第1話:疑念
主人公の名前は読者が決めること。また”速度”という表現が出てきますが普通の”そくど”の表現とは違うことに注意、また(自分で考えること)の部分は自分でその時に考えること。
【時間が落ちつづけているのでは?】と考えたことはないだろうか?以下はそういうことを考えた人の主観的物語である
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時間は流れているのだろうか。
そんな問いが頭をよぎったのは、大学の帰り道、ふと街路樹の枝から落ちる一枚の葉を見たときだった。
「もし、時間もまた落ちているとしたら?」
りんごが地面に引かれるように、川の水が下へ下へとすべるように。
時間もまた、未来という見えない深みへと、落ち続けているのではないか。
もちろん、それは証明できない。
だが、その仮説を思いついた瞬間、目の前の世界は少しだけ違って見えた。
時計の針が進む音は、ただ前に進んでいるのではなく、どこかへ落ちていく響きに聞こえた。
自分の足音すら、未来の底へと沈んでいく合図のように思えた。
その夜、奇妙な夢を見た。
(自分で考えること)
目が覚めたとき、夢の内容を覚えていたはずなのに、細部は霧のように消えていた。
ただ一つだけはっきりしていた。
――時間は流れているのではない。落ち続けているのだ。