第6話 郷土資料館の記録
資料1
資料番号:HM-01
資料名:黒影伝承録
発行年代:昭和24年(1949年)
出典:██町郷土資料館特別収蔵庫
概要:本書は、██町内に伝わる「黒影の住人」に関する伝承を記録した古文書である。
内容:「黒影の住人」の出現状況、住民への影響、そしてそれに対抗するための儀式について詳細に記述されている。特に、恐怖に怯える住民たちの様子と、混乱の中で行われたとされる儀式の様子は、当時の異様な状況を色濃く反映している。筆致は、漢字とカタカナを交えた、厳かで重々しい文体であり、読む者に強い畏怖の念を抱かせる。
特記事項:
文書の一部に、虫食い、及び、判読不能な箇所あり。
「黒影の住人」は、実在の怪異か、あるいは集団ヒステリーによる幻覚か、専門家の間でも意見が分かれている。
資料2
資料番号:HM-02
資料名:旧市街夜景写真
撮影日:昭和25年(1950年)12月██日
撮影者:████(当時町内在住の写真愛好家と推測)
提供者:████(撮影者の子孫とされる人物)
概要:昭和25年12月に撮影された、旧市街の夜景を捉えたモノクロ写真。
内容:街灯に照らされた、人気のない旧市街の様子が写されている。写真中央、街灯の下に、黒く、人影のようなものが確認できる。この影が、「黒影の住人」ではないかと、一部で囁かれている。
特記事項:
写真の劣化が著しく、細部の確認は困難。
提供者によれば、「撮影者は、この写真を撮影した後、原因不明の体調不良に悩まされ続けた」とのこと。真偽は不明。
同時期に撮影された、他の写真には、同様の影は確認されていない。
資料3
資料番号:HM-03
資料名:旧市街地区事件発生地点詳細地図
作成年:昭和26年(1951年)
作成者:福岡県警察本部長(当時)
概要:昭和26年当時の、旧市街地区の詳細地図。「黒影の住人」に関連するとされる、事件、事故、怪奇現象等の発生地点が、詳細に記されている。
内容:特に、██橋周辺の河川敷付近には、異常発生を示す印が集中している。地図の余白には、当時の捜査員のメモ書きが残されており、「黒影の住人」の目撃情報や、住民の証言などが、走り書きで記されている。
特記事項:
地図の一部に、破れ、及び、判読不能な箇所あり。
この地図は、当時、極秘資料として扱われており、一般には公開されていなかった。
資料4
資料番号:HM-04
資料名:黒影事件関連年表
編纂年:昭和27年(1952年)
編纂者:██町役場総務課
概要:「黒影の住人」に関連する事件、噂、記録等を、時系列でまとめた年表。
内容:昭和24年の最初の目撃報告から始まり、昭和27年の「黒影の住人」に関連する最後の記録までが、簡潔に記述されている。
主な出来事:
昭和24年(1949年)初、「黒影の住人」目撃報告
昭和25年(1950年)、各地で目撃証言、怪奇現象が多発
昭和25年(1950年)12月、旧市街夜景写真(資料番号:HM-02)撮影
昭和26年(1951年)、警察による本格的な捜査開始
昭和26年(1951年)、旧市街地区事件発生地点詳細地図(資料番号:HM-03)作成
昭和27年(1952年)、「黒影の住人」に関する、最後の記録
特記事項:
この年表は、あくまでも公式記録に基づいたものであり、「黒影の住人」の存在を証明するものではない。
公式記録に残されていない、噂、伝承等は、この年表には含まれていない。
資料5
資料番号:HM-05
資料名:黒影鎮魂儀式次第(██地区)
作成年:昭和28年(1953年)推定
作成者:不明(██地区住民有志と推測)
概要:「黒影の住人」の災厄を鎮めるために執り行われたとされる、鎮魂儀式の次第書。
内容:儀式の手順、必要な道具、参加者の役割、唱えられたとされる呪文などが、詳細に記されている。儀式の最後には、「黒影の住人」を封印するための、特別な儀式が行われたと記述されている。
特記事項:
この儀式が、実際に効果があったのかどうかは、不明。
この儀式の後、「黒影の住人」の目撃情報は、徐々に減少していったと伝えられている。
「黒影の住人」を恐れるあまり、町民が独自に行った民間信仰の域を出ないものと判断する。
本資料の信憑性、正確性については、疑問が残る。