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銀色の槍

 私は彼女に話を聞くと私の事を話した。彼はいつまでも聴いてはいたが突如として耐えがたいものとなった。不知火はカナリアに別れを告げると彼に向かい大きな声をあげて話した。

「私は時折り君みたいな人がむかつくんだよ」

「殴らせとけ」

「あらら、やっぱり駄目だな」

「んだと」

「怒るべき人間とそうでない人間が分からない人種。自分の利権のために口酸っぱく必要に人を痛めつける人種。自分の失敗を相手に押し付ける人種」

「そういう動物こそ牧場で飼ったほうがいいんじゃないのか。例えば社会って言う楽園とかで」

「殺す、ころしてやる」

「あらら、臆病風に吹かれて脳まで退化しちゃった」

「お前、死ぬぞ」

不知火は力を誇示していた。私の事を話しているのは辺鄙な衣装を身にまとっている女性であった。京子は不知火とカナリアとクエストにでも行こうと郵便に出向く所であった。

「不知火はどうしてここに来たの」

「僕はカナリアを探そうとしていたからだよ」

「それはどうして」

「私は昔図書館の司書だったんだ。でも新しい有能な社員が見つかったから解雇されたの」

「それは酷いわね」

「それは別にどうでもいいんだ」

「貴方少し変わっているわね」

「図書館にアルトルトの秘法と書かれた本が貯蔵されているのだけれど、修復の際に切れ端の染色を忘れてしまって、それを直しに行こうとおもうんだ」

「それは大変ね、しっかりとした方が良いわよ」

「わかってる、何分引継ぎが雑になってしまったから彼女直々にほんの修繕をしたと聴いている」

「どうしてそんなことがわかるの、修繕を始めたことには貴方が解雇されているはずよ」

「僕が扱っている図書の欄には修復に多くの手順を踏まないといけないけれど、素材の稀少性から用法を教える人は限られているため僕はカナリアと手紙で連絡していたの」

「専門性が高いことをしていたのね」

「君ほどではないよ」

「スーツ姿の骨格が良い男性たちが何かをしている」

「あ、本当だ」

「よう、じょおちゃんちょっと来てもらおうか」

「彼女は僕と会話中、おじさんたちこそだれ」

「いきのいい餓鬼じゃないか女を救って良い気分にでもなればいいじゃないか」

「そんなことはどうでもいいけど、それより先に、お前たちの名前と数を言え」

「なんで君が命令しているの」

「駄目なのか?」

「おまえ、名前は言わんでもいいだろ、やっちまえ」

「いつもこうなるんだからな」

「真、月、丁やっちまえ」

「ぶっ殺してやる」

「危ないなあ、棍棒でも頭に当たれば死ぬんだぞ」

「女性が一人で足手まとい」

「何ブツブツ言っている」

「そこ、がら空きだぞ」

「拳銃持ちか、長引かれるとやっかいだな」

「着弾、肩の僧帽筋の間か、問題なし」

「あ、何言っている」

「丁死ぬなよ」

「丁に何した」

「回し受け身を」

 これらは全てさん牧師の計画に過ぎなかった。

「殺す」

「さようなら」

「死ね」

「お前らそれしか言えないの」

「さてと、羽交い絞めにさせてもらうね」

「うぐぐ」

「どういうことだ」

「さっきも言っただろ、名前と数を言えと」

「お前らなめてんのか、そんなんでギャングやっていけるとおもっているのか」

「ならお前を殺すしかないな」

「それだと今まで死んで逝く友に申し訳ねえ」

「それで」

「俺たちは企業カンパニーに雇われた、言えるのはそれまでだ」

「分かった、行け」

「大丈夫か京子」

「貴方ってただ気弱なだけじゃないのね」

「俺の事なんだと思っていたんだよ」

「今日は踊ってもいいかしら」

 彼女は胸の開いた服を着て不知火を誘惑してくる。彼女にはそれすらも膨れ顔の気分を逆なですることは無い。私は彼女を見ているとなぜだか胸の奥から熱いマグマが湧き出て来る気分になるのがわかる。

