でも飼い犬の散歩は欠かせないわ。
「クゥ~~ン」
「はい、お散歩よ」
この子はやんちゃ盛りだが、今日は体をピッタリ寄り添ってくれている。
気持を分かってくれているのね。
アレク様とは領地は隣同士、と思ったら領地の境にアレク様がいた。
木の下で思索にふけっているようだ。
それを、子供たちが木に登って、柿をアレク様に投げつけている。
「ヤーイ!ヤーイ!『ワン!』ゲ!」
「眩しいのだよ!この『ワン!ワン!』
アレク様は・・・・血出ているわ。これは止めなければ。
「ちょっと、子供達、やめなさい!血が出ているわ!」
「ワン!ワン!ワン!」
「ヒィ、狼犬だ!」
子供達は逃げ出したわ。
「アレク様、大丈夫ですか?」
「うむ。我は美味しそうな柿を投げつけられる存在でもあるのか?如何にして生きるべきか?クリスタはどう思う?」
「知りませんわ!」
賢くなったのか馬鹿になったのか分からなくなった。
結局、この後、婚約は解消になった。アレク様有責だわ。
男爵家である私に伯爵は平謝りだ。
「・・相場の三倍を出す。だから、髪の毛だけは勘弁してくれ!」
「でも、スキルの発動は分かりませんわ」
本当にそうだわ。いつ発動するか分からない。髪のみぞ知る・・ではなく、神のみぞ知る状態だわ。
でも伯爵はそうは取らない。
「ヒィ、とにかく謝罪をする。どうか、髪の毛だけは!」
頭頂部を抑えて必死に懇願するわ。
もしかして、私はとんでもないスキルを身につけていたのかしら。賠償金はお父様は自由に使えと言う。
「クリスタよ。このお金は自由に使いなさい」
「でも、お父様、婚約は家同士の契約ですわ。領地経営にあてて下さい。私、個人への賠償は・・・」
ビビアンから取ることにした。浮気に対する賠償だわ。
ビビアンの家に行ったら。これまた噂が流れていたのだろう。
ビビアンの両親は恐縮していたわ。
「ヒィ、払う。払います」
だが、ビビアンから抗議されたわ。
「私、女ですけど!払うのですか?」
「女でも払いますわ。貴方の行為は浮気です」
と私が頭を軽く触ると・・・勝手に誤解し始めた。
「ヒィ、もしかして、こんなに強気なのは『ワン!』ゲ魔法は女でもかかるの!」
ツルツル魔法は殿方限定なのか分からない。
お金をタップリもらったわ。
さて、どうするか?婚約者を選ばなければならない。アレク様とよりを戻す気はない。
アレク様はツルツルになってから達観するようになった。
「やあ、クリスタ、我は民のためにズラを被るべきだろうか?」
「そうですね。眩しいから配慮するべきではないでしょうか?」
「さすが、クリスタ」
こんなスキルの私に殿方は寄ってこないわ。
殿方はツルツルになるのが嫌なのかしら。
私の婚約者選びが難航していると、大公殿下が領地にまでやってきた。
フサフサの方だわ。
若くして軍功を立てて大公家を許された方だわ。
でも、婚約者はいないと聞いている。
顔合わせをしたわ。
「噂を聞いた。クリスタ嬢・・・」
「お初にお目にかかります。大公殿下」
「実は婚約を結んで欲しい」
「何故、私は危険な女ですよ。いつスキルが発動するか分からないわ」
「・・・これは秘密だが・・」
大公殿下はそっとズラをズラした。いや、カツラを少し上げてツルツルを見せたわ。
「実は、髪の毛の問題を抱えている・・・君ならツルツルの男性でも平気ではないか?」
「それは・・・真実の愛なら可能でしょう。結局は相性の問題ですわ」
しばらく、婚約を前提に大公殿下と顔合わせをすることにしたわ。
大公殿下は誠実な方だわ。
ハゲしい・・・あら、嫌だわ。激しい恋ではないけど穏やかに愛を育んでいる毎日だわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




