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中3の冬、親が離婚した。私はキラキラとしてみんなが私を知っているこの街から、お母さんの実家がある潮臭い田舎の港町に引っ越すことになった。
友達や彼氏はみんな悲しがった。私の私物を泣きながら欲しがる子もいた。飛行機を使わないとなかなかこれない距離は、中学生の私達にとってほぼ永遠の別れを意味した。でも私はさして悲しくはなかった。飽き飽きしていたのかもしれない。みんなが私を知っていて、可愛いと褒め称え、敵のいない生活。私は可愛いから、欲しいものは何でも手に入った。でもそんな生活はいつかつまらなくなる。私はそれを知っていて、少し怖かった。お母さんがそうだから。
だから引っ越すことを知ったとき、安心した。二回目の私の人生、どんなストーリーにしようか。3ヶ月後からはじまる港町での生活が楽しみで仕方なかった。