「いいけど」

 私は不知火の手を握ると彼女のことを見ながら不敵な笑みを浮かべて立ち去る。私は彼女に挑戦状を叩きつけたと言うことなのだ。

「ダンスと曲はポップなものが良いわね」

 彼はシャープペンシルを回した。回転したシャーペンは姿勢を保とうとした。さすがに魔法で固定されているとは言えるがジャイロ効果は期待通り作用した。

「現代的な踊りとか」

 私は彼女と踊る。草原の彼方、北風が火照った体に突きつけるときに。

「舞踊でもいいわよ」

 私は彼女の腰にある筋肉をねじ曲げてやった。彼女が回転を始めるとジャイロ効果効果が期待できた。

「今は社交ダンスにしておく」

「あら、私に合わせてはくれないの」

「君が本当に望むのならば演武でも構わないが」

 洋館の舞台に似合わないラップ口調と紳士と淑女の踊りはやはり似合わなかった

「私は嘘をつくかもしれないわよ」

「それなら、それでいい」

「ならK-POPでお願い」

 暴力的で美しい横たわっている彼を介抱した。不知火は膨れ顔に一撃顔を殴った。私は彼女が話を聴いているのかと心配になったがそれも大丈夫のようであった。

 不知火と京子も自然に立ち上がり彼女と一緒にリズムと取り出す。私は彼と一緒にサングラスと染めた髪で踊った。

「暴力とリズムで踊るかしら」

「違うかな」

 ひな祭りですら従順で聞き分けの良い女性を装置に成り下がった、ラップは相手をリスペクトすることからディスルことがガイであると錯覚しだす、または相手を説教する事態である。

「それはどういう」

「僕のことをちゃんと見てくれないと困る」

「女の子にエスコートさせるきなの」

「もう君は女性だろ」

「貴方はそうやっていつも茶化すわね」

「踊り子が躍るのは当然だよ」

「一度も彼女できたことないくせに」

「一度だけある」

 もうお分かりだろうが、皆々様の鬱憤を晴らすためにK-POPやラップが存在しているのでは無く、K-POPとラップの特性が憂さ晴らしをするのに丁度良かったため利用したためである。

「いつ、中学のときに」

「どうしてそんなこと言うの」

「今日の君は綺麗にみえたから」

「もしよかったらミサンガを君との繋がりにしたい」

「私はイチョウ街何てしらないから」

「踊り子が躍るのは後五時間も先のことよ」

「君ならいいかなって思ってさ」

「もうバカなんだから」

 彼女はお互いに見つめ合った。

「君ほどではないよ」

「何よ」

「君はいつも話をしているからかな彼と」

 彼はいつまでも個人主義と資本主義の間で踊っていた。

「いいじゃない」

「君もいい加減認めたまえ、年老いた男と結婚するのは嫌だろ」

 爺さんは札束を懐から出していた。懐には当然目もくれずに彼女は不知火とキスをする。




二部

「イチョウ街とは」

「私が住んでいた街です」

「もう廃村になっていると聞きましたが」

「誰から聞いたのですか」

「カナリア=バーンからです」

「カナリアは私がイチョウ街を探すのを助けてくれたの」

「なら京子さんと不知火の事も知っていますね」

「知らないわよ、そんなの」

「貴方がいつも話している人だよ。そいつがカナリアと一緒に居る」

「よくしっているわね」

「不知火はカナリアが運営している司書だけど一か月で辞めたからおぼえているよ」

「もしかして図書館の司書」

「正解」

「なら地下金庫がトウマスに破壊されて土が被ったことも知っているわよね」

「もちろん、どうして地下にある土が押し寄せて来ないのか謎だがな」

「図書館がある周りをコンクリートで埋めいたのね」

「僕はいつも力で皆を黙らせてきたが、京子がしたくないならもうしないよ」

「図書館にしては広くない」

「まったくな」

「付き合うなら今度図書館に入らせて」

「勉強熱心だね」

 京子は話をしていると男が一人近づいて来た。私は彼女に話を聞くと彼女は関係を聴かれ私が私が過ごしていたイチョウ街に付いて話をしていた。

 カナリアは大聖堂から話を聴いていたのかハルカ向こうにいる女の声をしていた。女は口が達者でなんでも話すような人間であった。女と言う性別から解放されるために頑張るのだ。私は彼女のことを話していた。

 カナリアが持っている言葉は熱い吐息と共に私のことをすぼめていた。私は彼女と話していると彼女の話を聴いていた。彼女のことを待っているのは私だけではなく女の体裁を整えた野太い声のする男であった。

 口々に話す声からはガイの声が口を聴いてた。

「君には時折り話していることを聴いてた」

 カナリアは大聖堂の門戸を叩いた。そこには年老いた爺さんや皺が残った御婆さんが子を引き連れて来ていた。私は頬の血の傷を見ながら祈っている男に声をかけた。しかし彼らはそのような人物などいないと断じているようにひたすら祈っていた。

「あのすみません」

 私は彼女から話を聴いてたからかそれがサン牧師であることに気づいた。彼女はカナリアから話していると、彼女は口を閉じて話していた。

「どうされましたか、カナリア」

 私は話をしていたからか話をしているのはサンだろうか、黒いローブと彼のペンダントを見てみると銀色のネックレスは身に着けていなかった。

「事件を追っていまして」

 そこまで聞くと「ああ」と唸り相槌を打つ。周りを見渡すと周囲の何人かは牧師を不安そうに見ていた。牧師はカナリアを居間に案内すると後ろ手に鍵をかけた。

「とりあえずお茶を出しましょう」

 サンは赤い熟れた目をカナリアに向けて、嘲笑うかのような口の歪みを見せた。生来整って見えていたから、笑みを受けべるときの顔は古代ファラオにも似ていた。

「お顔がきれいですね」

 サン牧師は屈託のない笑顔でカナリアを見た、カナリアが彼の顔ばかり見たから。サンはこめかみに皺を寄せて頭の眉毛と眉毛の真ん中を指で抑えた。

「こまりますよね、おかげで求婚されっぱなしですよ」

 カナリアは宗助から貰った睡眠薬の粉を紅茶に混ぜた。紅茶は見るも無残にサン牧師を夢の彼方へ行かせる道具へ変貌を遂げた。サン牧師は睡眠薬入りの紅茶を飲んだ。カナリアが紅茶に睡眠薬を入れるときにサン牧師はあてつけのクッキーを取り出すために後ろをむいていたのだ。

「それでは、いただきます」

 カナリアが施した眠剤入りの紅茶は順調にサン牧師の体内へ運ばれた。体の中ではコルチゾールが一時的に上昇しその後深い睡眠作用を引き起こすだろう。サン牧師が飲んでから十分後に効果は現れるのだ。

「サン牧師」

 カナリアは色気のある声でサン牧師の注意を引こうとする。しかしサン牧師は修行の成果からか彼女を性的な目で見るとは無かった。カナリアが残念な目で彼を睨むと、サン牧師の目がトロンと半熟卵のなめらさでおちてくる。

「カナリアさん、これはどういう」

 彼女は彼の瞼の裏を確認する、死後直後に死人の眼光が絞られているがそれと同じように眠った人と同じ目をしていた。サン牧師が前に手を伸ばそうとすると、彼の意識は夢の国の彼方へ消えてしまったのだと確信した。私がそうであるように、彼が起きることも無いだろう。

「ありがとうサム牧師ありがとう」

 壁や通りの角から話をしている夫人の声が岩の隙間を通り聞こえて来た。壁には彼女が描いた絵画と鉄製の台所に鉄板がぶら下がっていた。細長い岩の角から暗い影が忍び寄りそこからトカゲが顔をのぞかせた。

 しかしカナリアは大聖堂から小屋の階段を通るときに動物の威圧にさえも怖気ずにしたのハッチを開けて手を伸ばし扉を開けた。すると鍵は開き春風が舞い降りる時期には似つかわしくもない冷気が淡々と彼女の肌を冷やす。

 後ろを振り返るとうつ伏せに寝ている牧師を遠目に見ながらも自身の使命のために意志に反発する。彼はきっと私にここを通り抜けることを辞めて欲しいのだろうが私はここからしたの階層へ行き止めなくてはならないのだ。

 「さようなら」と言うと私は彼の横に銀色の髪飾りを置き、階段を駆け降りる。階段は狙ってか信用金庫と同じ岩の構造をしているように思えた。彼女は口々に罵声を言いながらも階下の大聖堂地下へ足を運んだ。

 狙って彼女は階下へ向かう階段の岩の風化した部分を指の薬指と親指でつまむと大体の部分を虫眼鏡で見た。地下に備え付けてある三本のたいまつが風化させたのか時間が陳腐化することに至ったのか不明であるが、カナリアには地下の四角へ整形された岩が信用金庫に使われている岩であると分かる。

 地下は岩からできた天然の岩石が雑多に置かれている火山帯であったが彼らが切り開き小さな穴倉に図書館を建てた。岩はすり合わせるごとに岩の堺が濃く密接されるため強度は増すた岩事態を接着する費用な無いためだ。

 地下にある貯水池は京子が話していたイチョウ街の大きさにも比例する。カナリアの信用金庫が30個も入るようである。サン牧師から接収した地図によれば地下聖堂の入り口は向こう右奥の地下聖堂から二番目の木製の扉だ。

「まったく、カナリアとも女もダメですねえ」

 だんだんと眠気がなくなってきた、医者が処方する眠剤は流石に堪えるから。サン牧師は顔を眠りこけた顔を盛大な欠伸を欠く音を出して起きた。冷気がするので首を半分に捻転すると頭を体を起こし肺に空気を取り込む。三分もしただろうか、吐き出すと食器棚の奥の排水溝が常設されている部分の奥をまさぐると箱が手に当たった。

 箱は黒く禍々しい漆黒とほんのり冷気を纏っていた。それは鍵を開けて換気される前の扉の空気と何ら変わらないように感じた。鍵を取り出すと鍵先から埃をはねのけようとした。しかし箱の中の詰め物には埃など一つもなかったのだ。

 鍵は金色と金箔を混ぜ合わせた大きなカギである。金は純金であり表面は金箔であった。金箔は厚さが垂れ幕の帯と変わらないながら辺に合わせて切り結ばれていた。金には金色の物質にエタノールが混ぜ合わされている感覚がした。

 サン牧師は鍵を先ほどの鍵穴に入れると、満足気な笑みを浮かべていた。牧師が息を吐くころには扉が動き出し内部の扉を閉める本来の役割を果たす使命を再認識し閉門した。サン牧師はことの次第に笑顔を浮かべると白と赤のマントを着て戸を開ける。

 この部屋に鍵の開いた扉は一つしかなかった。それはカナリアがサン牧師と入った大聖堂に続く道だ。

「さあ、皆さん聴いてください」

 サン牧師は困り果て困惑した顔を信者たちに見せる。初めての事なので信者は困惑した顔をしていた。サン牧師は微笑を浮かべると疑問に思う信者が一人手を挙げた。信者は毛がもじゃもじゃでシルクハットをかぶっていた50代の男性であった。

「侵入者が現れました」

 警備をしていた警護隊は牧師の言葉に耳を疑ったが牧師を見るや敬礼をして話を手に入れる。敬語を使いそれを話していた。警護隊長は牧師に声をかけると口々にその言葉を話していた。

「それはどういう恰好をしているのですか」

 目を閉じて、口を開き棒を加えるているかのように話す。彼は理想を話しながら口々に声の色を変えていた。夏の日差しは熱く私たちのことを話すよりも涼みに来ているという方が正しかった。聖堂ではスイカを食べている子供も、団扇を仰いでいる女性も居た。

「身なりは赤く、黒く白いローブを着ている女性です。名前はカナリアです」

 私は快活よく話をしながら羽織り物を着こむ。警護隊長も同席していた、私からしてみれば羽織り物を着せたいと言うから。どうでも良いことだが彼の目は輝いているように私は見えた。

「彼女を探せばいいのですね」

 蝉の鳴き声が聞こえるようなので窓を開けると、私は鳩が止まったので見た。鳩は口が細長いヤマハトであった。ヤマバトはカラスの甲高い音とキツツキが木を突く音が混ざった声がする。ヤマバトが私の前でメスに交尾を申し込む時に鳴らすアラームに似ていた。

 室長はローブを着ながら話をしていたが私には、歪んだ顔が見えた。コーヒーの飲みすぎだろう、昼夜問わず飲むとこうなってしまうのだ。私だけには話をしていた彼だが部下が来るとハリのある声を出し指示する。

 蝉もハトもカラスでさえも皆が一緒になり鳴き声を鳴らしたが、鳴いていないのは人だけであったのだ。

「そうです」

 信者は驚いて戸を開くと光輝く外に向かい一斉に走り出した。門が人でいっぱいになる頃には抜け駆けをする者、綺麗に列をなす者、距離を合わせようとする者を見た。数分もすると協会には牧師以外誰も居なかった。牧師は誰一人としていなくなったことを確認すると修道服の裏に刺繍したポケットから一冊の小説を開く。座り読むことにした。百を超えるページを読むと彼は二ヤリと笑い口を歪めた。

「君ならきっと分かってくれるだろ」

 カナリアは口を塞ぎながら聖堂の奥の言葉を見ていた。私は彼女にその言葉を話していたが私の事を話していると口々に言葉尻を捉えてしまう。

「聖堂からどのようにして本殿に入るんだ」

 私は彼女の決めかねた態度に腹を立てながらそんなに難しいことであるかと考えていた。しかし体はあくまでも悪魔の手先の首を絞めつけていた。

「何をしてる」

 不知火が私の肩を叩きながら荒々しい声を出していた。首の頸動脈を胴から締め上げるように体を反った。

「人殺しはまずい」

 不知火は階段下に降りて数を確認する。珍しいダークグレーの瞳が彼の特徴であったが誰もそれにきづくことは無かった。不知火はカナリアに人差し指と中指を立てて、薬指と小指を折る。親指に力を入れると行けと言う合図を送る。

 カナリアが彼の口に木でできた硬いステッキを打つ。配置していたギャングは誤認して不知火にとびかかろうとしたが、横からカナリアのステッキに頬の内を破壊される。

「くそったれめ」

 ギャングが後ろから歩いてくる不知火に棒状の拳銃を向けるとカナリアは彼にとびかかろうとした。私は拳銃を打つときの人差し指が強く握り締められるのに不安を抱いた。

「ギャング風情が」

 カナリアは不知火が壁に向かい心配している顔をして心底安心した。彼が自身の体に着弾する可能性よりも、跳弾した弾が被験者に当たらないか配慮するほど余裕がある証拠であるからだった。

「動くな盗人が」

 カナリアはステッキをそのまま彼の首根っこに近づけた。彼の正面に入るとなぜだか嫌な予感がするのだ。カナリアはステッキをそのままに彼の肩を軸として横にずれた。が、彼を凝視していたのでその場に戻る。

「賢明な判断だな」

 彼もギャングの膝の皿を粉砕し駆けつける。彼はニヤリとその過程に嘲笑いのような笑みを浮かべた。私は誰とでもない虚空に笑みを浮かべる彼に苛立ちを覚えたのだ。

「待て」

 前に出るすると彼女のことを話していた。私は時折流れて来る音楽に心を奪われそうになった。彼の得意分野に。「よく見ろ」と言われる。そこには薄い膜でできた透明な刃物が手ににぎられていたのだ。

「どうしてわかった」

 大聖堂には警官は入れないが拳銃の音がしたこと、下宿人の大多数が警官に通報したことから数分もすると警官が突入してくることとなる。

「目がいいから」

 棍棒を一振りするとガラスがわれてしまうからな。彼は拳銃を突きつけると手に注力した。彼女は私へ口々に言葉を話すと彼の手を一本ずつ丁寧にはがした。

「スーザン=ラーク、お前を逮捕する」

 警部補は有象無象の下っ端を蹴飛ばすと彼の持っていた銀色の槍に興味を持った。部下に命令するとアタッシュケースを手配させる。

 彼は逮捕されて、私は事業に専念することになった。今は不知火の行方は分かっていないが彼の手紙はちょくちょく届く、実に不愉快な所ではあるが、それもここちよかった。

「不知火君実にお手柄だったよ」

 不知火はマントルピースを着ながら話を聴こうと考えたが、無作法であると断念した。私は彼女のたちのことを考えていたが、土煙色の煙を立ち上げるとその考えも遠い彼方の思い出として処理された。一通の手紙と拳銃が添えられていた。

「誰からの手紙だ」

 フロムは不知火の手紙を取ろうとしたが、手早く手の中へ納めたので果たせなかった。口では何とでも言えるが身体はもぞもぞと芋虫のそれに似せて動いていた。私は手紙の所在を諦めて暖炉の火に薪をくべることへ精神を専念させた。

「彼女からか」

 私が程よく乾燥した薪を入れたので、火が起こると烈火のように燃えていたからだった。薪の水分量は暖炉の火の加減を調節するのに必要であるからだ。十分に暖められた室内では私たちが上着を着る必要もないので手早くクローゼットの中へ入れた。

「そうだよ、ミスカナリア=バーンからの招待状さ」

 不知火は昔にポンカンと言うあだ名で皆から呼ばれていたのが気に食わなかったから部屋の中へ入れるのは必要最低限の人だけとなった。不知火の話では、12時以降のどこかしらでパーティーについて話がしたいということだった。

「もう、そんな季節か」

 目を輝かせながら口ずさみ笛を吹いた。口笛は私たちが想うよりも遠くへと聞こえていた。街にはゴシック風の角ばった建築が乱立していた。苛烈に行動する、住民は杖を突いて歩いていたり話しながらメモを見て商店街へ消えたりしていた。

「万博だよ」

 ヒカリの振動は時に私たちへ太陽のエネルギーを運んでくれた。彼は目を輝かせながら言った。万博は彼らの悲願であった。彼らとは不知火、フロム=エイリッヒ、それと或者たちである。不知火は都会の喧騒を見て微かに微笑むのだ。

「チュウリッヒ博士は居るかい」

 (研究者による研究成果)

 

最後にお願い、、、

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